朝まで生テレビ/激論!体罰・いじめ 戦後教育を問う
2月23日田原 総一朗馳浩(自民党・衆院議員、元文部科学副大臣)鈴木寛(民主党・参議院議員、元文部科学副大臣)東浩紀(早稲田大学教授、批評家)乙武洋匡(作家、元小学校教諭)香山リカ(精神科医、立教大学教授)坂根シルック(東京農工大大学院特任助教、フィンランド出身)高橋史朗(明星大学教授、元埼玉県教育委員長)玉木正之(スポーツ評論家、筑波大学大学院非常勤講師)寺脇研(京都造形芸術大学教授、元文部科学官僚)藤原和博(東京学芸大学客員教授、元杉並区和田中学校校長)八木秀次(高崎経済大学教授、教育再生実行会議委員)
田原:まず、寺脇さん、大津のイジメ問題で、教育委員会がまず逃げて、校長が逃げて、教師も逃げた。何、これは?大体、ダメでしょ、教育委員会なんて。名誉職でやってるんだから。寺脇:教育委員は名誉職ですけど、教育長は常勤でやってるし、その下に学校教育部長とか、学校教育課長とか、指導する人がいるワケですよ。その人たちがどれだけ真剣に…田原:やってないじゃん。寺脇:だから、あれはやってない、って言われも仕方ないですね。田原:藤原さん、どう考えればいいんですか?藤原:結局、教育のガバナンス…誰が責任を取るのか。教育委員の中に、「教育委員長」というのがいて、その人が政策の責任者なんですね、たとえば、教科書を誰が決定するのかといえば、教育委員長ということなんですが。実際に教育委員会事務局を全部統括するのは「教育長」という行政の長がいて、この二人が違うというだけでもややこしいんですけども、さらにこの教育長は、首長の配下じゃないっていう、この2段階ややこしいんですよ。さらに校長が事勿れ主義、あるいは前例主義、という感じで責任を取ろうとしない体質というね、3段階くらいの問題があります。田原:戦後アメリカがね、日本は教育の権限を国家が握ってる、国家が握ってるからアメリカみたいな国と戦争をする。とんでもないと。だから、戦争できなくする、つまり弱体化するんだと。そのためには教育委員会にして…教育委員会は、アメリカは選挙で選ばれるんだけども、日本は選挙になんか興味ないから、社会党や共産党が当選するとイケないんで、単なる名誉職になっちゃった。なんでこんな名誉職が威張ってんの?八木:いや、最初は公選制だったんですが、日本の特殊な教育会の状況というのがあって、公選制にすると、ごく一部の利益代表の人が出てくると…田原:共産党?社会党?八木:ま、教職員組合選出の人らが、圧倒的多数を占めてしまったということがあって高先生をやめたと。それが変遷していく中で、本来は民間である教育委員が、教育行政全体をコントロールするということになったんですけども、だんだん、事務局主導、官僚主導…役人主導になってしまった。まあ今回のこと(大津・桜宮)で、教育委員会制度の限界というものが見えてきてますので、見直すという議論に入ると思いますけど…田原:乙武さん、どう思う?乙武:たとえば、大津の問題でも、いつも矢面に立つのは、沢村教育長…田原:そう。乙武:あれは、事務方のトップであって、ホントのトップではない。でも、ホントのトップである、教育委員長含めた教育委員っていうのは、非常勤であると。本業を持っている中で、月に1、2回の会議に出てくる人たちが責任を負う立場にある。ここに無理があるのかな、と思うんですよね。寺脇:教育委員って、5人です。5人の中に教育委員長がいて、教育長も、教育委員なんです。最終的には多数決でして、教育委員長が他の意見でも、他の委員がこっちだと言えば、そう決まるようになってる。田原:だけど、いい加減じゃない。みんな逃げてるんだから。僕は大阪の橋下徹の言うことを、全部正しいとは思わないが、教育委員会は変えなきゃいけないと。そら、やっぱりね、首長なりがキチッと責任もって任命すべきだと。もちろん、政治的中立の問題はあるけども…どう?鈴木:もう一つ、申し上げたいのは、県の教育委員会と、市町村の教育委員会も分けなきゃいけないということ。つまり、教員の人事権は県の教育委員会が持ってる。で、学校のことは、これ「設置者」というんですが、市町村の教育委員会が権限を持ってる。ここもバラバラで、どっちが責任取るかわからないんですね。学校のことっていうのは、やっぱり、校長が大事ですよね。その校長がキチッと学校を仕切れなかった時に、その人事権者は県の教育委員会なんです。でも、学校のことは市町村に権限がある。これも変えないといけない。
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「教育委員会」考
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