ちちんぷいぷい12月5日
石田英司:今回の「ダブル選挙とはこんな選挙だった」ということを、僕がちょっと思ってる数字から見ていきたいと思うんですが…まず一つ目、市長選と知事選の投票率の違いから見えるものです。実はこの選挙は不思議な選挙で、最後の方は東京まで盛り上がってましたでしょ。で、全国的に盛り上がってたのかなと思ったら、そうでもなかったというのがこの数字で…大阪市長選は40年ぶりに投票率が60パーセントを超えました。これは、スゴいことです。前回、43.61%やったのが、今回、60.92%になって、投票者数も前回の90万人から、今回128万人と一気に38万人増えました。じゃあ、知事選はどうなのかというと、こちらはこちらで12年ぶりに50%を超えました。でも、言うても、50%ですわ。何が言いたいかというと、大阪市長選挙では前回より37万8679人の人がより多く投票に行ったんです。で、大阪市民の人は市長選に投票した後、知事選にも投票したと思うんです、当然。「オレ市長選に投票したけど、知事選やめとくわ」って人は、まず、いなかったと思います。ところが、知事選に投票した人は29万5107人、つまり、知事選の投票者増加数は市長選の増加数を下回ってるワケです。これはどういうことか。少なくとも知事選に投票にあった人が37万人いるというなら、その分だけでも知事選に投票に行った人がいてもおかしくないのに、それが29万人ということは、大阪府民で、大阪市内以外の人の投票は前回より減ってるっていうことなんです。大阪府下で、大阪市を除く42市町村のうち、前回の知事選を上回ったのは、14市町だけで上位3自治体は、田尻町12.26%増、池田市5.94%増、箕面市1.92%増。池田市は倉田さんの地元ですわね。ということは、大阪市以外の市町村は、あまり知事選には興味なかったと…前回に比べたら、そうなりますよね。ということで、一つ目のポイントは、「盛り上がったと言われるダブル選ですが、実は大阪市以外は、ほとんど冷めてた」というふうに言っていいんじゃないか。前回、府知事選に橋下さんが出てたから投票に行った。今回は橋下さん市長選に出るから、「まあ、いっか」みたいな。二つ目の数字なんですけど、大阪市長選では24区すべてで、橋下さんが平松さんの得票数を上回ったんですけども、その中でも、平松さんが善戦した区というのをピックアップしてみました。そしたら特徴的なものが浮かび上がってきたんですね。まず、橋下さんが圧勝した上位5区というのは、西区、北区、中央区、淀川区、浪速区。次に、平松さんが敗れたりとはいえ善戦した区、西成区(46.2%)、平野区(45.6%)、旭区(45.5%)、で、4位が東住吉、阿倍野、生野区(43.6%)の3区。橋下さんが圧勝したところは、いわゆる〝都市部〟ですよね。で、平松さんが善戦したところというのは、古い街並みというか、これ共通点を探してみると、〝高齢者世帯率〟(全世帯のうち、65歳以上の人だけが住む世帯の割合)の高い区ばっかりなんです。今年、日本全体で初めて1000万世帯を突破した高齢者世帯なんですが、この高齢者世帯率の順位を大阪市内24区につけて、今の両者の善戦区を見てみると、かなりハッキリしたことが、わかってきます。橋下さんの圧勝した区は、西区(24位)、北区(23位)、中央区と淀川区(ともに22位)、浪速区(14位)。平松さんの善戦した区は、西成(1位)、平野(6位)、旭(5位)、東住吉(3位)、阿倍野(4位)、生野(2位)。橋下さんが圧勝した区の中でも、1位の西区は高齢者世帯率が24区中で一番低いところだし、平松さんが善戦した区の中でも、もっとも上位の西成区が高齢者世帯率トップです。1位から6位まで全部入ってます。こんなにハッキリ分かれてるって、すごいでしょ。橋下さんは「変えるのか、変えないのか」と強く迫った。若い人は「変えてほしい」と思ったけれど、高齢者は「もう、変えんでエエやん」って、感じがあったんでしょうかね。
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石田英司/数字で見る大阪ダブル選
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