Quantcast
Channel: SALUMERA
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2520

大麻のはなし2

$
0
0

大麻と国益の話

 
私達現代日本人は、大麻というと、麻薬であり、イケナイもの、おそろしいものと考えています。
ところがこの大麻、戦前の日本の小学校の教科書では、その栽培方法やら使用用途などが、詳しく教えられていたのです

しかも、猛暑の夏には、まさに大麻でできた着物を、多くの人が普通に着ていました。
 
大麻でできた衣類は、汗を吸い取ってくれ、速乾性に優れ、夏を涼しく快適に乗り越えるのに、もっとも都合が良かったからです。

けれど大麻といえば、多くの日本人は、いまでは麻薬の一種と考えています。
本当にそうなのでしょうか。

大麻は、大麻取締法によって規制されています。
麻薬は、麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)、覚せい剤は覚せい剤取締法で、それぞれ規制されています。
大麻の取締と、麻薬や覚せい剤は、取締る法律がそれぞれ異なります。

では、大麻取締法がいつできたかというと、昭和23(1948)年です。
GHQの指導により、うまれています。

そして不思議なことに、麻薬取締法や、覚せい剤取締法は、第一条でそれぞれの法律の目的が明示されているのに、大麻取締法には、その目的の明示がありません。

たとえば、麻薬取締法の第一条は、
(目的)
第一条  この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図ることを目的とする。

となっています。
また、覚せい剤取締法は、
第一条(この法律の目的)
この法律は、覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締を行うことを目的とする。

となっています。


これに対し、大麻取締法は、
 
第一条  この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。
ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)、
並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

という記述です。

普通、取締のための法律には、必ず第一条で「目的」が明示されるのですが、なぜか大麻取締法には、それがありません。

そもそも「大麻」とはいったい何でしょうか。

よく、「麻の着物」とか「麻の織物」とか言いますが、麻が、昔の日本では、米と同じくらい広く栽培され、麻の繊維が着物などにごく普通に使われていたのは、みなさまご存知の通りです。
 
ちなみに、徳川家康は、麻のふんどしが好物だったのだそうで(絹や木綿よりも、通風性にすぐれ、蒸れない)、また、麻の着物は、特に夏場では、吸湿吸汗に優れ、しかも速乾性でもあることから、日本中で幅広く愛用されていたものです。

また、和紙、といえば、繊維が長く丈夫な紙としてもよく知られていますが、実はこの和紙、いろいろな種類があるけれど、原料としても最も多く使われたのが、麻です。

和紙のことは、別名「麻紙」とも呼ばれ、これまた紙の中でも、最も古い歴史を持ちます。
この麻紙、実はたいへんなエコロジー紙でもありました。

麻の繊維からは、まず綺麗な着物を作ります。
日本の着物はフリーサイズなので、だいたい三代(自分、子、孫の代)まで使われますが、最後は、継ぎはぎだらけのボロとなります。
ボロとなっった着物は、ほぐして雑巾や、袋物などに使い、これまたボロボロになると、こんどは麻布を細かく刻んで煮沸し、漉(す)いて、麻紙にしたのです。

この麻紙は、書道の練習用紙や、各種手紙、大福帳など書き付け用の紙として使われただけでなく、ふすま紙や、障子紙としても使われました。

つまり、我が家のふすま紙は、曾祖父や、そのまた曾祖母の着ていた衣類が、そのまま壁紙になっている、なんていうことが、ごく一般的にあったのです。

しかも、襖紙や障子が破れると、これまた細かく刻んで漉き直し、またまた紙として再生して利用しました。

そうは言っても、和紙って値段が高いですよね、などと今の人は思うかもしれません。
けれど実は、麻の栽培は、戦前の日本では、米と同じくらい、日本中で作付けされ、戦前の小学校の教科書では、麻の栽培方法が、詳しく掲載されているほど、だったのです。

麻は、自生するくらい繁殖力が強いし、栽培すればだいたい半年で収穫できます。
実や葉は食べれるし、茎からは繊維がとれる。
しかも実からは、植物性のヘルシーな油まで採れてしまいます。

つまり、麻と日本人は、切っても切れない、とっても大切なお友達だったのです。
収穫量も多く、ですから日本では、和紙は、もともとはとっても値段の安く身近なものだったのです。

その身近だった「麻」と、なにやら危険な香りのする「大麻」は、どこがどう違うのかというと、実は、まったく同じ植物を指します。

実は、「大麻」とは「麻」の別称でしかありません。
もともとの名前は、単に「麻」でしたが、大昔に伊勢神宮が発行する神札のことを「大麻」と名付けたところから、「麻」のことを、別称で「大麻」と呼ぶようになっただけのことです。

要するに、「大麻」と「麻(アサ)」は、同じものです。

そもそも麻は、中央アジア原産の一年生の草で、アジアでは、ごく一般的な野草です。

自然に麻が生い茂った場所は、古来、麻草(浅草)、麻布、多麻川(多摩川)など、麻の文字が、いまでは異なった漢字を充てている場所も多いけれど、日本中の地名にみることができます。
それだけ一般的だった麻が、いまでは「大麻取締法」で規制されています。

冒頭にも書きましたが、この法律は、終戦直後の昭和23(1948)年、GHQの指示で、突然降って湧いたように定められました。

しかも法の第二条、第三条では、大麻は研究目的で都道府県知事の免許を受けた者でなければ、一切の栽培も所持も、譲渡もできない、研究目的以外には、一切、使用してはならない、とまで定められています。

実は、日本人にとって、きわめて身近な存在だった麻が取締の対象となった背景には、米国の石油資本の影響があります

荒れ地でもすくすく育ち、収穫高も多く、繊維製品や紙製品としてきわめて需要の多い麻の栽培や収穫を規制すれば、石油から作られる化学繊維が爆発的に普及する
そうすれば石油資本は、巨万の富を築きあげることができる。

そのために、麻=大麻=麻薬というイメージを作り上げ、麻を「麻薬(=源字は、魔薬)」として取り締まりの対象にまでして、規制してしまった、というわけです。

つまり、私達現代日本人が、有害、犯罪物と信じて疑わない「大麻」は、実は有害でもなんでもなくて、むしろたいへんに身近だったものであり、それを石油資本がGHQを通じて、いわば強引に「魔薬」としてまった、それにより農業における麻栽培や、麻を使った繊維産業、紙産業、麻を利用した麻文化などが、戦後、まるごと淘汰されてしまったのです。

なお、ついでにいうと、相撲界では、縁起かつぎに護摩焚きをするし、土俵のお清めのために、枯れた麻の茎の束を燃やして、煙を出し、土俵をいぶします。

これは密教にいう、護摩焚き供養と同じもので、護摩焚でも、麻の茎を燃やして、煙を出します。

なぜ麻を使うかというと、麻を燃やして出るときの煙には、鎮咳作用があって、煙を吸ってもゲボゲボならない。
しかも、煙でいぶすことで、たとえば相撲なら、土俵の上にいる小虫を追い払うことができる。
だから、麻を燃やした煙を使うのです。

けれど、このとき燃やされる麻の束から出る煙を吸うと、大麻反応が出ます。
当然です。
ゲボゲボと咽(む)せない麻の煙を吸っているからです。


私は、個人的に、薬物の吸引をしようとか、麻薬に手をだそうとか、そういう思いはまったくありません。
ただ、麻というものが、ほんとうに不適切な、危険で取り締まらなければならないような危ないシロモノなのか、そこのところは、もう一度、ちゃんと考えて見なければならないのではないかと思っています。

そもそも麻は、先に述べた通り、生育期間が木と比べて非常に早くて、半年程度で収穫可能です。
麻からできる繊維で紙を生産すると、国内だけで永続的に使用可能な紙パルプの供給ができ、大量な紙を使う時代においてさえ、南方の森林を伐採をする必要がなくなります。

加えて、石油からできるプラスチックは、土に分解しないし、土中に埋めれば大量のダイオキシンを発生させ、土地を痛めますし、燃やせば有毒ガスが発生します。

けれど、麻の茎に含まれているセルロースを原料として作られる麻プラスチックは、自然に土に分解するだけでなく、有毒物質を発生させず、しかも燃やしたときにも有害物質を排出しません。

また、麻の実は、消化吸収に優れた良質なタンパク源と8種類の必須脂肪酸が含まれていて、必須脂肪酸のリノール酸とアルファーリノレイ酸が3対1という理想的な割合で含まれていて、きわめて健康に良いし、麻でできた衣類は、まさに速乾吸汗。
古着は、ほぐして砕けば紙になり、麻紙は、なんどでも再生可能な紙の原料となります。

麻の葉や花穂は、副作用が大変少ない喘息や痛み止め・不眠症などの医薬品として過去何千年も支那やインド、アラブ、アフリカ地方さらに日本で使われてきたものです。

そうした、ごく一般的に普及してきたものが、ある日、突然規制の対象となる。
そして米国が仕切る石油を原料とする製品を買わされる。

そこには、極めてご都合主義的な、米国の思惑が見え隠れしています。

ここではなにも、日本の麻産業が、米国の思惑、GHQによる規制によって壊滅させられたことの恨みつらみを述べようとしているのではありません。

そうではなくて、米国という国は、自国の国益のためには、他国で法律を変えてでも、自国の国益を得ようとする、そういう国である、ということを申し上げようとしています。

つまり、米国は、親日でも、反日でもなく、他の諸国と同様、自国の繁栄を第一とする国家だ、ということです。

これは実に「あたりまえ」の話です。

日本や、アジアの国々には、今生を美しく生きることが魂の浄化に繋がり、今生だけでなく来世に至る幸福な人生を約束すると考えますが、白人社会には、こうした輪廻転生思想はありません。

(中略)

大麻は、麻のことを言います。
その麻は、戦後のGHQと、それを背後から支える米国石油資本によって、麻薬(そもそも魔薬を麻薬と「麻」の字を使うことからして、おかしな事態です)と規定され、エコロジーで環境問題さえひき起さず、夏涼しくて、冬温かい繊維製品さえも、私達は失うことになりました。

そうした夏涼しくて、冬温かい繊維製品を失った日本人は、暑い夏を乗り切るために、石油をガンガン炊いて出来る電力でエアコンを点け、そのエアコンの放射熱で、巷はさらに暑くベトベトした気象となり、屋内が快適な分、屋外で不快な思いをしなければならなくなりました。

そしてそのエアコンの電力さえも供給が乏しくなり、こんどは省エネです。

また一方では、紙パルプを得るために、森林を広域で破壊し、石油製品廃棄物は新たに産廃問題をひき起し、石油を燃やした炎はCO2問題を、また新たな環境問題ととしています。

そしてエアコンの放射熱とアスファルトを炎天下に晒された都会では、上空に冷たい空気が来ると途端に極端に大きな積乱雲を発生させ、昔なら考えられなかったようなどしゃ降りの雨を発生させています。

戦後生まれの私達は、子供の頃から、「古くからある常識は疑ってかかれ」と教わってきました。
そして古くからあるしきたりや、常識を否定し、変えることが、新たな時代を築き、新たな文化を育てると信じて、戦後の数十年を過ごしてきました。

けれど、いま、振り返ってみるに、私達が戦後「常識」として信じ込んでいたものこそ、単に「信じ込まされていた虚構」にすぎなかったのではないかと感じます。

私達は、戦後新たに「常識」となったすべてを、もう一度見直し、温故知新、古きをたずねて、新しきを知る、そうした努力が必要になってきているのではないか。

私は、そう思うのです。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2520

Trending Articles