大阪未来図巡り激論…府市グランドデザイン中間案
読売新聞 3月30日大阪府市統合本部が29日、府咲洲さきしま庁舎(大阪市住之江区)で開かれ、「グランドデザイン・大阪」の中間とりまとめ案が示された。2050年の大阪市はどんな都市であるべきか。行政は何をやるべきか。中間案はそんな命題への「答え」だが、出席した同本部の特別顧問らは「現実味がない」などと痛烈に批判。事務方も負けじと応酬し、激しい議論を戦わせた。午後3時20分、中間案をとりまとめた府の小河保之副知事が、説明を始めた。
「都心部は車を通さない流入規制をしき、緑による圧倒的魅力を作っていく」大阪市を4エリアと南北、東西の2軸で区分けし、全面緑化した御堂筋沿いにLRT(次世代型路面電車)を通すという長期的目標から、JR大阪駅北側の再開発区域「うめきた」緑化などの短期的施策まで、「緑」をキーワードに大胆な街づくり案を盛り込んだ。ただ、実現に要する財源や事業主体の検討はしていない。過去、関西空港開港(1994年)を当て込んだ府の大型プロジェクトが次々に破綻した苦い経験から、小河氏が学んだ都市計画とは、「大きな方向性を指し示すもの」。それが現在の行政の役割との思いがあった。だが、その説明直後、統合本部特別顧問の堺屋太一・元経済企画庁長官が冷や水を浴びせた。「夢物語とは言いませんが(中間案は)理想像ですね。もっと現実的に考えていかないと。15年にこれ、20年にこれをやると」通産官僚時代、大阪万博を企画し、成功に導いた堺屋氏は、中間案を「都市ビジョンゼロ」と酷評した。これにはたまらず、小河氏が「今までのように行政が決めてしまう、それはやめておこうよということ」と反論、「先生の考えは古い」と語気を強めた。2人の席は50センチほどしか離れていなかったが、街づくりの考え方には埋めがたい溝があった。もう1人、小河氏の向かいに座る特別顧問の上山信一・慶応大教授も、中間案を冷ややかに分析した。
「東ベルリン(大阪市)に初めて(府が)入れるようになったので、いろいろ絵を描いてみた、という感じ。府と市が一緒に夢を語るのはすごく楽しいんでしょうけど、市外との関係が設計できていない」都市を巡る見識と信念のぶつかり合いに、いつもは議論の主導役を果たす橋下徹大阪市長も、この日ばかりは発言も控えめだった。会議終了後も、メンバーらは咲洲庁舎37階の知事室で、非公開で再び議論。堺屋氏はここでも「このグランドデザインには志がない」と批判し、橋下市長が「志は我々が入れますから」と引き取って、その場を収めたという。未来の大阪へと導く羅針が、大きく振れている。
この記事だけ見ると、ものすごく、堺屋も、上山も、イヤなヤツって感じになってるんですけど…(笑)。
「導く羅針を大きく振らしてる」のは、誰だ?