阪神・西岡がサヨナラ打!
「最後でチャラになった」サンスポ西岡が3-3の同点で迎えた九回に右前へのサヨナラタイムリーを放ち、チームの連敗を2でストップさせた。メジャー帰りの核弾頭が勝負強さを発揮した。体の奥底からこみ上げてきた喜びをお立ち台で爆発させた。「これまで全く打てんしエラーするし。でも最後の一本でチャラになったと思います!」気合を込めた。坂、小宮山の代打攻勢で迎えた九回無死一、三塁のチャンス。中日・田島の143キロ直球を強振。打球は右前へ弾むサヨナラタイムリーとなった。「ここ(大阪)で開幕、ここで勝とうとみんなでいっていた。勝ててよかったです」。メジャーから日本球界に復帰した西岡は、序盤は地元大阪での開幕戦で気合が空回り。前の4打席で凡退し四回には失策も犯した。サヨナラタイムリーはまさに面目躍如の一撃となった。接戦を制して連敗を止めたナインに和田監督も笑顔がこぼれた。「接戦を勝つのが今年のテーマ。最後の勝ち方でみんな状態はよくなると信じてます」と大きくうなづいた。虎・福留、激走ホームイン!古巣へ痛烈“恩返し”
1発目は相手と、2発目は自分とのバトルだった。阪神・福留のユニホームが赤土まみれになる度にドームが揺れた。古巣・中日に強烈な“恩返し”。殊勲は西岡でも屋台骨となったのは背番号「8」だ。「アレはもう勝負。思いきっていかないと。彼の肩がいいのは分かっているけど、勝負でした」四回だ。鳥谷、新井良の連続安打に続き、クリーンアップを担う男が無死二、三塁で中前同点打を放った。チームとして23イニングぶりに得点を挙げた福留。その後、一死満塁となり、三塁に進むと、藤井彰が放った浅い右飛。福留vs右翼・藤井。中日の中継プレーがわずかに乱れた。福留は右足から滑り込み、ブロックする谷繁を崩した。そして、今度は己との対決。2-2となった六回。一死後に四球で出塁した。続くマートンの右中間への当たり。フェンス手前で中堅手・大島が捕球。名手が本塁への送球を急ぐ間に福留は一気に三塁を蹴った。「完璧に抜けていたから、大して難しいことじゃない。あとは(自分が)走れるか走れないか。まだ走れたということ」。谷繁が天を仰ぐ中、本塁へ突入した福留は5秒間ほど立ち上がれなかった。開幕カード3試合を終えて打率・167、0本塁打、2打点だった。同じく1割台だった鳥谷、新井良と連鎖するように福留の打棒も鳴りを潜めていた。この日の練習後、自身の状態について問われると「悪くない」と強調しつつも「いうほど良くもないけど…」と語っていた。打撃練習を終えるとケージ裏にいた和田監督、関川打撃コーチと意見交換。「自分の感覚の話」としながら、その直後「特訓してくる」とベンチ裏のミラールームにこもっていた。名古屋の家族もスタンドに招待していた。それだけに四回の適時打が身に染みた。「最高の結果でヒットになってくれた」。そして「もう少し楽にかえしてほしいね」と苦笑するほど足が動いた。4年連続負け越し中の中日に対して虎が好発進星。福留の足が勝った。場内からの「福留コール」に腰を90度に折り、深々と頭を下げた。汚れた戦闘服が輝いていた。和田監督、激笑!冴えた劇勝タクト
指揮官の声は、かすれていた。西岡のサヨナラ打の瞬間、手を上げて絶叫した。和田監督が執念の采配で、ホーム開幕星をたぐり寄せた。「神宮では苦しいゲームになったが、こういう僅差をひろえると違う。勢いのつく勝ち方だった」同点で迎えた九回。先頭で藤井彰に代打・坂を送り、左前打で出塁。代走の荒木を送り、次も代打、小宮山を告げた。バントの失敗で苦い思いをしてきた男だが、それでも使命を課した。しかし、送りバントを決められない。フルカウントからスイング。打球は二遊間をしぶとく割り、西岡へとつながった。「バントをしっかり決めないといけない。結果オーライです」。小宮山は振り返ったが、試合後の将が「よくつないだ」と開口一番に名前を挙げるほど重要な場面。場数を踏むことで成長を促す意図があったのか。2戦連続無得点の打線を活発化させるため、「アウトになってもいいから積極的にいけ」と“足攻”指令を出していた。結果、大和とマートンが今季初盗塁を決め、福留の激走も生まれた。ホーム開幕戦に加え、この情熱タクトを呼ぶ存在があった。始球式をつとめた歌手の松田聖子だった。現役時代からディナーショーに駆けつけるほどの大ファンで、試合前に緊張の対面。ピンクのユニホームをプレゼントすると、室内ブルペンではキャッチボールの相手もつとめた。勝利の女神となった永遠のアイドル。そのビーナスのボールを捕球し、握手までしたベテランに「藤井の野郎、長いことしゃべりやがってぇ!」と和田監督は眉をつり上げた。冷静な指揮官の、むき出しにした嫉妬心に報道陣も爆笑した。西岡をはじめ、そんな明るい雰囲気が今年は充満している。2年目の和田虎は、やはり違う。
今日の試合、走塁が効いた。
福留はじめ、大和、マートンの盗塁、4回1塁から3塁に激走の鳥谷、そして最終回の荒木。
4番のブレーキで今一つ機能しきれてなかった打線だが、そういう時こその、足攻!
これぞ、シーズン前に和田が言ってた『走塁革命』。
小宮山のバント失敗で(カウント3ボール2ストライクということもあったんだろうが)、ベンチのサインはバスターエンドラン。
結果オーライだが、相変わらずしっかり送れない小宮山をベンチは試合後、ちゃんと怒ったか?
ヒットを打ったからといって、やるべきことをやらなかった選手を不問にするなら、
今シーズンも期待できない。
小宮山には明日早出でバント練習させろ。
バントの失敗で苦い思いをしてきた男 ――
わざわざ、そんな男を代打に出してバントのサインを出した和田。
そして、やはりバントできなくて、苦し紛れに出したのが、カウント3-2でのエンドランのサイン。
あるいは三振ゲッツーになってたかもしれない。
紙一重の迷采配だった。
小宮山に殻を破ってほしいという思いからか?
バントなんて、エキスパートに任せとけばいいんじゃないの?
小宮山が殻を破らなきゃいけないところは他にあるだろうし、バントさせたいなら関本がいた。
もし、「今季から3時間半までなら延長無制限のルールだから、関本は温存したかった」という考え方なら、なんで9回同点から抑えの久保を登板させたのか、ってことにもなる。
久保を信じるなら信じろ。
中日戦ごときで信じれない抑えを巨人戦で使えるのか。
采配に一貫性を持たせるには、選手を信頼することが大事だが、
その前に、シーズン前に選手を「適材適所」にハメたはずの自分を貫くことだ。
良太の4番然り、コンラットのサード然り、久保然り。
決めたことなら、少なくともカード一回りするまでは、自信を持って送り出さなきゃしょうがないだろう。