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原発ゼロ生活を国民はホントに覚悟してるか

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『新・報道2001』(8月26日)
 
(VTR) 
 
ナレーション:
2030年代の原発ゼロを検討し始めた政府与党。
実はこの夏、原発行政の鍵となる出来事が起きていた。
原子力発電所稼働停止の影響で政府はこの夏、関西地方で14.9%電力が不足すると試算。
大飯原発再稼働に強く反対していた大阪の橋下市長はこうした試算に、限定的な再稼働を容認。
 
橋下市長:
負けたと言われれば、負けたと思われてもしょうがないと…
原発事故は恐ろしいが、しかし、停電リスクも恐ろしい。
この試算通り、関西電力によると、先月原発再稼働がなければ、電力不足に陥っていたという。
この夏、厳しい状況だった7月27日。
関西電力管内の大飯原発を除いた最大供給電力は2542万kwだった。
これに対してこの日、最大で2673万kwの電力需要があり、131万kw不足していたという。
しかし、電力状況を調査してきた大阪府市エネルギー戦略会議によると、
 
植田和弘(大阪府市エネルギー戦略会議座長):
西日本の6社全体で需給を調整する観点にたてば十分に足りていた。
700万kwの余剰があってですね、融通すれば賄えたと…
こうした融通を入れずに出した政府の試算は結果的に有効ではなかったということです。
関西電力一社だけで考えるという発想自体が、もう3・11以降の問題点の一つとして指摘されていたことでして…
原発なしで乗り切れた可能性。
しかしその影には、別の問題も隠されている。
 
湯元健治(日本総研副理事長):
火力発電の燃料は海外から輸入してきますので、そうするとその価格は非常に高くなっていますので、昨年1年間で約2兆6000億円の輸入コスト増が…これは電力会社の経営の悪化として表れてきます。
増加する電力会社のコストは深く国民の生活とも関わってくる。
政府が試算した、原発をセロにした場合の電気料金は、
現在、1万円支払う家庭では、月々4000~1万1000円増、年間にして最大13万円の負担増になる計算だ。
 
橋下市長:
原発ゼロ案に対しては批判が噴出するのは分かってますからね、ゼロになるということは電気料金がどうなるのかとか、経済はどうなるんだとか、しっかりそれに対する答えを用意しておかないと、これはもう「机上の空論だ」って言われてしまいますんでね
 


 
(studio) 
 
田坂広志(菅政権で元内閣官房参与・多摩大学大学院教授):
今ね、原子力の問題で一番重要なのは、まあいろいろありますけどね、根本は国民が政府の原子力行政を信頼してるかどうかということだと思うんです。
いろんな情報を出してみても、「なんか出来レースじゃないか?」と思われてることに私は非常に大きな問題があるとみてるんです。
つまり、こういう選択肢を出してですね、結局、こういうあたりに落としどころをはじめから決めてるんじゃないかと、疑ってる。
ですから世論調査をやると、国民が『できないかもしれないとわかっていながら、やっぱりそれを目指してもらいたい』と、いうのはですね、わかりやすく言えばこういうことですよ。
政府はとにかく、自然エネルギーとか省エネルギー、ベストの努力をしてくださいと。
最初からシナリオをつくって、専門家を集めて「これはできません」「これはやります」と、勝手に決めるんじゃなくて、現実にいろんな政策を打ってみてベストの努力をしてもらいたい。
その上で、結果として国民が『学びのプロセス』に入ると思うんですよ
それを専門家とか、政府の一部の人が集まって勝手に決めるという、このやり方が福島の原発事故を起こしたんじゃないのかと。
国民が今望んでいるのは、もっと情報を公開して、現実のチャレンジをやる。
そしてこの話はイノベーションともつながるワケですよ。
例えば、マスキー法(待機浄化法)って有名な話がありますよね。
70年にマスキー法が入って自動車の排ガス規制が入ったときに、自動車産業は壊滅するって言われた。
専門家もみんなそれを言ってたワケですよ。
ところが現実にはホンダがそれからCVCCを開発してクリアしていくワケですね。
ですからこのイノベーションが起きるということを、我々も、国民も期待してる、もちろん結果、それで絶対大丈夫だというワケではないですが…
 
原子力行政をいま改革しないまま、いろんな議論をやっても砂上の楼閣なんですね。
今一番大きな問題は、政府の施策とか原子力規制が信頼できないってことなんですね。
これは事故調も報告書ではっきり書いてますが、これまでの原子力の規制当局は、電力会社のトリコであった、馴れ合いであったということを、厳しく指弾してるワケです。
それはまた、国民がこれまで薄々感じてきたことでもあるんです。
そこを、これほど明確に変わりましたというですね、そういう姿を示さないまま、「ただ原発が必要なんです」「パーセンテージとしてはここまでしか省エネできません」ということでは、国民は納得しませんよ。
むしろあの、世論調査の数字の奥にあるのは、原子力行政の規制の徹底であるというのは絶対的条件なんです。
その上で、単位一部の専門家が決めるんじゃなくて国民が参加したカタチで、新しいこのエネルギー社会をどうするのかということを…私むしろね、現政権は国民運動をやるべきだと思いますよ。
例えば省エネ一つにしても勝手に試算して、「これくらいしかできません」ということではなくて、国民の皆さんの力をお借りしたいと、省エネをどこまでできるか、2050年でどこまで前倒しできるのか、現実にはほんとにできないのか、それもあるかもしれません。
でも、一緒にやってみようじゃないかと。
この姿勢をこそ、いま政府に求めてるんだと、思いますよ。
これもし、次の政権が自民党になっても全く同じ問題が突きつけられますよ。
私は国民と政府のあり方が根本から変わらない限り、単に選択肢を3つから5つにしようが、何しようが、小手先では国民はどこまでも納得しない。
この状態がずっと続く。
これを私は一番危惧します。

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