転載元 雁屋哲の今日もまた
2010-09-07■鳩山由紀夫氏から菅直人氏へ(3)
これまでに、どうして日本がアメリカの奴隷国家になったのか話してきた。
昭和天皇の責任もある程度話した。
(充分ではない)
自民党の結成当時のことも、その表面的なことだけ話した。
もっと、深いところは、流石にアメリカの公文書館でも明らかにしていないし、自民党関係者が、これまで真実を語る勇気を持つ訳がなかいから、仕方がない。
押さえておくべき事は、
自民党はアメリカのCIAエージェント(代理人)として、金で買われた岸信介と児玉誉士夫によって作られたと言うことである。
岸信介は、東条内閣の商工大臣。
A級戦犯である。
この、A級戦犯だとか、B級戦犯とかいう言葉は、連合軍側が付けた物であって、連合軍側から見ればA級だかB級だか知らないが、そんな呼び方を勝手に付けられた我々日本人が、連合軍側の価値判断に従って、自分たちの国の政治家をA級戦犯などと呼んで事足れりとしているのはおかしな話だ。
日本人が、日本の戦争責任をきちんと自分たちで追及してこなかった、いい加減さ、怠惰、狡さ、がここに表れている。
我々日本人としては岸信介を「特級戦犯」に指定して、我々日本人自身が彼の戦争責任を追及するべきなのに、アメリカが、CIAのエージェントになることと引き替えに釈放してしまうと、日本人は、岸が敗戦までにどれだけのことをしたのか、追及するどころか、岸信介はあっという間に代議士になり、総理大臣にまでなってしまった。
こんな男を総理大臣にしてしまうなんて、本当に日本人はどうかしている。
良く日本の政治家は悪い、などと言うが、冗談じゃない、そんな悪い代議士を選ぶ選挙区の人間が悪いんだ。
日本を悪くしてきたのは、悪い政治家を選び続けて来た日本人自身だよ。
悪い政治家を自分で選んできた日本人自身だ。
個別に喧嘩を売る訳ではないが、岸信介を始め、安倍晋三に至るまで、悪質な連中を自分たちの代表として選び続けた選挙区の人々には「君たちが日本を駄目にするのに一番力を貸した人々なんだよ」と言いたい。
君たちの一票が、日本を駄目にして行ったんだ。
その自覚なんて、君たちにはないだろうな。
岸信介のもう一つの悪行。
それは、文鮮明の統一協会が日本に侵入するのを助けたこと。
その女婿である安倍晋太郎も強力な統一協会支持者だったし、
その息子、岸信介の孫、安倍晋三も統一協会の保護者だ。
統一協会が、霊感商法など様々な悪事を重ねても、全然潰されないのは、岸信介に始まる自民党の政治家の保護があるからだ。
勿論、その政治家達は統一協会から金を貰っている。
その金は、統一協会が日本人を詐欺に引っかけて強奪した金だ。
日本に統一協会をはびこらせたのは岸信介とその一派、自民党議員だ。
岸信介ほどの悪質な人間は、日本史の中でもまれだ。
岸信介は、アメリカが日本を軍事基地として自由に使うことを許すように、日米安全保障条約を改定した。
日本がアメリカに隷属して身動き出来ない状況を、岸は作り上げたのである。
実に、CIAのエージェントとしては、アメリカの文書にも書かれているように、優秀だった。
1965年に、日本と大韓民国の間に「日韓基本条約」が結ばれたが、これはアメリにとって、東アジアを安定させるために必要な物であり、そのアメリカの意に従って、やはり、岸信介と児玉誉士夫が中心になって事を進めた。
その時のことは、時の韓国のKCIA(アメリカのCIAのような諜報機関)の部長で、後に韓国の首相になった金鍾泌氏がNHKテレビでも証言して、児玉誉士夫と一緒の写真も見せた。
「日韓基本条約」は、アメリカの意図の元に、岸信介、児玉誉士夫というCIAのエージェントの働きで、当時の韓国の独裁者朴正煕と佐藤栄作首相の下に結ばれた。
それ以降、現在に至るまで、戦前・戦中の日本政府が韓国・朝鮮人に対する被害を与えた事例が明らかになっても、その賠償問題は「日韓基本条約」で解決済みと言って日本政府は逃げている。
この児玉誉士夫という人物について、今の若い人達には理解出来ないだろうと思うので、ここでおさらいしよう。
児玉誉士夫は1911年2月18日に福島県安達郡に生まれた。
それから以後のことは省略するが、とにかく、児玉誉士夫は右翼組織に入った。
1929年、18歳の時に、当時の絶望的な農民社会、失業者群、を救うためには天皇に訴えてこの社会を何とかして貰うしかないと考えて、東京麹町で天皇の車に突進して、直訴しようとした。
当然、警察に押さえられて、懲役6カ月の刑を受けた。
しかし、それが、児玉誉士夫の右翼社会での権威付けに大きく役に立った。
天皇に直訴した、と言うだけで、それまでの言葉だけ勇ましいことを言っていた右翼とは違って、行動右翼として、大変な闘士とし恐れられ、高く買われた。
1931年、時の浜口雄幸内閣の大蔵大臣井上準之助は金の輸出禁止を解き、為替相場を安定させようとしたが、世界恐慌の深刻化とデフレ政策が重なって、日本は大不況にみまわれ(昭和恐慌)、輸出は振るわず、金は流出し、日本経済は破綻に瀕した。
児玉誉士夫はそれに対して井上準之助に怒りを抱き、「護身用なり切腹用なり、自由に使え」と書いた手紙と一緒に短刀の小包を井上準之助に送った。
これで、児玉誉士夫は懲役5カ月の刑を受けた。
さらに、1935年、政党財界の巨頭、重臣らを襲撃して殺害し、東京全体を混乱に陥れて、軍に戒厳令を敷かせよう、
軍部が立ち上がり我々に協力することで、政党政治を終わらせ、国家改造を達成しよう、と企んだ。
しかし、直前にこの企みが発覚し、集まりの場を警察官に急襲され、児玉誉士夫は短銃自殺を図ったが、命は助かり、懲役4年6カ月の刑に服した。
このように、児玉誉士夫は行動派右翼でも、かなり目立つ存在だった。
ここまでは、反権力的な右翼だったのだが、それから後は、権力とべったりの右翼になった。
というより、権力と一体になった。
紆余曲折有って、児玉誉士夫は海軍と結びつき、「児玉機関」なる物を作り、中国で海軍に必要な物質を調達する働きをした。
敗戦後、中国から持帰った、プラチナ、ダイアモンド、タングステンなどを政治活動に使った。
特筆するべき事は、鳩山一郎に政権を取らせるために、本人が言うには「カマスに一つ半の宝石」とか「十畳くらいの大きさの部屋半分を占める量のプラチナ」を提供したと言うことである。
この、鳩山一郎との関係は、覚えておいて下さい。
その後、児玉誉士夫は日本の政財界の裏で、顔役として活躍し続けた。
何か大きな事件の裏には必ずと言っていいほど、児玉誉士夫がいた。
また、日本の暴力団を大同団結しようともした。
このときは、関西以西で、山口組と本多会という二つの暴力団が激しい争いを繰り広げていて、全国的な大同団結は出来なかったが、関東の暴力団は、稲川会、住吉会(今の住吉連合)などをまとめ上げて、暴力団のボスの上のボスになった。
後に、ロッキード事件が起こった時に、ロッキードのエージェントとして働いていたことが暴露され、ロッキード社から貰った金についての脱税容疑で起訴された。
本来なら、CIAのエージェントとしてアメリカから守られるはずの児玉誉士夫が日本の検察に挙げられたのは不思議だと思っていたが、前回挙げた、ティム・ワイナーの本に載っているCIAの文書で、その理由が分かった。
CIAは、
「児玉誉士夫は、情報提供者としては役に立たない。
彼は、自分の利益のことしか考えない」
として、既に見放されていたのである。
しかし、ロッキード事件が起こるまで、児玉誉士夫本人も、自民党の実力者たちも、それに結託し甘い汁を吸っていた人間達も、CIAが児玉誉士夫を見捨てていたとは夢にも思わなかっただろう。
ロッキードが日本側に渡した30億円の賄賂の内、田中角栄に渡ったのは5億円とされている。
5億円は大変な金額だが、30億円のうちの一部に過ぎない。
どうして、田中角栄ばかり検察は追及したか。
もちろん、総理大臣の犯罪と言うことで大きく取り扱わなければならないだろうが、そんなことを言えば、田中以前も以後も、総理大臣が関与したと思われる事件は沢山あったが、検察は全然手を出さない。
どうして、アメリカまで出かけていって、ロッキード関係者の嘱託尋問をするまでに力を入れたのか。
事件全体を考えると、不自然である。
これには、田中角栄が、日本が独自に石油を調達する道を開こうとしたことがアメリカを怒らせたからだという説がある。
事件の発端が、アメリカ上院で始まったことも「田中角栄がアメリカという虎の尾を踏んだ」という説に信憑性を持たせた。
そもそも、ロッキード社は自衛隊にF-104戦闘機を導入し、対潜哨戒機P-3Cも売り込んだ。
トライスターなどと言う旅客機より、F-104、P-3Cの方が、遙かに値が張る物で、その導入を巡って自民党の大物政治家が賄賂を取ったという噂は根強いが、検察は全然動かない。
なぜ、たかが旅客機なんかで動くのか。
これも、不自然だ。
このロッキード事件が、日本の政治家達を怯えさせたことは間違いがない。
アメリカの気にいらないことをすると、潰される。
日本の警察が長い間手も出せないでいた日本のボス中のボス、児玉誉士夫を一発で潰した。
今太閤で怖いもの無しの政界の実力者、田中角栄も潰した。
これは、恐ろしい。
この、政治の表と裏の二人の権力者を倒されたことで、日本の政治家・官僚たちは、アメリカの力のすごさを思い知らされて震え上がったことだろう。
アメリカのいうことを聞いていれば、検察は動かないと悟っただろう。
1976年という年、日本が高度成長で図に乗り始めた時だ。
その時点で日本の政治家を締め直すのにロッキード事件は大いに役に立った。
アメリカに逆らおうとする総理大臣は以後一人も現れない。
それどころか、「思いやり予算」を組んだりする始末だ。
日本のアメリカ隷属、絶対服従は、ロッキード事件以降、一層強化された。
それにしても、児玉誉士夫などの裏の勢力と密接に結びついた自民党政治は、ティム・ワイナーに
「日本人は、CIAのサポートによって作られた政治システムをKozo oshoku(構造汚職)と呼ぶようになった」
と書かれるくらい、汚職にまみれた腐敗した物となった。
それが、50年以上続いて、とうとう来年中には、日本の財政赤字は1000兆円を超えることが確実となるまでに、日本は破壊された。
自民党政府と官僚たち、それに結託するゼネコンなどが日本を破壊し尽くしたのである。
そこで、民主党政府に変わったところで、何が出来るというのか。
50年以上かけて、徹底的に破壊したこの国をどうして一年や二年で修復出来るというのか。
鳩山由紀夫氏は首相になると、検察やマスコミから猛烈な攻撃を受けた。
鳩山由紀夫氏が普天間問題で、アメリカを刺激することを言ったからだ。
日本の総理大臣で初めてアメリカの意に逆らうことを言ったのだ。
鳩山由紀夫氏は自分の祖父が、児玉誉士夫から巨額の資金援助を受けたことを忘れていたのだろうか。
が突然おとなしくなって首相を辞めたのは、それを思い出したか、だれかが、もっとまずい何ごとかを、氏に告げたのでは無かろうか。
CIAのエージェントである児玉誉士夫とそれだけ親密な関係に有れば、鳩山一郎氏も、何かをアメリカに握られているはずだ。
鳩山由紀夫氏はそれを、耳元でささやかれたのではないだろうか。
総理大臣は鳩山由紀夫氏から菅直人氏にかわった。
菅直人氏は、アメリカの神経に障ることを言わない。
アメリカの属国であることにアレルギーがない。
それどころか、IMFの希望通り、「消費税引き上げ」を言い出した。
選挙で負けることが分かっているにも拘わらず。
「消費税引き上げ」を言い出した裏に何があるのだろう。
IMFはInternational Monetary Fundの略だ。
国際通貨基金と日本語で訳されていて、国連の専門機関だし、日本もその理事国の一つだし、アジア太平洋地域事務所の所長は日本人だが、1997年のアジア通貨危機の際の動きを見ると、アメリカの意向が強いと思われる。
その、IMFは日本に消費税の増額を要求している。
結論から言えば、菅直人首相になったところで、日本のアメリカ隷属状況は変わらないだろう。
最後に、アメリカに隷属している内に、この日本の国土がどうなってしまっているのか、
まず、日本全体がアメリカの侵略基地となっているその全体図を見て頂こう。
まず、沖縄県全体の面積の10.9パーセント、沖縄本島の面積の19.3パーセントを米軍基地が占めていることに注目して頂きたい。
沖縄県の面積は全国の0.6パーセント、
そして、日本全国にある米軍基地の25パーセント、
日本全国で米軍基地が占める面積の内、
75パーセントが沖縄にある計算になる。
沖縄の米軍基地問題は、深刻な問題だが、
さらに我々が見のがしている大きな問題がある。
それは、アメリカが日本の空域を支配していることである。
福生市に横田基地がある。
その周辺の空域は横田エリアといって、米軍の支配下にある。
そこで何が起こるか。
日本の民間航空会社は、その横田エリアを通ることが出来ないのである。
横田エリアというと横田基地だけのように思われるが、何と1都8県にまたがる広さである。
しかも、地図などでは平面だけしか分からないが、空域となると、その上空、遙か高くまで入るのである。
こんな空域の高くまでアメリカが支配していて、日本の飛行機が入れない。
羽田から西方向へ行く場合、一旦羽田を離陸した後東京湾内で大回りしながら横田エリア上空を飛び越える高さまで上昇しなければならない。
羽田発大阪行きは特別に横田エリアを飛んでも良いが、高さの制限があるから、横田エリアを出てから、最適高度まで再上昇しなければならない。
ともに、大変な燃料の無駄遣いをすることになる。
羽田・成田空港へ西から到着する場合、
横田エリアを避けて飛行しなければならない。
定期航空協会の計算によれば、この横田エリアを避けるために、年に140億円も無駄な燃料を使っている。
狭い個所を往復の飛行機が通過しなければならないので、混雑する。
横田エリアだけでなく、岩国エリアもある。
ここも、当然、日本の飛行機は飛ぶことが出来ない。
自分の国の空を、アメリカに支配されていたなんて、みんな考えたことがないんじゃないのか。
燃料の無駄遣いも重大な問題だが、それ以上に日本と言う国の主権が侵されていることの方が遙かに重大な問題だ。
自分の国の空を自分の国の飛行機が自由に飛べない、そんな国は独立国ではない。
ロシアが不当に占拠している、北方四島の返還を要求することも大事だが、この空域をまず返還させることの方が大事だろう。
自民党、民主党は、何か事が起こった場合、アメリカの軍事力に守って貰わなければならないから、米軍基地は必要だ、と言う。
しかし、何かが起こった場合、などと言うが、どこの国が日本に戦争を仕掛けるというのだ。
ロシア、韓国、中国、北朝鮮、
可能性があるのはこの4国しかないが、この4国のどれが日本に攻撃を仕掛けるというのか。
北朝鮮の金正日氏は、時々とんでもないことをするから、ノドンやテポドンを日本に打ち込まないとは限らないが、そのミサイルは、米軍がいても防げない。
ミサイル防衛計画など実際の役に立つかどうかもわからないし、まだ完成もしていない。
何処かの国が日本へ戦争を仕掛ける可能性はゼロに近い。
唯一可能性がある尖閣諸島で起こるかも知れない中国との揉め事に際して、アメリカは日本を助けないという。
それでは、アメリカ軍に日本にいて貰う必要がない。
米軍は、日本にとって厄介なだけで、何の役にも立たない。
それなのに、アメリカ軍は日本に居座り、
イラクやアフガニスタンに、日本の基地から攻撃に行く。
アメリカは、第二次大戦の戦利品として、日本を徹底的に利用してしゃぶり尽くすだけなんだ。
私は、このまま、アメリカの属国の人間として死ぬのはいやだ。
反米を煽っている訳じゃない。
日本を普通の国にかえしたいと願っているだけだ。
奴隷のまま死ぬのは切なすぎるのだ。
情けないのだ。みじめなのだ。
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転載元 雁屋哲の今日もまた2010-05-25■敵を間違えるな
鳩山首相が沖縄県知事に面会して、普天間基地移転問題について、
「辺野古周辺にお願いするしかなく、県外に移転するという公約を守れなかったことをお詫びする」
と言った。
鳩山由紀夫氏の今回の基地問題についての敗北宣言である。
「ほら、鳩山は出来なかった」と、新聞・テレビははやし立て、
沖縄の人びとは「鳩山は裏切った」とか
「鳩山は嘘をついた」などと言って怒っている。
私は、鳩山由紀夫氏を支持する者ではないが、これまでの経過を冷静に見ると、当然の帰結だと思う。
鳩山由紀夫氏は、公約を守ることが出来なかったのは事実だが、一体、今の鳩山由紀夫氏のような立場におかれて公約を守ることの出来る政治家がいるだろうか。
鳩山由紀夫氏が公約を守ることが出来なかったのは、氏個人だけの責任ではない。
我々、日本人全体の責任だ。
(戦後の「一億層懺悔」の真似をしようと言うのではない)
私の考えをまとめよう。
鳩山由紀夫氏はアメリカに負けた。
基地問題に於いて、日本人が戦うべき相手はアメリカである。
アメリカと戦おうとしている鳩山由紀夫氏の足を掬い背中から攻撃をする。
日本人は、自分たちの敵を間違えている。
敵は鳩山由紀夫氏ではない。
アメリカだ。
鳩山由紀夫氏が戦後の日本の首相として初めてアメリカと戦おうとしているのに、日本人は一致協力するどころか、鳩山氏の足を引っ張った。
日本人は、アメリカの基地問題に本気で取り組む気概を失っている。
沖縄県人の苦しみを、他県の人間は自分の物とせず、他人事のように思っている。
朝日新聞社のAERAの5月24日号に、
内田樹氏が、
「『無法を止める』から始める基地問題」
と題して次のように書いているので、引用させて頂く。
「沖縄米軍基地について、日本政府は過去65年にわたって
『東アジアの地政学的安定のために不可欠』
だという説明を繰返して、沖縄の人々に非道な犠牲を強いてきた。
ここに貫かれているのは
『属国は宗主国の要求がどれほど無法でも受け容れるしかない』
というワイルドなルールであり、アメリカ・日本・沖縄は立場を入れ替えながら、同じ図式を反復してきた。
(途中要約:
冷戦は終わり、アメリカはかげりが見え、東アジアに基地はもう要らないという声がアメリカ国内にもあり、フィリピンのクラーク基地、スービック基地から撤退し、韓国内の基地の劇的な縮小を決めた)
その中にあって、日本についてだけアメリカが基地撤去を受け容れないのは、東アジア唯一の敗戦国に対しては『無法が通る』と思っているからである。
(途中要約:
それと同じように、日本政府が沖縄県民に犠牲を強いているのは、沖縄には『無法が通る』と思っているからである)
日本政府はまずおのれの『無法を止める』ところから始めるしかないだろう。
そのときはじめてアメリカに対して『無法を要求するな』という『倫理的』権利を手にすることができると私は思う。」
氏は、これまで日本政府は
「属国は宗主国の要求がどれほど無法でも受け容れるしかない」という
「ワイルドなルール」に従って、
沖縄の人々に非道な犠牲を強いてきた、
と言っている。
正にその通りで、
この65年間、日本政府は沖縄の基地問題に限らずアメリカに奴隷のごとく仕えてきた。
「ワイルドなルール」を押しつけてきたのは沖縄の基地問題でけではない。
アメリカは、日本のすることなす事全てに、「ワイルドなルール」に従うように強要してきた。
それを示す物が、
「年次改革要望書」であり、
「思いやり予算」である。
この、過去の日本政府が積み上げてきた、属国としての奴隷的政策を理解しないと、沖縄基地問題を解決出来ない。◆「年次改革要望書」とは、
アメリカが日本の産業、法制度、などについてその要求事項を日本政府に毎年送りつけ来る通達書である。
それがどのような範囲に及ぶかというと、
通信、情報技術、医療機器・医薬品、
金融サービス、競争政策、
商法および司法制度改革、
透明性、その他の政府慣行、民営化、
流通・・・
なんと、日本の社会の重要な分野全てに及んでいる。
2008年度の要望書は、アメリカ大使館のホームページに掲載されている。
http://japan.usembassy.gov/pdfs/wwwf-regref20081015.pdf
2004年度の要望書は、アメリカ大使館のホームページに掲載されている
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041020-50.html
これは、要望などという生やさしい物ではない。
日本に対して、「こうしろ」という命令書である。
この要望通りに事が進んでいるか、日米の担当官が定期的に会合を持って点検する。
アメリカの通商代表部は日本政府に圧力をかけて、要望書通りの実行を求めるのだ。
どんな要望をしているか、その一例を挙げる。
「農業に関連する慣行:
有機農産物輸入、安全な食品添加物、
収穫前・収穫後農薬の検査制度に関してCODEX基準に準拠する。
最大残留農薬基準に関して、できる限り貿易を制限することがない効果的な輸入措置を取る。 」
(CODEXとは、
独立行政法人・農林水産消費安全技術センターによれば、
FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機構)が合同で、消費者の健康保護や公正な食品貿易の確保を目的に作る食品規格のこと)
これを読んで、私は、腹の底から怒りがこみ上げてきた。
我々日本人が、自分たちの健康を守るために、自分たちの決めた安全基準を決めるのは当然のことだろう。
それを、こんなことをどうしてアメリカに指図されなければならないのだ。
一番の問題点は、
「最大残留農薬基準に関して、できる限り貿易を制限することがない効果的な輸入措置を取る。」
というところだ。
これは、言い換えれば、
「アメリカの農産物の残留農薬について、うるさいことを言わずに輸入しろ」
と言うことだ。
日本は、アメリカから大量の食料を輸入している。
大豆は日本人の食卓に欠かせない物だが、
その大豆の自給率は5パーセントでしかなく、
74パーセント以上はアメリカから輸入している。
大豆、小麦、などは栽培中は勿論、収穫した後も虫食いなどを防ぐために収穫後(ポストハーベスト)に農薬を使う。
その農薬残留基準を高くすると、大豆を始め、アメリカの農産物の日本に対する輸出が不利になるから、そんなことはするな、と言うのである。
そんなことは余計なお世話、
と言うより悪質な内政干渉だ。
自分たちの食べ物の安全性は、自分たちで判断して決める。
どんな基準であろうと、それに従えと、アメリカに言われる筋合いはない。
アメリカは日本人の健康などどうでも良い。自分たちの農産物が沢山、日本に売れれは良いのであって、その邪魔になるような残留農薬基準などアメリカに都合の良い数値にしておけ、と言うことである。
小泉首相は「改革、改革」と言いつのった。
その「改革は」はアメリカにせかされた改革だった。
郵政民営化も、小泉は最初、郵貯の民営化だけを言っていたが、アメリカの要望書に従って簡保が柱となり、結局4分割された。
「法科大学」が作られたのも、アメリカの要望書に従った物である。
念のために言っておくが、この「年次改革要望書」はアメリカの利益になるように日本を改革しろという命令書なのだ。
日本のための改革ではないのである。
こういう書類を受けとるというだけで、日本政府は、自尊心も何も無い人間達の集まりであることを示している。
それも、毎年受取るとは、情けない。
日本政府はどこの国の国民のための政府なのか。
日本の官僚はアメリカの要望書の命令を達成するために働いているような物だ。
こんな日本を独立国だと言えるか。
なぜ、アメリカが、こんな自国に都合の良い「改革要望書」を日本に突きつける権利があり、
なぜ、日本政府は「改革要望書」を押し頂き、アメリカの意のままに自国の政治を運営するのか。
これほど惨めで無残な二国間関係は、昔の植民地でしか見られなかったことだ。
日本は、何から何まで、アメリカの指図通りに動かなければならない、と歴代自民党政府が決めてきたのだ。
歴代自民党政府は、文字どおりの売国奴、腰抜けの売国奴共の集団だった。
65年間、そんな関係を続けてきたから、アメリカにすこしでも、逆らうと、手ひどい目に遭う。
小泉はアメリカに行って、ブッシュの前で、自分がアメリカの忠犬であることを示すためにプレスリーの真似をして馬鹿をさらしたが、その馬鹿さ加減がブッシュを安心させて、大変ブッシュの覚えが目出度かった。
ところが、鳩山由紀夫氏が少しでもアメリ基地に異論を申し立てると、TIME、ワシントンポスト、などを動員してて鳩山をアホだの、馬鹿だのと罵る。
挙げ句は、シャツの趣味が悪いと、人格を貶めるような誹謗を尽くす。
それに乗って、自民党の女性代議士が議場で、鳩山由紀夫氏にそのシャツの件でヤジを飛ばした。
その女性議員はアメリカから、ういやつ、とおぼえが目出度くなるだろう。
アメリカの奴隷試験に合格したのだ。
おめでとう。
日本人の大半は、このアメリカが毎年通達してくる「年次改革要望書」の事を知らない。
小泉と竹中という2人の売国奴が騒ぎたてた「改革」とは、
アメリカの「年次改革要望書」通りに日本の姿を変えることだったのだ。
一度、私が上に挙げた、アメリカ大使館のホームページで、その「年次改革要望書」を読んで貰いたい。
これで、髪の毛が逆立たず、血も逆流するような感じを抱かなかったとしたら、貴方も既に立派なアメリカの奴隷ですよ。
こういう関係が、65年続いているのだ。
それに、唯々諾々と従ってきた自民党政府がいなくなったからと言って、アメリカが急に態度を変える訳がないだろう。
鳩山由紀夫氏が何を言おうと、馬耳東風。
真面目になって言い続けると、突然兇悪な顔になって、脅迫的言辞をちらつかせれば、鳩山由紀夫氏も心がくじける。
(中略)
もう一つ、日本が情けない属国であることを示すのが「思いやり予算」である。
日本人の大半は、この「思いやり予算」などという言葉を知らないか、知っていても関心を払わない。
日本人全体に、奴隷根性がしみこんでいるのだ。
今この文章を読んでいる貴方。
私は貴方のことを言っているんですよ。
他人事のように読まないでね。◆「思いやり予算」とは、
1978年、円高ドル安に配慮して、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部負担(62億円)を日本政府が決めたのが始まりで、
その後、米国側の要求で、基地内の光熱費、水道費、施設建設費、さらには米兵のリクリエーション施設の経費などの厚生費まで範囲が広がり、金額も上昇した。
2010年4月7日のNHKの「ニュース9」によると、1978年から2010年までの32年間で、総額5兆5千億円に達する、というからすごい。
なぜ、「思いやり予算」などという訳の分からない名前がついたかというと、
1978当時の金丸防衛長官が
「思いやりの精神で米軍駐留軍の負担増に応じる」
と述べた事による。
これは、全く奇怪である。
沖縄に駐屯しているのはアメリカの海兵隊である。
元朝日新聞社会部記者で軍事ジャーナリストの田岡俊次によると、いざ戦争などが起こった時に、海兵隊の取る行動の優先順位は次のようになっていると言う。
・自国民(米国人)の救出・保護
・アメリカの永住権であるグリーンカードを持つ人の救出・保護
・友国であるカナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの人の保護。
・その他の人
この、4番目のその他の人の中に、日本人が入っているらしい。
いずれにしても、沖縄にいる海兵隊は、沖縄県の人間を助けるにしても、まず、自国、友国(アングロサクソンの国)のあと、余裕があればと言う程度である。
元防衛大臣の石破自民党政調会長も優先順位の1位が在留米国人であることを認めており、
日本人はせいぜい「在留米人を救出した後、空席があればついでに助けてもらえる」程度なのだといっているそうだ。
こういう、日本人のことなど考えていない海兵隊が、何か事があった時に日本を助けてくれるとはとても信じがたい。
こういう軍隊に、何を思いやってやる必要があるのだろう。
お人好しというか、奴隷根性もいい加減にして貰いたい。
「思いやり予算」の内容を、日本共産党の「しんぶん赤旗」が詳しく調べている。
私は日本共産党とは意見を異にするし、彼らの政治論など受け付けられないが、彼らは他のマスコミが調べないようなこともきちんと調べているので信用できる部分もある。
以下が、その「しんぶん赤旗」、2005年5月19付けの紙面である。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-10/03_01_0.html
これは、是非見て貰いたい。
アメリカ側の勝手な言い分。
贅沢な施設。
横須賀基地で日本の税金で働いている多くの日本人技術者たち。
そんな姿を実際に見ると、日本人として生きているのがいやになる。
「しんぶん赤旗」は1979年から「思いやり予算」で使った金額を2兆円と書いているが、
それは、住宅建設に限定された金額ではないか。
「ニュース9」の番組中で示された、5兆5千億円超という数字が、正しいと思う。
NHKの計算は、赤旗よりも詳しい。
この「思いやり予算」ほど、これまでの自民党政府がどんなに腰抜けで、アメリカの言うがままに、アメリカに尽くしてきたか、物語るものはない。
アメリカは、日本がアメリカに、金を貢ぎ、アメリカの基地を維持するのに日本人の税金を費やすのが当然と思っている。
ここでまた、「しんぶん赤旗」にお世話になる。
2010年3月19日の「しんぶん赤旗」に次のような記事が載っている。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-03-19/2010031902_03_1.html
「恩恵」と来たよ。
途方もないことを言うものだ。
居直り強盗、とはこのことだ。
NHKの番組の中でも、米軍関係者が
「日本のGDPからすれば、大した金額ではない」
といっている。
贅沢なジムなどの施設について
「娯楽と思われかも知れないが、米軍兵士の士気を高めるのに必要だ」
という内容のことを言っていた。
自分たちの兵士の士気を高めるのは、自分たちの金でやれよ。
自分たちの軍隊なんだろう。
あの兵士たちは、イラクやアフガニスタンで無差別市民殺戮を繰り広げている連中ではないか。
どうして、そんな残虐かつ非人道的な兵士たちの士気を我々日本人が高めてやらなければならないのだ。
フィリピンのクラーク基地、スービック基地から撤退し、韓国の基地も縮小したのに、米軍が日本から基地を撤退しないのは、この「思いやり予算」の存在が大きい。
アメリカは、おかげで大変に安い費用で基地を維持できる。
5兆5千億円も払ってくれる国がどこにあるか。
グアムに移すとなると、全て自前で基地を維持しなければならない。
勘定高いアメリカ人が、そんなことをする訳がない。
アメリカが、日本から基地を撤退する訳がない。
したがって、今の日米の力関係、歴史的に自民党政府が行ってきた屈辱的な隷属政策からして、沖縄から米軍が基地を撤退したり移転する訳がない。
「年次改革要望書」で、日本政府は自国の政策をアメリカに決められ、
「思いやり予算」でアメリカに徹底的に貢ぐ事を続けて来た。
アメリカは、「思いやり予算」は当然の権利だと思っている。
そんな状況で、鳩山由紀夫氏が普天間基地の県外移転を言い出しただけで、今までの状況をひっくり返す衝撃があったのだ。
鳩山由紀夫氏の公約を、「人気取りだとか」言う人が多い。
実際に、挫折したことをあざける人も多い。
しかし、これまで、歴代の自民党政府はアメリカと交渉することさえせず、
県外移転を言葉に出すことさえしなかった。
鳩山由紀夫氏は結局、アメリカに負けたが、とにかく日本の歴代の首相として初めて沖縄基地に対してアメリカの意に反することを言った。
一体、誰が鳩山由紀夫氏をあざけることが出来るのか。
韓国の米軍基地が大幅に縮小されたのは韓国人が全体となって、基地反対運動を続けたからだ。
日本人はどうか。
韓国人の根性のひとかけらも持ち合わせていない。
鳩山由紀夫氏が「米軍基地の県外移転」を言い出した時、
日本人全体は本当に愛国心があるなら、
米軍基地問題を真剣に考えるだけの根性があるなら、
鳩山由紀夫氏に協力するべきだったのだ。
母親から貰った金の処分の方法は確かにまずかった。
それに対する弁明も、愚かだった。
しかし、汚職で貯めた訳ではない。
沖縄の基地問題と比べて、どちらが重いのか。
それを、結局、不起訴にしかならなかった問題で大騒ぎして、鳩山由紀夫氏を大悪人に仕立て上げ、折角、米軍基地に日本人全体が反対して撤去・移転させる良い機会だったのに、その機会をつぶしてしまった。
検察と、新聞、テレビなどのマスコミは、今度もアメリカの手先になった。
自分たちで、手先になったという自覚がないとしても、結果としてアメリカを喜ばせた。
(サルメラ:
雁屋氏は、米軍基地が、そこに存在することの『抑止力』を、
どの程度に考えてたんだろう?
鳩山が総口撃を受けたのは、献金問題より、あっちにもこっちにも、『出来ない約束』してきたからだとワタシは記憶してるが……?)
私は今回の、マスコミの、小沢・鳩山叩きを見て、
「はて、これはかつて見たことのある情景だと思った」
そうだ。
1972年に起こった「沖縄密約事件」だ。
1971年に、時の総理大臣佐藤栄作がアメリカと「沖縄返還協定」を結んだ。
毎日新聞の西山太吉記者は、71年の調印直後、井川外務省条約局長とスナイダー米駐曰公使との間で交わされた極秘扱いの電信文を入手した。
それを元に、返還協定上はアメリカが自発的に支払うことになっていた400万ドルの補償費(具舞金)を日本が肩代わりする、という「密約」疑惑について毎日新聞に書いたが、大して反響を呼ばなかった。
その後、西山記者は、当時の社会党の横道孝弘議員へ、その極秘電文のコピーを渡し、横道議員が衆議院予算委員会で佐藤栄作をその件で追及したことで、電文の存在が暴露されてしまう。
さあ、ここからが、実に奇怪なことなのだが、その密約より、その極秘電文を西山太吉氏が外務省の女性職員から手に入れたことが問題にされた。
外務省の女性職員が国家公務員法100条の守秘義務違反容疑で逮捕され、西山太吉記者も同法111条のそそのかしの罪、で逮捕された。
これは、恐ろしいことであった。
逮捕するべきは、国民に嘘をついた佐藤栄作であるのに、逆に、その嘘を暴いた西山太吉氏と女性職員を逮捕した。
正悪逆である。
不正を正すのが検察の役目なのに、邪悪を許し、正しいものを捕まえる。
検察は、佐藤栄作とその背後のアメリカのために、佐藤栄作とアメリカの計画に邪魔になる西山太吉氏と女性職員を陥れたのである。
検察は勧善懲悪の逆だ。
悪を勧め正義を懲らしめる。
さらに、事態は醜悪な様相を呈してくる。
検察は、西山太吉が、外務省の女性職員と
「情を通じて」秘密電文を入手したと起訴状に書いた。
こう言うことを、普通書くか。
西山太吉記者と、外務省の女性記者を貶めるために、公の場でこんな言葉を使ったのだ。
ああ、日本の検察は、本当に品性がありますね。
気高くて恐れ多いですね。
牛の糞の次に品性がありますね。
すると、マスコミは、沖縄密約を忘れて、西山記者と外務省女性のスキャンダルを報道することに熱狂した。
たしかに、西山太吉氏の取材過程における行き過ぎはあっただろう。
しかし、男女の問題と、沖縄密約の問題と一体どちらが重要なのだ。
日本人にとって死活問題なのは、そのような密約をアメリカと交わしたことだろう。
あとで、その密約がもっと途方もない物を含んでいることが分かった。
事件後50年経ったことで、アメリカでは公文書の公開が始まって、ほかにも密約が幾つもあることが次々に明らかになった。
主なものだけでも、
◎日本がドルを連邦準備銀行に、25年間無利子で預け、その利子の分アメリカに1億1200万ドルの利益を与える、という密約。
◎沖縄返還後、核再持込みに関する密約。
戦争が起きた場合は沖縄に再び核を持ち込むことを認める。
◎沖縄返還時、費用肩代わりに関する密約。
沖縄返還にあたり、アメリカ軍が基地として使った土地を田畑に戻すための費用を日本が変わって支払う。
などがある。
このような密約がばれるのを恐れて、検察は、西山太吉氏を起訴し、日本にとって極めて重大な問題を、「男女の関係」に矮小化した。
すると、新聞、テレビは、連日、西山氏と女性職員の男女問題を騒ぎ立て、いつのまにか、肝心の沖縄密約の件は綺麗さっぱりと忘れ去られてしまった。
国民が、その問題を忘れるように、仕向けたとしか言いようがない。
日本人も、何が問題の本質かを忘れ、マスコミにおどらされて、西山太吉氏と外務省の女性職員の人格を貶めて喜ぶという、自分自身の劣情をかき立てて熱狂した。
西山氏の問題を論じるなら、その数倍を密約問題に費やすべきではないか。
なにが、日本という国にとって大事なものなのか、
マスコミの人々は判断がつかないような頭をしていたというのか。
そうではあるまい。
あれは意図的に起こされた騒ぎだったのだ。
検察と、マスコミが手を結んで、国家の犯罪を隠蔽したのである。
これで一番得をしたのはアメリカで、
次に、当時の佐藤栄作である。
私は、あれよあれよという間に、話が沖縄密約から男女の問題に変わって、その件をマスコミが騒ぎ立て、密約の問題が消えてしまったことに驚いた。
今回の鳩山由紀夫氏叩きも、これとよく似た図式である。
アメリカの不利になると、アメリカに飴をしゃぶらされてきた、あるいは日常的に恫喝を受けている、マスコミ首脳、検察庁幹部、はアメリカのために、鳩山由紀夫氏叩きになりふり構わず力を尽くした。
自分の頭で考えて、何が正しくて何が不正か、理解できない者は愚民である。
マスコミに扇動されて、何が正しくて何が不正か分からなくなる者も愚民である。
1972年の沖縄密約事件で、佐藤栄作とアメリカのために検察とマスコミの仕掛けた扇動に乗って、西山太吉氏を屈辱に追い込んだ当時の日本人は愚民だった。
今、また、検察とマスコミの扇動に乗って鳩山由紀夫氏を叩き、基地問題の解決を不可能にした日本人は、1972年当時の愚民状態から抜け出しているのだろうか。
最初に戻る。
基地問題に於いて日本が戦う相手はアメリカである。
今までに述べたことから、いかにアメリカが日本を蹂躙しているかお分かり頂けただろう。
基地を取り戻したかったら、アメリカと戦うのだ。
敵はアメリカだ、鳩山由紀夫氏ではない。
最大の敵を討つためには、鳩山由紀夫氏資金問題は、一時置いておいて、一緒に戦って、そのあとで資金問題を詰めれば良かったではないか。
物事には順番がある。順番を間違えると、取り返しがつかないことになる。
ところが、アメリカは、外務省をも、検察をも、政治家達をも、評論家たちをも抱き込んでいるから、アメリカの意を呈した外交評論家などを、新聞テレビなどは総動員して、
「日本にとって一番大切なのは日米関係である」
と言わせて、
アメリカのいうことを聞けと日本人に説教を垂れる。
そんな評論家たちがどんな人種かというと、
先日、元自民党の幹事長だった野中広務氏が、小渕内閣の官房長官在任中(98年7月~99年10月)、
内閣官房報償費(官房機密費)を毎月5000万~7000万円程度使い、
国会での野党工作のほか複数の政治評論家にも配っていたことを明らかにした。
そんな評論家たちが、マスコミに動員されているのである。
これが、アメリカに対する隷属状態が65年も続いた理由の一つである。
そして、ついに、検察、マスコミ連合の力の前に鳩山由紀夫氏は屈してしまった。
無残なる敗北である。
味方によって、背後から撃たれたら戦いようがないだろう。
この鳩山由紀夫氏の敗北を見せつけられると、この後、誰が首相になっても日本のこのアメリカに対する隷属状態を解消しようとする勇気を持つ者はいなくなるだろう。
鳩山由紀夫氏の敗北と共に、沖縄の人々が米軍基地から逃れ出る希望は潰えたのである。
日本がアメリカの隷属状態から抜け出す機会も消えたのである。
沖縄の人々も、誰が鳩山由紀夫氏を潰したか、冷静に判断して、その怒りをその人々に向けるべきだ。
鳩山由紀夫氏が公約を守れなかったのは、
アメリカの意を受けた彼の力を上廻る連中がいたからだろう。
沖縄の友人たちよ、間違えてはいけない。
鳩山由紀夫氏は真の敵ではない。
真の敵はアメリカだ。
敵を見失うな。
敵に通じている裏切り者を見失うな。
沖縄以外の県の人間で、鳩山由紀夫氏が公約を守れなかったからと、ののしり、非難する人々は自分たちの愚かしさを罵るが良い。
自分たちが何もしなかったくせに、鳩山由紀夫氏をどうして非難できるのだ。
昔のことわざに、「鷸蚌之争」(いっぽうのあらそい)というのがある。
「鷸」(いつ)は鳥の「シギ」のこと。
「蚌」(ぽう)は、ハマグリのこと。
「鷸蚌之争」とは、
「シギが、ハマグリを食べようとすると、
ハマグリが殻を閉じてシギのくちばしをはさんで押さえ込んでしまう。
シギもハマグリも困って立ち往生する。そこを、漁師が喜んでつかまえる」ということで、
「二者が愚かな争いをしているところを、
第三者の食い物にされてしまう」という意味になる。
鳩山由紀夫氏と検察・マスコミのを争いは、まさに「鷸蚌之争」である。
この場合、アメリカにそそのかされて「蚌」である鳩山由紀夫氏に攻撃を仕掛けた検察とマスコミが「鷸」だろう。
そして日本人同士、馬鹿な争いをしている内に、
漁師=アメリカは大きな利益を得たのだ。
これで、日本がアメリカの隷属状態から抜け出るのは早くとも21世紀半ばまでには無理だということになった。
実に残念だ。
私は、とうとう、アメリカの植民地の人間として一生を終えることになるのだ。
ああ、くやしいなあ。