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島地勝彦/同じ釜の飯は男の子を男に変えるんだ

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転載元 転載元 『乗り移り人生相談』島地勝彦
 

同じ釜の飯は男の子を男に変える


日本が海外から一段低く見られる最大の理由は単純に軍隊を持っていないからだと思う。
国と国との付き合いのうえで文化水準なんていうものは大して役に立たない。
ペンが剣より強いなんていうのはシビアな国際関係の中ではおとぎ話だよ。
暴力に対して防御はしても報復はしないと宣言している国がナメられるのは仕方ない。

日本が今後、戦争をする軍隊を持つことはあり得ないだろう。
だとしたら、国民の命を危険にさらすリスクは徹底的に排除しなければいけない。
それなのに、日本の食料自給率は(カロリーベースで)40%を割り込んでいる。
これは大いなる矛盾だと思う。
さらに深刻なことに、発酵学の泰斗、小泉武夫先生に聞いたのだが、日本の農業従事者の平均年齢は65歳というじゃないか。
日本人は自分たちの食い物をどうやって確保していくのか心配だね。

そこで、俺にはアイデアがあるんだ。
就職先がなく失業している若者たちに一定期間、集団生活で農業に従事してもらう制度を作るんだよ。
イスラエルのキブツみたいなものだな。
寝食をともにする集団生活のいい点は、文武両面で「とてもこいつには適わない」という人間に出会うことにある。
頭でっかちになって引きこもって若者が変るとしたら、同世代のすごい奴に会ってショックを受ける、
そして、太陽の下で大地の熱を感じて働くことが一番有効だと思う。
日本の女たちが韓流の俳優たちに熱狂するのは、彼らが徴兵によって集団生活の中で汗をかく経験しているからだと思うね。
同じ釜の飯は男の子を男に変えるんだ。

土を触り、自分で作ったトマトにかぶりつく生活を経験した若者の中からは、きっと農業に夢を見出す者が出てくると思う。
そうした若者が農業法人を作るのを国は支援し、日本の農業に風穴を開けてほしいね。
付加価値の高い農産物に特化して、きちんと利益の出せる新しいタイプのファーマー集団がどんどん生まれたら、それこそ日本の民度が上がったということになると思う。

まじめな話、日本の政府も大企業も若者たちに夢を与えられなくなっているじゃないか。
30年前までは、一流大学から大企業に入れば、まずは幸せな結婚ができ、そこそこに出世して一定以上の生活を築けた。
それがぶっ壊れてしまったからには、新しい夢を提示しないといけない。
その一つが農や畜産などの食糧の分野にあるんじゃないかと思っているんだ。

知り合いに、フランスに留学した後に、本場ラカンの食用鳩を導入して茨城県の広大な土地で飼育している男がいる。
これが見事な鳩でね。
岩手(青森でしたか?)には、やはりフォアグラを勉強して自分で鴨からフォアグラをつくっている人物もいる。
日本人の研究熱心さと勤勉は、レストランの分野で花開いたが、農の分野でも大きな可能性を秘めているんじゃないかな。

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