転載元 武田邦彦 (中部大学)平成23年4月26日 執筆 2011年の原発の記録1外人は来ない保安院・東電の会見
外国の記者を相手にした保安院と東電の会見には、最近、記者1人、説明側10人ということが続いたが、4月25日、ついに誰も記者は来なかった。無人の記者席に向かって、「誰もいないのに」説明をするという非人間的なことをする保安院の役人の姿が印象的だった。海外では福島原発の事故についての関心は強い.関心が強いので、保安院や東電の記者会見に出ても、ウソを教えられるので、聞いても意味が無いのだ。日本人として哀しい。日本人の記者会見は相変わらず盛況だ. 事実と違うことを聞いても政府の言うことなら「黒も白」なのだろう。転載元 be with gods
『人類創成から始まる善と悪の闘いを検証する』■『原発のウソ』
(扶桑社新書 2011年6月11日初版)
京都大学原子炉実験所 助教授 小出裕章◆原子炉は本当に冷却できるのか
5月12日、東電は福島原発1号機の原子炉圧力容器に水がほとんどたまっておらず、高熱で燃料棒の大半が溶融してしまったことを認めた「メルトダウン」。
圧力容器の底に穴が開いて、注入した水や溶けた燃料が原子炉格納容器に流れ落ちている状態。
大惨事にならなかったのは、格納容器の底にたまった水でたまたま燃料を冷却できたからに過ぎません。
第一原発の敷地からプルトニウムが検出されていることから、核燃料を囲っているペレットが溶けていた。
ペレットは2800℃程度で溶け、高温の核燃料は圧力容器(16cmの鋼鉄)の底に落下し、これを突き抜けて圧力容器(3cmの鋼鉄)に流れ落ちます。
圧力容器は1400~1500℃で溶けてしまうので、水を注入し続けなければ、圧力容器の底が溶け、核燃料が地下に漏れ出してしまう。
今回運が良かったのは、圧力容器の底に溜まった水と核燃料が反応し、水蒸気爆発を起こさなかったことです。
もし、水蒸気爆発を起こしてしまえば、格納容器が吹っ飛んでしまい、桁違いに大量の放射性物質が一挙に吹き出したことでしょう。
1号機に関しては、格納容器の底が抜けている可能性が高いので、核燃料は床のコンクリートを溶かし、地下にめり込んでいる状況だと思います。
(チェルノブイリと同じ)
「どうすればいいのか分からない」というのが政府と東電の本当のところでしょう。
一度海水を入れてしまえば、原子炉は二度と使えなくなります。
その為、原発の所長は独断で注入を指示できず、東電社長の決断を仰がねばなりませんでした。
1号機への注入が始まったのは3月12日の早朝です。
1号機はその間、10時間以上「空だき」状態となり、燃料の大部分が溶け落ちてしまいました。
また、すべての原子炉で損傷が進んでいきました。
今も炉心が正常に冷却できていないのは、この判断の遅れによる損傷が大きな原因となっている。空自機で帰京、防衛相指示で引き返す東電社長、震災当日
2011/04/26朝刊
原発事故が発生した3月11日夜、東電の清水社長が航空自衛隊の輸送機で出張先から東京に戻ろうとしたが、北沢防衛相の指示で輸送機が途中でUターンし、離陸した
空自小牧基地に引き返していた。
清水社長は当日、関西に出張中で、名古屋空港から民間ヘリで帰京しようとした。
しかし、航空法の規定で飛ぶことができなかった。
本来なら清水社長は東電の危機対応チームを率い、原子炉格納容器の圧力を下げる作業(ベント)といった緊急措置を承認するところだ。
清水社長が東電本店に不在だったために、事故発生直後の数時間という極めて重要なときに難しい決断を下すことに遅れが生じた可能性があると一部では指摘されている。
3月12日朝になってようやく清水社長が東京に戻った際、福島第1原発1号機では燃料棒が過熱し、容器内の圧力が危険な水準に達していたが、東電はベント作業を開始していなかった。
専門家らはベントの遅れが同日の同原子炉建屋での水素爆発につながった可能性があると指摘している。
※12日早朝に、菅元首相が現地視察を強行したことも忘れられない事実。
その直後の記者会見中に、水素爆発が発生している。
※水蒸気爆発と水素爆発は別
今回水蒸気爆発起こっておらず、水素爆発が起こって建屋我吹っ飛んている。
水素爆発は、溶けたジルコニウムと水が反応し水素が発生します。
この水素が圧力容器と格納容器から漏れ、建屋の天井に溜まった。
これに引火して水素爆発が起こったとされている。誰がSPEEDIを活用することに反対したのか、そして誰がヨウ素剤の使用に反対したのか
福島原発直近の自治体には甲状腺被爆を防ぐためのヨウ素剤が配備されていたが、結局使われなかった。冷温停止はあり得ない ⇒ 政府・東電の冷温停止宣言は嘘です!
冷温停止とは、安定して原子炉を水で冷やすことが出来る状態を言います。
つまり、炉心の温度が100℃を下回るようになることです。
東電の発表では1号機圧力容器の底が抜けてしまっている。
だから、圧力容器に水は溜まらないので、冷温停止はあり得ない。
それよりも、底から抜け落ちた炉心が今、何処にあるのかさえ把握できていない。放射能汚染水は?
4月に放射能汚染水がコンクリート壁から海に大量に漏れました。
見える部分だけをふさいだに過ぎず、また汚染水が減少しているように見えていますが、地下に漏れているからなんです。
もしくは、海に漏れ出している。
地下水に入った汚染水は陸と海のどちらかに流れていく。
これを防ぐために、原発の地下に「地下ダム」を作る構想が東電の工程表にあるが、2年後なんです。
余りにも遅すぎる。レベル7とはどういう事故なのか
多くの研究者は3月12日の水素爆発の時点でレベル6「大事故」は間違いないと確信しており、その後数日でレベル7に達したこともとっくに分かっていました。
それなのに、保安員の当初の評価はレベル4「事業所外への大きなリスクを伴わない事故」でした。
細野首相補佐官は
「原則としてすべての情報を公開する。
私を信じてください。」。
枝野官房長官は「直ちに影響はない」とし、避難が必要だった汚染地域の住民でさえ長期間放置され、本当に無責任だと思う。
チェルノブイリには4個の発電所が並んでいて、事故を起こしたのは最新鋭の4号炉でした。
爆発と共に大量の死の灰が放出した。
その中でも31人が生きながらにミイラとなり、悲惨な死を遂げている。
事故後数年にわたり、放射能拡散を防ぐために動員された人は、累計で60万人に及ぶ。
彼らが猛烈な被曝に晒されながら、4号炉を「石棺」で覆ったので、さらに大量の放射能が漏れ出る事態は防がれた。
しかし、この「石棺」はすでに25年が経ち損傷が生じており、外側にもっと大きなシェルターを作ることになっていて、まだ自己処理は終わっていない。
チェルノブイリ4号炉には、広島原発の約2600個分の放射能をため込んでいた。
そのうち約800個分が、外に漏れてしまった。
日本政府は4月現在において、福島原発から漏れた放射能は「チェルノブイリの約10分の1」と発表した。
(尚、保安院は8月26日、福島第1原子力発電所1~3号機から放出された放射性セシウム137が、広島に投下された原子爆弾の168個分にあたるとの試算結果を公表した。
つまり、4月時点で広島原発80個分が、8月時点では倍の168個分だという個は、今でも放射能が漏れ出していることを物語っている。HP管理者)放射能とはどういうものか
放射能は知覚できない。
1999年のJOC臨界事故「レベル4」で、700人近くが被爆し、3人が大量被爆した。
大量被爆した大内さんは、国立水戸病院に担ぎ込まれたが、診察拒否「放射能汚染されている被曝者はお断り」。
千葉の放射線医学総合研究所から、東大病院へ運び込まれた。
しかし、被曝量を評価した結果、もう助けられないことが分かってしまい、治療できない重度の状況だった。
東大病院に運び込まれた当時の大内さんには、目に見える外傷はなく、看護婦さんとおしゃべるするほど元気な様子だったが、ただ肌が少し赤くなっていた。
被爆一ヶ月後には全身の皮膚が焼けただれたようになってしまった。
DNAが損傷しており、全身の細胞が正常に再生できないのです。
皮膚だけではなく、内の肉も、骨も、内臓も、全部です。
致死量を浴びたチェルノブイリの作業員達と同じ症状で、治療をしなければ2週間以内に亡くなっていたことでしょう。
しかし、意識もなく全身の体液と血液を取り替えながら、83日間生きられた。
(『朽ちていった命-被爆治療83日間の記録!』新潮文庫)自然放射能と人工放射能は違う
田母神さんもですが、ラジウムやラドン温泉のように定量被曝は体に良いので、福島原発も気にすることはないとの主張の嘘が、本書を読んではっきり分かりました。
福島原発から漏れた放射性物質は、チェルノブイリの約1/10で、広島原発の約100個分です。
しかも、危険度は同じレベル7です。
セシウム137のエネルギーは、レントゲンの約10倍もあります。
しかも、レントゲンは電磁波なので体内に留まることは決してありません。
自然の放射性物質ラジウムやラドンは、体内に取り込まれることはほとんど無く、温泉に入ってもすぐに体外に出てしまいます。
しかも、ラドンの半減期は3.8日と短いので入浴の時だけ被爆します。
ところが、セシウム137やヨウ素131は、自然の放射性物質とは異なり、体内に取り込まれます。
ヨウ素の半減期は8日ですが、チェルノブイリでは甲状腺癌が多発しています。
セシウム137は体内に蓄積され、半減期は30年と長く、30年間もレントゲンの10倍のエネルギーで四六時中被爆し続けます。
放射線被曝の特徴として、瞬時に致死量の被曝を受けても、体温はほとんど上がらず、その時には何の違和感もないことです。
ところが、遺伝子が壊れているので、細胞分裂が繰り返されると、異常な細胞ばかりが誕生し、二週間で死んでしまいます。
現在治療方法は見つかっていません。
この人工被曝に関して、しかも低量被曝の場合、遺伝子の修復機能が働かないことが明らかになってきており、遺伝子の異常の具合にもよりますが、数年から数十年しないと症状が出てきません。
つまり、枝野氏が繰り返した「すぐに健康への被害はありません」は真っ赤な嘘で、御用学者共々、殺人者だと思います福島第一からでている放射能
◆ヨウ素131
体内に取り込まれると甲状腺に蓄積され、内部被曝から甲状腺癌を引き起こす。
チェルノブイリ事故で分かったように、幼児や子供に与える影響がきわめて深刻だ。
半減期は8日で、千分の一になるのに80日かかる。
◆セシウム137
半減期は30年と長く、千分の一になるのに約三百年かかる。
土壌にとどまり外部被曝の原因となるほか、生物濃縮が起こる。
福島の事故では海に大量の放射能汚水を垂れ流しているので、海産物にも長期にわたって大きな影響を与えるでしょう。
体内に取り込まれやすく、全身の筋肉、生殖器などに蓄積され、癌や遺伝子障害の原因になる。
◆ストロンチウム90
体内ではカルシウムと同じ挙動を取る。
その為、骨に蓄積し、骨の癌の他、白血病を引き起こす。
◆プルトニウム
年摂取限度は0.00052mgに設定されている最悪の毒物で、半減期は2万4千年。安全な被曝は存在しない
被曝のリスクには低線量に至るまで直線的に存在し続け、閾値はない。
最小限の被曝であっても、人類に対して危険を及ぼす可能性がある。
こうした仮定は「直線、閾値無し」モデル(LNTモデル)と呼ばれる。
(米国科学アカデミー 2005年報告)
広島長崎の近距離被曝者約5万人、遠距離被曝者約4万人、さらに比較対象のために原爆が炸裂した時に、広島・長崎にいなかった人(非被爆対象者)約3万人を対象に被爆影響を進めた。
半世紀にわたる調査結果、年間50mSvの被曝量でも、癌や白血病になる確率が高くなると言うことが統計学的に明らかになりました。
原子力推進派は、
「年間50mSv以下の被曝は何の問題も無い」と主張してきた。
「生き物には放射線被曝で生じる傷を修復する機能が備わっている」
(修復効果)、
「放射線に被曝すると免疫が活性化されるから、量の少ない被曝は安全、むしろ有益である」
(ホルミシス効果)
を根拠とし、LNTモデルを決して受け入れない。
しかし、低線量の被曝では、高線量の被曝に比べ、1レム当たりの癌発生率が高くなる証拠がある。
広島長崎の被曝者データがこの傾向をはっきり示している。
更に、被曝の損傷を乗り越えて生き残った細胞集団に遺伝し不安定性が誘導され、長期にわたって遺伝的な変化が高い頻度で生じる現象が発見されている。
加えて、最近になって「低線量での被曝では細胞の修復効果自体が働かない」というデータすら出はじめている。
細胞分裂が活発な子供、胎児は、大人に比べて遙かに敏感に放射線の影響を受ける。
「人体に影響のない被爆」などというものは存在しない。子供に20倍の被曝を受けさせてはならない
年間1mSvの基準は、1万人に1人が癌で死ぬ確率、
これは我慢してくれと言うのが今の法律です。
10mSvの被曝では、1千人に1人が癌で死ぬことになります。
緊急時における原発作業員の被爆限度量100mSVの基準は、被曝による急性障害が出るラインの目安となっていた。
それが250mSVに引き上げられており、急性障害が出ても我慢しろと言うことを意味している。
4月19日、文科省は福島県内の「安全基準」を提示した。
1時間当たりの空間線量「3.8μSv」(中学は地上から1M、幼稚園・小学校は地上から50CMでの測定)未満の学校には、通常通り校舎や校庭を利用させる。
この「3.8μSv」は、年間の積算被曝量を「20mSv」と定め、子供が1日8時間戸外にいることを前提として導き出した数値です。
この「20mSv」は原発作業員が白血病を発症した場合、に労災認定を受けられるレベルです。
さらに、食物からの内部被曝,泥遊び,ホットスポット他による被曝が加算されることを、全く勘案されていない。
日本の基準は大人が年間1mSvで、敏感な子供がなぜ20倍者被曝を受けさせられるのか!
若ければ若いほど放射線の影響が強くなる。
放射線により損傷を受けた細胞がどんどん複製されるため、小児癌や白血病が引き起こされる。
20~30代に比べ、赤ん坊の放射線感受性は4倍も高まる。簡単な計算
20mSvは2500人に1人が癌で死ぬ。
この2500人には大人も子供も含まれているのでしょうが、平均して20~30代の大人だと仮定します。
子供の場合感受性がおおざっぱに5倍高いので、約500人に1人の子供が癌で死ぬ可能性があると言うことになります。
これは小出助教授の計算ではありません。
あくまでも素人の計算なので・・・
地球を暖め続ける原発
二酸化炭素温暖化説は、今では嘘っぱちだと分かっている。
NASAは温暖化の原因は、太陽の影響だと認めている。
原発は核分裂に関しては二酸化炭素を出さないが、ウランの掘り出し、選別濃縮、他の行程はすべて石油を使っており、二酸化炭素削減の役に立っていない。
しかも、原子炉で生成される熱の3分の1が電力に変換され、残りは海水で冷やされている。
標準的な原発100万KWでは、一秒間に70トンもの海水を引き込み、温度を7℃上昇させて海に戻している。
日本には年間約6500億トンの雨が降り、その内日本全体の川の流れの総量が400億トン。
日本の原発54基で利用する海水は約1000億トンで、つまり原発は日本の海温を温暖化している張本人ともいえる!想定不適当事故
福島原発事故は全ての電源が失われることにより起こりましたが、専門家は発電所の「全所停電」が一番危険なことを知っていた。
しかし「発電所の全所停電は絶対に起こらない」ということにして、「想定不適当事故」という烙印を押してしまっていた。
というのは、彼らの想定する事故では「ディーゼル発電、バッテリーが必ず動く」「安全装置はいついかなる時にも有効に働き、放射性物質を閉じ込める格納容器は最後まで決して壊れない」という仮定になっている。
放射能は決して漏れない。格納容器が壊れるような事故には「想定不適当事故」なる烙印を押して無視した。だから環境汚染や住民被爆、住民避難、被爆治療などは全く考慮されていない。福島原発直後、各電力会社は非常用電源を準備し大丈夫としたが、配備された電源では容量が小さくて原子炉を冷やせないことが分かった。原発を止めても電力に困らない
ほとんどの日本人は原発を止めると電力不足になるので、原発を必要悪として受け入れざる得ないと思っている。
原子力は日本の総電力の30%と大きな割合だ。
しかし、実態は原発の設備利用率だけを上げて、火力発電所を休ませているので大きな割合に見えてしまう。
2005年の原子力の設備利用率は70%で、電力が余るので揚水発電所という高コストな設備を作っている。
尚、火力発電所の設備利用率は48%で、半分以上が停止している。
今回の大震災で原発が止まって電力不足になったような印象がありますが、実は違います。
火力発電所が被害を受けたことが大きいのです。
ですから、火力発電所を復旧させ、稼働率を70%まで上げれば、原発を全部止めても、充分に間に合う。
それでも、火力発電所の3割が停止しており、まだまだ余力もある。六カ所村、再処理工場の放射性物質は計画的にそのまま海に捨てられる
放射性物質を破棄する場合、濃度規制を受けます。
しかし、再処理工場から出る放射性物質は取り除けるにもかかわらず高コストのために規制の対象外とされている。
一年間原発を動かすと、ドラム缶1000本分の低レベル放射性廃棄物が出る。
すでに30万本程度あり、これを六ヶ所村では地下に埋めて監視する。
その期間は三百年。
高レベル放射性廃棄物に関しては、100万年もの管理が必要で、その莫大なコストと危険を全て子孫に押しつけることになる。「もんじゅ」で事故が起こったら即破局
「もんじゅ」では冷却にナトリウムを使っている。
もし事故が起こった場合、水をかけるとナトリウムと反応し大爆発が起こってしまう。
そのため、今回のような規模の地震に対してはおそらく何の対処もできないまま、破局を迎えることだろう。英仏での核の再処理について
本書によれば、核の再処理ににおいては、元々が軍事技術故に、日本は関与できず、英国と仏国に依存している。
例えば、英国の再処理工場では、原発が一年で放出する放射能をたった一日で、計画的にアイリッシュ海に流しています。
アイリッシュ海はすでに放射能汚染され、そこで取れる海産物はチェルノブイリ事故時に設定した放射能濃度を上回っています。
対岸のアイルランド国会は、再処理工場の停止を求めています。
六ヶ所村の再処理工場も本格稼働すれば、日常的に大量の放射能を海に垂れ流すことになるのは間違いない。
周辺住民は原発以上の被爆を受けることになると述べています。地中に沈んだプルトニウムの危険
2011/09/17 週刊実話
福島第一原発の30キロ圏内では、住民がいつ我が家に戻れるか絶望視する声もあるが、ここへきてさらに深刻な問題も起こっている。
「メルトダウンを起こした3号機では、燃料棒のプルトニウムが原子炉の底を突き破り地下に埋没してしまった。
そのプルトニウムがどこへ行ってしまったのか、何もわかっていないのです」
(政治評論家・本澤二郎氏)
衆議院の決算行政監視委員会で8月10日、自民党の村上誠一郎議員から3号機のプルトニウムの行方について質問が出たところ、細川律夫厚労相ら当時の閣僚は何も答えられなかったのだ。
質疑の翌日、村上議員にインタビューした本澤氏が言う。
「プルトニウムは地下深く埋まっているはずですが、どこにあるのか誰もわからないし、突き止めようともしない。
ただ、すぐ近くに海があるので、地下水を通じて海に流れているのは間違いありません。
これについては東電もまったくノーチェック。
政府も大マスコミも、臭いものには蓋をしているのです」
村上議員は原発事故当初、低濃度の汚染水を海洋投棄したことに触れ、汚染物質はアリューシャン列島を経てサンフランシスコにまで達する可能性を指摘したが、政府は説得力のある答弁ができていない。
「海洋汚染はどんどん続いています。
怖いのは、セシウムと違ってプルトニウムの半減期が2万4000年と、気が遠くなるぐらい長いこと。
その間も海洋汚染は続くのです。
ここで、何らかの手を打たなければ、国際法違反になります。
海洋汚染の被害を被った国からは、損害賠償を請求されるでしょう。
しかし、政府は目先のことばかりにとらわれて何も手を打たないのです」
(本澤氏)
時間はもうない。放射性セシウム 汚染マップ6県分公表、文科省
2011/11/11 毎日新聞
福島原発事故で放出された放射性セシウムの土壌蓄積量を航空機から測定し、汚染マップ(岩手、山梨、長野、静岡、岐阜、富山)を公表した。
岩手県一関市や奥州市、長野県佐久市、軽井沢町、佐久穂町と山梨県丹波山村などの一部地域で、放射性物質の量が半分になる半減期が2年のセシウム134と、半減期30年のセシウム137を合わせて、1平方メートルあたり3万ベクレルから10万ベクレルを計測した。
転載元 カレイド・スコープセシウム牛のストロンチウム、プルトニウム汚染の可能性は
2011/07/21
(略)
・・・
ところで、どうにも解せないのが、放射能拡散予測シミュレーション・データ「SPEEDI」の情報を文部科学省は、なぜ他の省庁に出さなかったのでしょう。
もっとも、出しところで、農水省や環境省、厚生労働省が適切な対応が取れたか疑わしいのですが。
SPEEDIは3月11日の夕方から、文部科学省、経済産業省の原子力安全・保安院、内閣府の原子力安全委員会に送られており、SPEEDIの情報を活用していた。
現地災害対策本部が置かれていた福島県庁にも送られていたのです。
これは、文部科学省がSPEEDIの事業委託(丸投げして、後は知らん顔、とも言う)している財団法人原子力安全技術センターのツネヨシ氏の証言です。
当の文部科学省は、農畜産物の放射能汚染のことは頭になかったのでしょうか。
なぜ、農水省、環境省、厚生労働省と情報を共有しなかったのでしょうか。
文部科学省こそ、原発の安全神話をでっち上げ、原発推進のPRを展開してきた省庁です。
放射能汚染が人間の健康被害だけではなく、動物や植物へも波状的・連鎖的に及ぶことなど想像もできなかったというのでしょうか。セシウム牛も怖いけれど、ストロンチウム、プルトニウム汚染の可能性は誰も言わない
原子炉がメルトダウンしたとき放出される核種の主なものは、セシウム134、セシウム137、ヨウ素131、ストロンチウム90、プルトニウムです。
今回の放射能汚染牛では、とりわけセシウム134、セシウム137の危険性が取り上げられています。
半減期の短い放射性ヨウ素131は、ほとんど消えているに違いない、と考えられるからです。
セシウムが人間の外にあるときはγ線による外部被曝を心配します。
これはガイガー・カウンターでも計測できます。
しかし、呼吸、食事などによって体内に取り込まれてしまうと、今度はβ線による内部被曝を起こします。
セシウムは、その95%が筋肉に蓄積されますから、特に筋肉の少ない女性では余計に心配になります。
β線を計測できる携帯型のガイガー・カウンターは少ないです。
しかし、セシウム134にも、セシウム137にも生物学的半減期があり、それぞれ約100~200日、約70日と時間が経つに連れて尿や便、汗などによって対外に排出されていきます。
(このことを生物学的半減期といいます。「半減」というのは放射能の強さが半分になるということではなく、体内にある放射性原子の数が半分に減る、という意味です)
その間は、体内でβ線よって染色体が切断されているのです。
人間の身体は正常な染色体になるように、せっせと修復しているのですが、あまりに集中的に被曝量が多いと修復が追いつかずに、がん細胞ができてしまう危険性が高まります。
問題なのはセシウム134にしても、セシウム137にしても、生物学的半減期が70日~200日だといって、いつかは体外に排出されるのだから、それほど心配することはない、というICRPの考え方を前提とした誤った楽観主義がまかり通っていることです。
いまでもICRPの基準値を基に内部被曝まで解説している、いわゆる「専門家」がいますが、これは苦しいでしょう。
誰とは言いませんが、間違いだらけの解説です。
内部被曝の第一人者とも言うべき琉球大学の矢ヶ崎名誉教授によると、体内で、セシウムがバリウムに変化する際(β崩壊)にβ線を放出するのですが、それで終わりではなく、β崩壊してバリウムに変化した後も、γ線を放出するということです。
β線は、いわゆるホット・パーティクルの周囲1cmの範囲で、体内の分子のおよそ20000(2万)個を次々と切断していきます。
β線はγ線と異なり、桁違いに大きな影響を人体に与えます。
これが、そのエネルギーが半分になるまでの50年間、体内での破壊が続くのです。そして、その後も。主要な各種の生物学半減期
ヨウ素-131
物理学的半減期:約8.04日
生物学的半減期:甲状腺で約120日。
その他の臓器で約12日
セシウム-137
物理学的半減期:約30.1年
生物学的半減期:約70日
セシウム-134
物理学的半減期:約2.06年
生物学的半減期:約100~200日
ストロンチウム-90
物理学的半減期:約28.6年
生物学的半減期:約49.3年
プルトニウムは、物理学的半減期(自然に崩壊して放射能が半分程度になる状態になる期間)が2万4000年ですから、生物学的半減期がどうのこうというより、「一生もの」と諦めるしかありません。
一生、体内で染色体を壊しているのです。
その破壊力も一生弱まることがありません。
そして、ヨウ素、セシウム-137、セシウム-134、ストロンチウム90の生物学的半減期を見ていくと、ストロンチウム90だけが物理学的半減期より生物学的半減期の方が長い、という性質を持っています。
これは他の核種が主に臓器、筋肉に吸着・蓄積されるのに対して、ストロンチウム90だけが骨に集中して蓄積されるからです。
なんと体内では半減期まで約50年も要することになります。
100年生きて、やっと4分の1。
よくストロンチウムの半減期は28.8年と書かれている記事を目にします。
これは物理学的半減期のことを書いているのであって、人体の骨に蓄積されてしまった場合の生物学的半減期は、そのほぼ倍の50年です。
(生体から見た場合)ストロンチウムはカルシウムと似ているように見えるので、カルシウムが骨に蓄積されて骨格を形作っていくように、ストロンチウムも同じような動きをして、骨に蓄えられます。
そして、その周囲1cmにβ線を数十年にわたって放出し続けるのです。
ストロンチウムは骨のがんや白血病を引き起こすもとになります。
チェルノブイリ原発事故のときも、もっとも惨い結果を人体にもたらしたのはストロンチウムです。
仮に、同じ線量のセシウム134とストロンチウム90を体内被曝したとして、ストロンチウム90は、セシウムと違って、ほとんど体外に排出されずに染色体を破壊し続けるのですから、その威力はセシウムの同位体などと比べ物にならないのです。
だから、ストロンチウム90は、わずかの量でも呼吸や食べ物から体内に取り込んでしまったら深刻な事態を招くことになってしまうのです。
ストロンチウムもプルトニウムと同様、いったん体内に取り込んでしまったら「一生もの」です。
生涯のお付き合いが始まるのです。
「でも、ストロンチウムは質量が重いので遠くまで飛んでいかない?」。
いえいえ、ストロンチウムは、はるか遠くに飛んでいきます。
アメリカがビキニ環礁で数十回にわたって核実験を行ったときは、日本にもストロンチウムは飛んできましたし、1960年代、中国大陸からもストロンチウムが飛んできています。
偏西風に乗って地球を一周も二周もしたのです。
アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)の発表では、4月4日にハワイ(State HI)でストロンチウム89が検出されたことを示しています。
そのことを報じた4月27日のForbesの記事では、
《ハワイのヒロで、市販のミルクから放射性ストロンチウムの同位体が検出された》
と、あります。
福島第一原発事故が報じられてから初めてのことだそうです。
日本では、4月12日、福島県飯舘村、浪江町など6市町村の土壌、雑草から微量の放射性ストロンチウムが検出された、と文部科学省が発表しています。
おそらく文部科学省としては発表する意図はなかったのでしょう。
アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)が発表したのを知って、「隠しとおせない」と判断したのです。
この記事も削除されてしまうでしょうから、全文コピペしておきます。
↓◆微量のストロンチウム、福島の土壌から検出
2011年4月13日 読売新聞
文部科学省は12日、福島県飯舘村、浪江町など6市町村の土壌、雑草から微量の放射性ストロンチウムが検出されたと発表した。
カルシウムに化学的な性質が似ているストロンチウム90は骨などにたまりやすく、長期の内部被曝(ひばく)の危険があるが、今回検出された量はいずれも微量で、人体への影響はないという。
ストロンチウムが見つかったのは、福島第一原発事故後、初めて。
このうち最も数値が高かったのが飯舘村で、ストロンチウム90が、土1キロ・グラムあたり32ベクレル検出された。
(引用終わり)
「人体への影響はない、という」
と書かれてあります。
影響がないはずがないのです。
日本のマスコミには、政府の発表を吟味し、精査する能力がないのです。
NHKでさえ。
少なくとも、海外のメディアは政府の発表を鵜呑みにすることなく、メディア各社で評価してから書いています。
まったく役に立たない日本のメディア。
政府の言ったことを確かめもしないで、ひたすらリピートするだけ。
気楽なものです。
時事通信も、ストロンチウムのことを報じています。
↓放射性ストロンチウムを検出=原発30キロ外、福島6市町村-文科省
2011/04/13
福島第1原発の事故で、文部科学省は12日、福島県でサンプル調査をした結果、土壌と植物から放射性ストロンチウム89と90が検出されたと発表した。
同省によると、事故をめぐりストロンチウムが検出されたのは初。
同省は3月16~17日、第1原発の30キロ圏からやや外にある福島県浪江町の2カ所と飯舘村の1カ所で採取した土壌を分析。
1キロ当たりストロンチウム89が最大260ベクレル、同90が最大32ベクレルだった。
大玉村、本宮市、小野町、西郷村で19日に採取された植物も分析。
1キロ当たりストロンチウム89が最大61ベクレル、同90が最大5.9ベクレルだった。
サンプルの植物は食用野菜ではないという。
ストロンチウムは、カルシウムと似た性質を持ち、人体に入ると骨に沈着し、骨髄腫や造血器に障害を引き起こす恐れがある。
ストロンチウム90は半減期が約29年と長く、過去の核実験の際に飛散し問題となった。同89は半減期が約50日。
(引用終わり)
この時点で、放牧されていた牛、豚などの家畜は、ヨウ素、セシウムは当然のこと、ストロンチウムも体内に取り込んでいたのです。
少なくとも、誰かさんが「重いので遠くまで飛んでいかない」と言っていたストロンチウムが、少なくとも30kmの距離を飛んでいったのです。
そして、何事もなかったかのように、それらは出荷された。
ストロンチウムだけでなく、福島第一原発のサイト内からはプルトニウムも検出されています。
東電は、プルトニウムを計測する計器がないので計れない、という理由で、今でもプルトニウムは無視しています。
海外の人々は、プルトニウムをもっとも恐れていますから、東電への攻撃を避けるためにプルトニウムを計測しないのです。
プルトニウムについては、米国西海岸でも検出されています。
《米国でプルトニウム・ウランが検出される
過去20年間で最大値!
プルトニウム239やウラン238が大幅上昇》
アーニー・ガンダーセン氏がワシントン州のシアトルで、日本から飛んできたホット・パーティクルの中にプルト二ウム微粒子が含まれていたことを指摘しています。◆『ガンダーセン氏はホットパーティクルを警告している』
「4月の段階で、シアトルの人たちは、一日当たり5個ものプルトニウム放射性粒子(ホットパーティクル hot particle)を肺に吸い込んでいました。
この頃、東京の人は1日当たり10個のホットパーティクルを吸い込んでいました」。
(引用終わり)
プルトニウムについても重いので、遠くまで飛んでいかないと、誰かさんが言っていました。
それでも、人々はストロンチウムやプルトニウムを計測しないことを不思議に思わないのです。
東電、経済産業省、文部科学省は、セシウム牛が発見された、こりゃ大変だ、とマスコミを使って大騒ぎすることによって、本当の脅威であるストロンチウムとプルトニウム被曝に関心が向かないようにコントロールしているようなフシが見受けられるのです。
本当に地球規模の大変なことが起こっているのに、AKB48だの、なでしこジャパンだの、人々の関心は原発事故から離れようとしています。
ほんの一部の目覚めた人たちを除いて、その他の人たちは、おそらく永遠にマインド・コントロールから解放されることはないのかもしれません。
文部科学省は、実は内部被曝のことを熟知しています。
彼らは都合のいいように、ICRPの基準値を持ち出しては外部被曝にだけ国民の関心を引き付けておいて、内部被曝の恐怖から私たちを遠ざけてきたのです。
でなければ、民主党の川内博史議員が文部科学省に依頼して作らせた
「体の中の0.2マイクロシーベルト/時の内部被曝は100ミリシーベルトの被曝と同じである」
という資料が出てくるはずがないのです。
福島第一原発からストロンチウムを含んだ高濃度汚染水が海洋に放出されました。
東電も認めているにも関わらず、実は原子力安全・保安院が発表した
「放射性物質の全放出量は77万テラベクレル」
とは、大気中に放出された放射性物質のみの推計値なのです。
↓大気放出量は77万テラベクレル、倍に修正 地震当日に圧力容器破損、保安院
産経新聞 2011-06-06
経済産業省原子力安全・保安院は6月6日、福島第一原発事故の解析の結果、大気への放射性物質の総放出量は推定77万テラベクレル(テラは1兆)に上ると発表 した。
4月に事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で最悪の「レベル7」に引き上げた際は、推定37万テラベクレルとしており、今回の発表値 はその2倍強にあたる。
総放出量について原子力安全委員会は63万テラベクレルと試算していたが、それも上回る...
(引用終わり)
原発事故の深刻度を自己評価によって決める際の国際評価尺度(INES)は、大気中に出された放射性物質の量を推計するというものです。
大気中の放出量だけを問題にするというのですから、海洋に、いくら大量のストロンチウムやプルトニウムが流れ出そうと、一切考慮しないという評価尺度なのです。
最初の頃、原子力安全・保安院は、事故を過小に見せかけるために37万テラベクレルと発表していたのですが、IAEAへの報告が迫ってきて、これ以上隠しとおせないことを悟ると、突然、その倍の数字を出してきたのです。
多少の誤差なとどいうレベルではありません。
これだけでも、原子力安全・保安院という組織が、いかにイカサマか分かるのです。
繰り返しますが、77万テラベクレルは、大気中に放出されたと推計される量にすぎないのです。
すでに福島第一原発からは、海洋に高濃度汚染水が何度も流れ出しているし、今でも地下水となって、流れているのです。
実際に流れ出した放射性物質は、こんなものではありません。
少なくとも、この2倍強はあるものと考えなければなりません。
6月頭に、水産庁が魚類のストロンチウム検査を開始しました。
「水産庁と各県はこれまで、魚類についてセシウムがたまる筋肉の部分だけを分析してきた。
だが、ストロンチウムが海水から検出されるようになり、骨も含めた検査が必要との指摘が出ていた。
検査結果が出るまでには1~2カ月かかるという」。
今、日本の太平洋側とハワイの間の広域の海洋で、今のところもっとも信頼できるウッズホール海洋生物学研究所が調査船を使って放射能汚染の調査を行っています。
その結果と水産庁の結果を照らしてみれば、またまた興味深いことが分かるはずです。
結論は、「覚悟して魚を食べよ」に違いないのですが。3.11を境に日本は「別のもの」になった
最後に、少し触れておきたいと思います。
京大原子炉実験所の小出助教が、「3.11以降、日本は変わった」と繰り返しています。
私も、まったく、そのとおりだと思います。
日を追うごとに、私たちはそのことを実感させられると思います。
本当に、3月11日を境に、「日本は別のもの」になってしまったと思います。
驚いたことがあります。
7月19日の衆院予算委員会の国会中継オンデマンドをざっと観たのですが、そこでマダム・スシが、このような質疑を行っていました。
「菅総理は、東南アジアへ日本の優れた原発を輸出することを止めたのか。
これはとても大きな経済的な機会損失だ」と。
今では公然の秘密となっていますが、
「podam」、「pojacpot-1」というコードネームを与えられたCIAのエージェントであった正力松太郎が、なぜ「原発の父」となったのか。
それは世界で唯一、原爆を投下されて人体実験をされた日本が、再び核の力で不死鳥のように蘇る必要があったからです。
このときに、日本は「別のもの」になったのです。
「核」の悪魔的な力によって焦土と化した「広島・長崎」の日本が、今度は「核」の平和利用という「別の顔」によって再生・復活を遂げる姿を世界中にデモンストレーションさせる必要があったのです。
実際、日本は世界第二の経済大国になりました。
核を開発したグローバリスト(海外メディアは、世界政府主義者のことをグローバリスト、あるいはグローバル・エリートと表現しています)たちは、東西冷戦という対立軸を打ち立てる一方で、「核」を正当化するために「原子力」の平和利用を日本に押し付けてきました。
彼らは日本の奇跡的な復興を「東洋の奇跡」と称して、世界中に喧伝しました。
「核」には「明」と「暗」がある、と。
その「明」の部分を日本が世界中にアピールすることに駆り出されたのです。
その先導役に選ばれたのが、正力松太郎という欲望の塊のような男でした。
「核」の抑止力によって、米ソ二大大国が暴発することなく、原発という副産物によって経済発展を遂げることができる。だから世界にとって、「核」は必要なのだ、という論理。
「さあ、世界の人々よ、日本を見てみよ」と。
グローバリストの御用学者のひとり、エズラ・ボーゲルを使って「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(1979年)と持ち上げたのです。
「日本を見習え」とばかり、発展途上国が次々と原発を導入し始めたのもこの頃、1980年代のことです。
「核」によって一度は死んだ国が、「核」によって不死鳥(phenix=33)のように蘇った、のです。
発展途上国にとって、「核」はまさに物質的繁栄を約束してくれる象徴だったのです。
そして、世界中に「核」は行き渡りました。
もう「核」の暗黒の部分、つまり核兵器は必要なくなったのです。
世界はグローバル化しました。
世界は嬉々として原発を受け入れた結果、原発という「核兵器」を内部に抱え込まされたのです。
グローバリストは、好きなときにその国の電力会社、官僚を唆して原発事故を起こさせれば世界をコントロールできると信じているのでしょう。
マダム・スシは、あまりにも知識がなさすぎます。
彼女は、古い価値観でできた泥船に乗っているのです。
東電という世界最大の電力会社が、まるで日本の企業でないかのようなふるまいをするのは、そうした理由からです。
東電には「日本の心」はないのです。
結局、「核」の「明」の顔であるはずの原子力の平和利用とは、実は真っ赤なウソで、そこには、どこまでも深い漆黒の闇が広がっていただけなのです。
プルトニウム(Plutonium)の語源が冥王星(Pluto)からきているのは偶然ではありません。
冥王星の象意は「冥土、黄泉」で、「死と再生」を意味します。
Plutoniumがバビロニアの数秘術で[666]となるのも偶然ではありません。
1956年10月26日に日本が国連の国際原子力機関に参加したのも偶然ではなく、
1963年10月26日に東海村で原子力発電に成功した日を「原子力の日」としたのも偶然ではありません。
10月26日→10+2+6=18=6×3→[666]
果たして日本に未来はあるのか。
もちろん、あると思います。
それには福島の人々が自分の子供を命を懸けて守ろうとするように、他人の子供にもそうすることができれば、です。
特に被曝が酷い関東の子供たちを福島の親御さんたちは、自分の子供のように考えられますか。
関東、いや、日本中の子供を守ろうとするのであれば、福島を放射性廃棄物の処理場にすることを受け入れるべきです。
チェルノブイリ原発事故から25年経った今、はるか2000キロも離れた英国ウェールズ地方では、いまだに羊の出荷制限が続いてるのです。
付近一帯の土壌がホットスポットとなって、放射性セシウムに汚染されてしまったからです。
福島の農畜産業は数年では復興できません。
もう、3.11を境に、福島県はリセットされました。
復興ではなく、「新しい復活の土地」として放射能汚染の処理施設を受け入れ、日本中から放射能に汚染された土壌、瓦礫を集め、今後300年にわたって、集中管理する場として復活するのです。
人間が住めない地域の山々には風力発電の一大ウィンド・ファームと、メガソーラー施設を建設するのです。
これは私独自の考え方です。
同じことを、すでに玄葉光一郎国家戦略担当相が福島県の松本友作副知事に提案していた事実を、いまだに野党は攻め立て、政局のきっかけを掴もうとしています。
政治家は、この事態がまだ始まったばかりであること、30~40年後には日本の人口が1億人を切るかもしれないほど深刻である、ということをまったく理解していません。
福島県の児童が過酷な条件下で被曝させられているのは、校庭や公園など、子供が活動する場所の除染ができないからです。
削った表土の廃棄場所くらい自前で用意しなければなりません。
それを他の県に持って行け、という福島県の愚かなゼニゲバ知事と、それを許している福島県の保護者たち。
これでは、補償、補償、といつまでも叫んでいるうちに子供が死んでしまう。
福島県の親御さんたちは、他人の子供を自分の子供と同じように大切な存在と考えられるでしょうか。
そして、日本中の大人が、自分の命を子供たちのために捧げてもいいと思えるのなら、日本は間違いなく「別のもの」として、恐ろしいスピードで復活を遂げることができると思います。
小出助教が、日本の未来である子供を守るため、そして、福島県の一次産業を死なせないために、福島県産の食べ物に30禁、40禁、50禁と放射能の汚染度によってラベルを貼るべきだ、という提案をしています。
30歳代の人は、少し多めに汚染された農畜産物や魚を選んで買う。
40歳代の人は、やや多めに汚染された農産物物や魚を買う。
50歳代の人は、新陳代謝も衰えているので、凄く汚染された農畜産物や魚を食べる。
いい提案だと思います。
しかし、他人の子供を自分の子供と同じように考えられない大人たちばかりだったら、この素晴らしいアイデアも意味がなくなるでしょう。
それとも、40歳代の女性が若く見られたいという茶目っ気たっぷりの理由から、30歳代の人にだけ許された汚染度の少ない食物を買ったら、罰金を取るような国にしますか。
そんな冷たい、つまらない国で育った子供たちは、将来、どんな大人になるのでしょう。
要は、大人たちの心を生まれ変わらせることが必要です。
日本は、本当に「別なもの」になったのですから。
まずは福島県の人たちが憤怒を乗り超えて、自らを変えることから始まるはずです。
↧
繰り返し語ろう、何度でも/原発のウソ
↧