■和歌山小5殺害 近所の22歳男逮捕、容疑否認 「男児見たことない」
東京新聞 2015年2月7日
和歌山県紀の川市の住宅地で市立名手(なて)小五年、森田都史(とし)君(11)が刺殺された事件で、県警岩出署捜査本部は七日未明、殺人の疑いで現場近くに住む無職中村桜洲(おうしゅう)容疑者(22)=同市後田=を逮捕し、自宅から、なたやおののような大型で重いものを含む刃物数本を押収した。
「男の子を殺していない。見たこともなく知らない」と否認している。
逮捕容疑では、五日午後四時十五分ごろ、紀の川市後田の空き地で、刃物のようなもので頭部や右胸、両腕などを切りつけたり、突き刺したりして殺害したとされる。
捜査本部は、押収した刃物が事件に使われた形跡がないか確認を急ぐとともに、取り調べを本格化させて、動機など事件の全容解明を目指す。
二人の家は直線で約八十メートルの距離。捜査本部によると、中村容疑者は一月、傘を持って森田君の中学生の兄(12)を追い掛けるトラブルがあった。
森田君宅の前で立ち止まり、家をじっと見つめていたこともあったという。
森田君本人と面識があったかどうかは「把握していない」としている。
事件前後に現場付近で、カバーを掛けた刃物のようなものを持っていた男を近所の人が目撃。
中村容疑者と似ていたことや、以前から不審な行動を取っていたという聞き込み情報を踏まえ、同容疑者が捜査線上に浮かんだ。
事件後、髪を短く刈り込んだといい、捜査本部は関連を調べる。
中村容疑者は六日夕、母親らとともに近隣のかつらぎ署を訪れ、捜査本部の任意聴取に応じていた。
付近の住民によると、中村容疑者は工業高校を中退。
ゴーグルを着けて家の前で竹刀を振ったり、上半身裸で太い木の棒を持ったりする姿が目撃されていた。
森田都史君を刺殺したとして七日に殺人容疑で逮捕された中村桜洲容疑者は教育熱心な家庭に育ち、子どもの頃を知る人からはまじめでおとなしい性格とみられていた。
近所の住民らの話によると、中村容疑者には姉が二人おり、父は大学の教員。
母親は長く民生委員をしていた。
一家は二十年以上前に現在の自宅に移り住んだという。
息子が小学校の同級生だった女性(49)は「道で会うとしっかりあいさつしてくれた。両親はとても教育熱心で、しつけもきちんとしていた」。
一家を知る男性(78)も中村容疑者を「育ちがよく、まっすぐな性格」といい、事件と結びつかない様子だ。
志望した高校の受験に失敗し、工業高校に進学したが中退。「働かず何をしているのだろうか」といぶかる人もいた。
近所の住民によると、中村容疑者は地元の剣道クラブに入り、昔から家の前で素振りをしている姿が度々目撃されていた。
森田君も小学校低学年の時に剣道を習っており、同級生の母親は「負けず嫌いで練習に励んでいた」と話している。
◆住民 安堵と動揺「ほっとした」「うそであって」
現場周辺の住民や保護者らは七日午前、安堵(あんど)の一方で、逮捕されたのが近所の中村桜洲容疑者だったことに衝撃を隠せなかった。
中村容疑者の自宅は、森田君宅から約八十メートル。
どうして近所でこんな凶行が起きてしまったのか、不明な点も多く「(容疑者と)接点が分からない子が襲われて怖い」と全容解明に期待を寄せる。
複雑な胸中を明かすのは、森田君と中村容疑者の両方を知る四十代の男性。
「犯人が捕まってもらわないと困ると思っていたが…」。
幼少のころからにこにこしていた印象があるだけに、逮捕は強いショックだった。
容疑者を知る四十代の女性も「事件を起こしたとは思えない。うそであってほしい」と信じられない様子。
逮捕後、捜査車両に乗せられた中村容疑者は、丸刈りで眼鏡を掛け、格子模様のシャツ姿。
口を真一文字に結び、頬を膨らませるような表情をのぞかせた。
■「暴力犯罪者の5人に1人がサイコパス」
Jesse Ferreras
The Huffington Post Canada
投稿日: 2015年02月09日
◆再犯率が高いのは脳の構造に原因(研究結果)
「サイコパス」といわれる反社会的な人格、サイコパシー(精神病質)をもった人たち。
彼らが過去に犯した犯罪の結果から学ぶことができないのは、脳の構造に原因があるからだという研究結果が カナダのモントリオール大学のシャイラ・ホジンス教授と、キングス・カレッジ・ロンドンのナイジェル・ブラックウッド医学博士らによる研究チームによって発表された。
この研究のニュースリリースには、サイコパスの暴力犯罪者は、罰を受けた経験を普通の人と同じように処理できない。
そしてそれは罪の意識や、罰から学ぶことに関係した脳の部位に異常があるためだ、と書かれている。
ホジンス教授によると「暴力犯罪者の5人に1人はサイコパス」だという。
「サイコパスは再犯率が高く、矯正プログラムを受けてもあまり効果がありません」
サイコパスにはどんな特徴があるのだろうか。
「Psychology Today」誌によると、サイコパシーは精神障害の一種であり、この障害を持つ人は、感情が希薄で共感能力に乏しい。
また、サイコパスはやや自信過剰で魅力的な人物に見えることもあるが、同時に人を操ろうとする傾向や攻撃性があり、暴力的であることが多い。男女比についていえば、
「The International Journal of Women's Health」誌によると、サイコパスの特徴を示す女性の数は男性よりも大幅に少なく、そうした女性が暴力犯罪を犯す割合も低いとしている。
世間を騒がせた連続殺人事件の犯人、クリフォード・オルソンや、ポール・ベルナルド、テッド・バンディといった人物は、いずれもサイコパスの特徴を示していたと、カナダ公共放送の「CBC News」は報じている。
今回行われた研究では、そういったサイコパスの人たちの脳に何か違いがあるかどうかを調べるため、イギリスの保護観察所にいる暴力犯罪者たちの脳をMRIでスキャンし観察した。
被験者は全員が男性で、32人が反社会性パーソナリティ障害と診断された暴力犯罪者であり、そのうち12人はサイコパスでもあった。彼らは強姦、殺人、殺人未遂、傷害といった罪で有罪判決を受けていた。
また、18人の健康な非犯罪者も参加した。
脳をMRIでスキャンしている間、被験者たちには、ある絵合わせのゲームをしてもらった。
この絵合わせのゲームからは、参加者が「罰」にどのように反応するかを知る事ができる。
ニュースリリースの中で、ブラックウッド博士は研究の結果をこのように説明している。
「神経心理学に関係する課題で、暴力犯罪者たちは罰を示す手がかりがあっても、その手がかりから学ぶことができず、また変化に応じて行動を変えることもできなかった。またより長い時間をかけて考えたにもかかわらず、不適切な判断をすることが多かった」
◆脳の反応はどうだったのだろうか?
ホジンス教授によると、被験者のMRIスキャンから、「サイコパスの暴力犯罪者には、脳の灰白質および特定の白質の両方の線維束に構造的な異常」が見つかったという。
白質は脳の各部位の間の情報の伝達を調整し、灰白質は認知機能と情報に関連している部位だ。
具体的にいえば、サイコパスの脳では、灰白質のうち共感・困惑・罪に関連する部分に萎縮が見られた。
一方の白質は、罪や報償の経験から学ぶことに関係している部位だが、そこにも異常がみられたという。
加えて、サイコパスの犯罪者は罰に対する「異常な反応」を見せたのに対し、サイコパスではない暴力犯罪者は、「非犯罪者とよく似た脳の働き」とブラックウッド博士は説明している。
「こうした結果は、サイコパスの暴力犯罪者は、罰や報償から学ぶことに使われる脳のネットワークの組織に特徴的な違いがある、ということを示唆している」
これらの結果から研究は、サイコパスの犯罪者は自分の行為がもたらすであろう結果のうち、自分にとって都合の良いことだけを考え、都合が悪い面は考えていない可能性がある、と結論づけている。
「罰を受ける可能性を示すサインを読むことは、行動を変えるために必要なことです」と、ホジンス教授は言う。
「明らかに、ある状況で犯罪者たちは罰から学んで自分の行動を変えることが困難でした」
ニュースリリースにはまた、問題行動とサイコパスの兆候は小児期の時点ですでに現れていることがあり、この時期であれば「学習を中心した治療」で脳の働き方を変えることができる可能性があるとも書かれている。
ホジンス教授は、サイコパス的な行動を起こさせる脳の働きを中心に治療を行うことで、暴力犯罪を減らせるかもしれない、と述べている。
今回の研究結果では、サイコパスの脳は普通の人の脳と違う働き方をするということが示されたが、一方で2012年にクイーンズ大学が中心となって行った研究は、サイコパスは精神を患っているわけではなく、完全に責任能力があるとしており、研究の主著者ダニエル・クルップ氏は、サイコパスは「自分の行動がもたらす結果を十分に理解している」と述べたという。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:水書健司、合原弘子/ガリレオ]
東京新聞 2015年2月7日
和歌山県紀の川市の住宅地で市立名手(なて)小五年、森田都史(とし)君(11)が刺殺された事件で、県警岩出署捜査本部は七日未明、殺人の疑いで現場近くに住む無職中村桜洲(おうしゅう)容疑者(22)=同市後田=を逮捕し、自宅から、なたやおののような大型で重いものを含む刃物数本を押収した。
「男の子を殺していない。見たこともなく知らない」と否認している。
逮捕容疑では、五日午後四時十五分ごろ、紀の川市後田の空き地で、刃物のようなもので頭部や右胸、両腕などを切りつけたり、突き刺したりして殺害したとされる。
捜査本部は、押収した刃物が事件に使われた形跡がないか確認を急ぐとともに、取り調べを本格化させて、動機など事件の全容解明を目指す。
二人の家は直線で約八十メートルの距離。捜査本部によると、中村容疑者は一月、傘を持って森田君の中学生の兄(12)を追い掛けるトラブルがあった。
森田君宅の前で立ち止まり、家をじっと見つめていたこともあったという。
森田君本人と面識があったかどうかは「把握していない」としている。
事件前後に現場付近で、カバーを掛けた刃物のようなものを持っていた男を近所の人が目撃。
中村容疑者と似ていたことや、以前から不審な行動を取っていたという聞き込み情報を踏まえ、同容疑者が捜査線上に浮かんだ。
事件後、髪を短く刈り込んだといい、捜査本部は関連を調べる。
中村容疑者は六日夕、母親らとともに近隣のかつらぎ署を訪れ、捜査本部の任意聴取に応じていた。
付近の住民によると、中村容疑者は工業高校を中退。
ゴーグルを着けて家の前で竹刀を振ったり、上半身裸で太い木の棒を持ったりする姿が目撃されていた。
森田都史君を刺殺したとして七日に殺人容疑で逮捕された中村桜洲容疑者は教育熱心な家庭に育ち、子どもの頃を知る人からはまじめでおとなしい性格とみられていた。
近所の住民らの話によると、中村容疑者には姉が二人おり、父は大学の教員。
母親は長く民生委員をしていた。
一家は二十年以上前に現在の自宅に移り住んだという。
息子が小学校の同級生だった女性(49)は「道で会うとしっかりあいさつしてくれた。両親はとても教育熱心で、しつけもきちんとしていた」。
一家を知る男性(78)も中村容疑者を「育ちがよく、まっすぐな性格」といい、事件と結びつかない様子だ。
志望した高校の受験に失敗し、工業高校に進学したが中退。「働かず何をしているのだろうか」といぶかる人もいた。
近所の住民によると、中村容疑者は地元の剣道クラブに入り、昔から家の前で素振りをしている姿が度々目撃されていた。
森田君も小学校低学年の時に剣道を習っており、同級生の母親は「負けず嫌いで練習に励んでいた」と話している。
◆住民 安堵と動揺「ほっとした」「うそであって」
現場周辺の住民や保護者らは七日午前、安堵(あんど)の一方で、逮捕されたのが近所の中村桜洲容疑者だったことに衝撃を隠せなかった。
中村容疑者の自宅は、森田君宅から約八十メートル。
どうして近所でこんな凶行が起きてしまったのか、不明な点も多く「(容疑者と)接点が分からない子が襲われて怖い」と全容解明に期待を寄せる。
複雑な胸中を明かすのは、森田君と中村容疑者の両方を知る四十代の男性。
「犯人が捕まってもらわないと困ると思っていたが…」。
幼少のころからにこにこしていた印象があるだけに、逮捕は強いショックだった。
容疑者を知る四十代の女性も「事件を起こしたとは思えない。うそであってほしい」と信じられない様子。
逮捕後、捜査車両に乗せられた中村容疑者は、丸刈りで眼鏡を掛け、格子模様のシャツ姿。
口を真一文字に結び、頬を膨らませるような表情をのぞかせた。
■「暴力犯罪者の5人に1人がサイコパス」
Jesse Ferreras
The Huffington Post Canada
投稿日: 2015年02月09日
◆再犯率が高いのは脳の構造に原因(研究結果)
「サイコパス」といわれる反社会的な人格、サイコパシー(精神病質)をもった人たち。
彼らが過去に犯した犯罪の結果から学ぶことができないのは、脳の構造に原因があるからだという研究結果が カナダのモントリオール大学のシャイラ・ホジンス教授と、キングス・カレッジ・ロンドンのナイジェル・ブラックウッド医学博士らによる研究チームによって発表された。
この研究のニュースリリースには、サイコパスの暴力犯罪者は、罰を受けた経験を普通の人と同じように処理できない。
そしてそれは罪の意識や、罰から学ぶことに関係した脳の部位に異常があるためだ、と書かれている。
ホジンス教授によると「暴力犯罪者の5人に1人はサイコパス」だという。
「サイコパスは再犯率が高く、矯正プログラムを受けてもあまり効果がありません」
サイコパスにはどんな特徴があるのだろうか。
「Psychology Today」誌によると、サイコパシーは精神障害の一種であり、この障害を持つ人は、感情が希薄で共感能力に乏しい。
また、サイコパスはやや自信過剰で魅力的な人物に見えることもあるが、同時に人を操ろうとする傾向や攻撃性があり、暴力的であることが多い。男女比についていえば、
「The International Journal of Women's Health」誌によると、サイコパスの特徴を示す女性の数は男性よりも大幅に少なく、そうした女性が暴力犯罪を犯す割合も低いとしている。
世間を騒がせた連続殺人事件の犯人、クリフォード・オルソンや、ポール・ベルナルド、テッド・バンディといった人物は、いずれもサイコパスの特徴を示していたと、カナダ公共放送の「CBC News」は報じている。
今回行われた研究では、そういったサイコパスの人たちの脳に何か違いがあるかどうかを調べるため、イギリスの保護観察所にいる暴力犯罪者たちの脳をMRIでスキャンし観察した。
被験者は全員が男性で、32人が反社会性パーソナリティ障害と診断された暴力犯罪者であり、そのうち12人はサイコパスでもあった。彼らは強姦、殺人、殺人未遂、傷害といった罪で有罪判決を受けていた。
また、18人の健康な非犯罪者も参加した。
脳をMRIでスキャンしている間、被験者たちには、ある絵合わせのゲームをしてもらった。
この絵合わせのゲームからは、参加者が「罰」にどのように反応するかを知る事ができる。
ニュースリリースの中で、ブラックウッド博士は研究の結果をこのように説明している。
「神経心理学に関係する課題で、暴力犯罪者たちは罰を示す手がかりがあっても、その手がかりから学ぶことができず、また変化に応じて行動を変えることもできなかった。またより長い時間をかけて考えたにもかかわらず、不適切な判断をすることが多かった」
◆脳の反応はどうだったのだろうか?
ホジンス教授によると、被験者のMRIスキャンから、「サイコパスの暴力犯罪者には、脳の灰白質および特定の白質の両方の線維束に構造的な異常」が見つかったという。
白質は脳の各部位の間の情報の伝達を調整し、灰白質は認知機能と情報に関連している部位だ。
具体的にいえば、サイコパスの脳では、灰白質のうち共感・困惑・罪に関連する部分に萎縮が見られた。
一方の白質は、罪や報償の経験から学ぶことに関係している部位だが、そこにも異常がみられたという。
加えて、サイコパスの犯罪者は罰に対する「異常な反応」を見せたのに対し、サイコパスではない暴力犯罪者は、「非犯罪者とよく似た脳の働き」とブラックウッド博士は説明している。
「こうした結果は、サイコパスの暴力犯罪者は、罰や報償から学ぶことに使われる脳のネットワークの組織に特徴的な違いがある、ということを示唆している」
これらの結果から研究は、サイコパスの犯罪者は自分の行為がもたらすであろう結果のうち、自分にとって都合の良いことだけを考え、都合が悪い面は考えていない可能性がある、と結論づけている。
「罰を受ける可能性を示すサインを読むことは、行動を変えるために必要なことです」と、ホジンス教授は言う。
「明らかに、ある状況で犯罪者たちは罰から学んで自分の行動を変えることが困難でした」
ニュースリリースにはまた、問題行動とサイコパスの兆候は小児期の時点ですでに現れていることがあり、この時期であれば「学習を中心した治療」で脳の働き方を変えることができる可能性があるとも書かれている。
ホジンス教授は、サイコパス的な行動を起こさせる脳の働きを中心に治療を行うことで、暴力犯罪を減らせるかもしれない、と述べている。
今回の研究結果では、サイコパスの脳は普通の人の脳と違う働き方をするということが示されたが、一方で2012年にクイーンズ大学が中心となって行った研究は、サイコパスは精神を患っているわけではなく、完全に責任能力があるとしており、研究の主著者ダニエル・クルップ氏は、サイコパスは「自分の行動がもたらす結果を十分に理解している」と述べたという。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:水書健司、合原弘子/ガリレオ]