朝までテレビ(13年8月31日) 消費税について
竹中平蔵:小泉政権のとき、プライマリーバランスをゼロに持っていくということをずっつ言ってた。その方法は増税じゃない、あのとき、増税なんかしてませんからね、歳出を増やさない、ということなんです。小さな政府をつくった、という人もいますけども、小さな政府なんかつくってません。政府の規模を大きくしなかっただけなんです。その上で、不良債権処理とか、あの時、郵政の民営化をやって経済を活性化させた。それで税収が上がって、28兆円あった借金が6兆円まで下がったんですよ。22兆円て、消費税に換算すると9%・ポイント分ですよ。これが財政再建の本質なんです。だから、今みたいに、「放っておいたら毎年1兆円伸びていく」なんてこと言ってたら、それで何も手を打たずにおいて「大変だから、消費税上げさせてください」。これは財政再建の「い・ろ・は」を無視してます。田原総一朗:小泉さんが郵政で選挙に大勝したときに、消費税上げなかった。なんでだって私が小泉さんに聞いたら、「私の役目は消費税を上げるんじゃなくて、痛みを伴う構造改革に着手することだ」と言った。竹中:あのとき何を話してたかというと、とにかく、プライマリーバランスがゼロになるまでは、消費税を上げるのはやめよう、と。そして、ゼロにしたら、財政再建の基盤ができれるから、そうすると若い人の社会保障を充実させなきゃいけない、とか、その前向きなもののために消費税をあげようと。それが私たちの基本方針だった。ところが、そのあと何が起こったかというと、麻生さんが総理になって、そして民主党政権になってから、それまでの歳出82兆円が、今95兆円から100兆円になろうかとしてる。13兆円から15兆円増えてるんです。要するにこの5年間でお金をバーっと使ったんです。それを増税して穴埋めしたいって言ってるに過ぎないんです。だから、私はこの増税は間違ってるというんです。・・・・・・田原:安倍さんも消費税を上げたら経済が悪くなるのはわかってる。だから、そのとき、法人税を下げようとか、あるいは、投資減税をやろうかとか、色々言ってる。ところが、法人税減税というのは、一見、日本は36%で法人税高いんだけども、実は、「みずほ銀行実効税率0.5%、三井物産5.5%、三菱商事5.8%、三井住友7.5%みずほコーポレート銀行10.4、日本航空11.7、三菱東京UFJ銀行12.6…ほとんどの一流会社は納めてないんだよね」勝間和代「これは税の公平性の議論なんです。35パーセント払ってるのはほとんどが、中小企業なんです。大企業ほどどんどん下がってる。中小企業の方が成長性を見せてるのに、大企業のみが優遇税制を受けてる。これは法人税だけじゃなくて、個人の税でもまったく同じなんです。例えば、税収に占める消費税の割合っていうのは、もうほとんどヨーロッパと同じになってきてるんです。22%前後です。(ヨーロッパは軽減税率がありますから。イギリス消費税の実効税率はたしか、9.8%です)直間比率もかなり近い。だから、税の構造が悪いんじゃなくて、取り立てるべきところから取り立ててないのが悪いんです。荻原博子:法人税そのものが、3割の企業しか払ってないじゃないですか。儲けてないから、あと7割の企業は払ってないんですよ。なので、法人税を下げたってどれだけの効果があるのか。消費税はカツカツで食べていかなきゃいけない人でも、払わなきゃいけない。・・・・・・浅尾慶一郎:歳入庁をのことを言いたいんですが、社会保障の財源、つまり、税金と保険料、そして、医療の場合の窓口負担なんですが、この保険料の徴収が非常にずさんなんです。すべての会社は厚生年金に入らないといけないというのは、これは法律で決まってます。しかし、加入してるのは全体の三分の一くらいじゃないかと。保険料を負担したくない会社も悪いんですが、一番いけないのは、集める主体が、税金は国税庁、保険料は日本年金機構(旧・社保庁)とバラバラになってること。これをくっつければ年10兆円、取り漏れが回収できる。これ、まったく難しい話じゃないくて、人も全然増やさなくてもいい。竹中:つまりそういうインフラを整備しないで増税だけやってもダメだっていうこと。余計、不公平が広がるんです。田原:なんでそれやらないで増税決めちゃったの?高橋洋一:やろうとしたけど、潰されちゃったんんです、財務省に。その時の理由は、社保庁の人間を国税庁に入れるのは嫌だ、ということだったんで、定員枠だけ持って行って、採用は国税庁だけでやっていい、って言ったのに、それでも嫌だって言った。なぜかっていうと、国税庁と社保庁という、二つの役所が一緒になると、財務省の下に置けなくなるんですよ。内閣府になるんです。そうすると人事ができなくなる、というのは理由です。・・・・・・竹中:97年は税収54兆円なんです。それがバブル崩壊後の最高なんです。それ以降、増税(消費税3%から5%)したにもかかわらず、税収は減った。なせかというと、デフレだったからです。税収って名目のGDPに影響されるので、だからこそアベノミクスでデフレの克服を第一の矢に掲げた。これがうまくいって、成長戦略もうまくいけば、増税していっとき、瞬間的にGDPが下がったとしても、今度は大丈夫だと思いますよ。税収が前年度を下回ることはないと思います。97年に税収が下がったのは、経済財政白書で「アジアが要因だ」って書いてますけどね、アジアの経済は元に戻ってるんですよ。日本は未だに戻ってないんですよ。経済財政白書っていうのは、財務省にものすごく引っ張られてる。高橋:あの時、私担当してたんだけどね、財務省のロジックとしてはね、税金で集めた分をすべて使ってるから影響ないはずだ、って言ってたんですよ。でも、それはすごくバカなやり方をしたから、結果的に見ると、韓国の成長率は日本の成長率より下いってたのに、それから全部逆転された。韓国って一番アジア危機の影響を受けたところなんですよ。これは絶対、財務省は言わないわけ(笑)。・・・・・・(歳入庁なんでできないか)高橋:イギリスの例を挙げるとね。イギリスは誰にも相談しないで、予算でドンと出して、「やれ!」でしまいでした。98年です。なんにも誰にも相談しないで、やって1年でできた。もう一個言っとくとね、年金保険料っていうのは源泉徴収と全く同じ仕組みなんですよ。だから税務署でも簡単にチェックできるんです。調べてないでしょ。源泉徴収、天引き、だから企業がポッポに入れて納めないで、消えた年金になってるの、多いんですよ。実はこれをちょっとチェックするだけで消えた年金も随分なくなるんです。消えた年金長妻さんがやったんですけども、たしか、7割が企業だった。要するに、払ったつもりになってるんだけど、企業が納めてなかった。これ簡単にチェックできて、なんとかなるんですよ。これ、私一個のことを言ってるんじゃなくて、当たり前のことをやらないと、いろんな政策ができないってことなんです。
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消費税増税の是非
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