橋下改革、矢継ぎ早 市長就任前から指示
あす初登庁大阪維新の会代表の橋下徹氏が、19日の大阪市長就任前から次々と改革案を打ち出している。今月2日以降、計10日間にわたって市の26部局の幹部と面談し、地下鉄民営化や水道事業の統合など目玉政策を中心に実現を目指すよう指示した。橋下氏は6月中旬をめどに改革案をとりまとめる方針だ。「次々と大玉を投げている。職員は『こんなのできるかよ』と思っているだろうが、きちんともんでくださいと言いました」橋下氏は今月2日に政策企画室長、総務局長、財政局長と会ったのを皮切りに、市議会事務局長を除く市役所本庁の全部局のトップと面談。各部局の抱える課題と現在の取り組み、維新のマニフェスト(公約)との相違点についてA3判の用紙にまとめて提出させ、政策実現に向けた課題や問題点を整理するよう直接指示した。その改革方針は急進的。じっくり市政改革を進めた平松邦夫市長(18日付で退任)の路線とは大きく異なる。橋下氏は広域行政機能については府市統合本部で仕分けする考えで、都市計画や交通政策など開発行政を担ってきた計画調整局とは意見の隔たりも見られた。「抜本的に見直ししないといけない。白熱した議論ができる面白い関係になる」と組織の見直しも示唆。建設予定の近代美術館を所管するゆとりとみどり振興局についても厳しく批判した。ただ、褒めることも忘れない。「大阪市役所は優秀な職員が集まっている。問題意識をぶつければ的確に答えてくれる」と持ち上げる。面談した幹部の感想は「知事時代の実績を下敷きによく勉強している」という評価と「就任前なのに次々と改革が実行されているかのように見える。メディアの使い方がうまい」との皮肉が入り交じる。橋下・新市長が検討を指示した主な施策
市政改革室/改革プロジェクトチーム設置、外郭団体の見直し危機管理室/津波対策など防災対策の見直し総務局/地域振興会に対する交付金見直し財政局/暫定予算の編成、補助金見直し契約管財局/随意契約の見直し、未利用地の処分計画調整局/本州四国連絡高速道路への出資見直し健康福祉局/生活保護の審査の厳格化、敬老パス制度の維持・拡大こども青少年局/保育所の待機児童ゼロ化、児童虐待防止対策への強化ゆとりみどり振興局/近代美術館建設計画及び、文化団体への補助金見直し経済局/市と府の信用保証協会や産業振興施設の統合環境局/震災廃棄物受け入れ検討、ゴミ焼却場建て替え計画見直し都市整備局/府営住宅の市への移管港湾局/府や周辺自治体との港湾管理の一本化消防局/「大阪消防庁」の創設交通局/市営地下鉄の運賃値下げと民営化水道局/大阪広域水道企業団との統合病院局/市立病院の独立行政法人化と府立病院機構との一体運営教育委員会事務局/学校選択制の導入、中学校の給食実施監査・人事制度事務総括局/監査制度の民間委託、採用・昇任制度見直し(毎日新聞12月18日)
いよいよ始まる橋下流市政改革。
楽しみだが、気になるところも…
橋下新市長 近代美術館計画を白紙に
「しょぼいのいらん」大阪市長就任を19日に控えた橋下徹氏が、大阪・中之島に建設予定の市立近代美術館の計画を白紙に戻し、府市統合本部で検討する方針を表明している。市が購入したり寄付を受けたりした絵画、オブジェなどは約4500点。橋下氏はコンサートホールなども備えた複合施設に変更することも視野に入れているが、事業中止の場合、作品を売却する可能性を示唆しており、関係者は計画の行く末にやきもきしている。近代美術館の建設構想は83年、市制施行100周年記念事業として浮上。市が98年に基本計画を作り、用地を国から226億円(うち建設用地は117億円分で残りは売却予定)で購入した。展示予定作品では、近現代の美術品約3500点の寄贈を受け、約1000点を約153億円で購入。最も高いモディリアーニの「髪をほどいた横たわる裸婦」(1917年)にはバブル期の89年に19億3000万円も出した。ところが、財政難で計画は中断。昨年11月には整備費を280億円から122億円に縮減し、建物の延べ床面積を2万4000平方メートルから1万6000平方メートルに縮小する整備計画を発表した。「普段の生活の中で気軽に参加できる美術館」(建設準備室)というコンセプトで、16年度の完成を目指していた。これに対し、質の高い施設を目指したい橋下氏は13日、「しょぼい美術館なんかできても大阪の力は高まらない。一から構想を練り直したい」と表明。「国内外から人が集まるようなものを造らないといけない」としており、建設する場合は大阪府との共同事業にする腹づもりだ。用地購入時の国との契約では、今年度末までに美術館が完成しない場合は最大約16億円、美術館以外に転用したら最大約48億円の違約金が発生する。だが、橋下氏は「違約金があるから美術館を造らないといけないというのは本末転倒」と歯牙にもかけない様子。作品についても計画中止の場合は「売らざるを得ない」としている。建設構想に80年代から関わっている兵庫陶芸美術館長の乾由明・京都大名誉教授(近代美術史)の話「収集した作品の質は国内トップクラス。完成すれば大阪の新しい文化の核になる。美術館はその都市の顔であり、運営次第で人は集まる。作品を売るという発言は乱暴だし、廃止は大阪の文化全体の問題だ」(毎日新聞12月18日)
言ってることはわかるし、賛成したいと思える夢も感じるが…
その変心、
ホントに「アンダーグランド」に気兼ねしてのものでないと言えるのか、どうか。
清濁併せ飲むことができるのも〝橋下流〟――
と推し量るのは、穿ち過ぎかもしれないが…
いや、まあ、それはいい。
個人的には、
ワタシはものごとを前に進めることを優先するためには必要だと思う派だから、
そのことで興が醒めることはないが、
気兼ねが「アリの一穴」にならないよう、
「気軽に行ける美術館より、国内外から人が集まるような美術館」
やるなら、とことん本気で、やってほしい。
市職員 ギャップ痛感
次々指示 改革の洗礼「西日本の核となる消防部隊をつくっていきたい」市役所8階の地域政党・大阪維新の会市議団控室。市幹部による新市長への課題説明で9日、市消防局幹部が集まった。橋下氏はいきなり、同局を大阪全体の消防組織に再編・一元化する「大阪消防庁」創設を消防局長らに指示した。事前に橋下氏の公約を研究していた幹部は、「『大阪消防庁』関連」と題した資料をめくり、「実現には一つの道筋がある」と説明した。他市町村から委託を受ける東京消防庁方式など2案だった。橋下氏はその場では選択しなかった。だが、同日夜、記者団に囲まれると、橋下氏は「東京消防庁と同じプロセスで進めていきます」と宣言。発言を報道で知った幹部は、「私たちより、メディアに先に方針を出す。これがやり方なのか」と驚き、「橋下流」を痛感させられた。5日から13日まで橋下氏が受けた市側の説明は、約25部局から約40時間。それは市幹部が「洗礼」を浴びている時間でもあった。ゆとりみどり振興局幹部は、説明資料の中に、橋下ブレーンの上山信一・慶応大教授の著書から「文化が経済を支える」との言葉を引用、担当する文化行政の重要性を訴えた。ただ、例示したのはパリのオルセー美術館やオペラ座で、橋下氏に「大阪でやってきた文化行政がオペラ座と一緒ですか」と切り返され、文化関連補助金の全面見直しを指示された。「大規模開発は都」が持論の橋下氏から「考えが真逆」やり玉に挙げられた都市開発担当の計画調整局の幹部は「真逆とは思わないが、90度は違う」と考え方のギャップに戸惑った。一方、東京・永田町近くでは13日午後3時、都市制度のシンポジウムが進行していた。「新しい芽が出てきている。地域政党が大きな役割を果たす時代になってきた」日本の自治研究の重鎮、西尾勝・地方制度調査会長は「立場上、個人的感想は述べない」と断りつつ、維新の動きに強い関心を見せた。会場最前列で西尾氏らの発言を熱心にメモしていたのは、橋下氏が知事時代、都構想実現への「地ならし」に設置した府大都市制度室の職員2人。3年9カ月、橋下氏の「洗礼」を浴びた府職員が、国の動きを把握しようと聞き入っていた。(読売新聞 『ドキュメント橋下維新』 12月14日)
今日、大阪で新市長誕生が誕生する。
イザ、中之島へ!