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道州制で『自立する地域』は実現できるのか?(第一回)

8月23日
維新の会の一丁目一番地の政策ですが、今までコラムのお題にはしませんでした。
私自身、今もって鋭意研究中のテーマだからです。
平成維新の会をはじめ、自民党・民主党時代から検討議題としては挙がっておりながら、実現の兆しが全く見えない「道州制」。
果たして「自立する地域」は実現できるのか?
結論ありきではなく、私自身じっくりと納得いくまで考えていきたいと思います。
(そのため第一回とさせていただきました)
今回は、橋下市長のような「改革のリーダー」が地方に誕生するのか、を考察したいと思います。
 
中央集権体制、今でこそシロアリ官僚の巣になってしまって、日本の成長を妨げる根本の原因になってしまっていますが、理想論としては悪いものではありません。
かつての明治維新はむしろ中央集権を目指す改革でありました。
中央のエリート官僚と、地方の行政マン、どちらが優秀かといえばやっぱり中央・・・地域分権になってもうまくマネジメント出来ないのではないか?
何をもって優秀とするかはさておき、感覚としては十分理解できる論ですよね。
 
まず、システム論としては「ニア イズ ベター」、
行政組織が住民により近くなる方が効率的になるのは間違いありません。
あとは、制度として優れていても、トータルで優秀と評価できるかどうかです。
私は「時間軸」の概念をもって、道州制のほうが優れている、と解釈しています。
サンゲン(財源・権限・人間)を地方に移すにしたがって、差異がなくなってくると思うのです。
とくに重要なのは消費税の地方税化などの「財源」と、あわせて自主徴税権、条例上書き権などの「権限」ですね。
形が変われば、人はあとからついてくるからです。
 
また、改革のリーダー足りうる「人間」については、国民主権の日本である以上、きちんとしたリーダーを選ぶのは有権者の責任です。
そのために必要なのは、情報開示による「透明化(見える化)」ですね。
権力チェックとして大事な役割を果たすのが、マスメディアになります。
維新政治塾生にまつわるチャランポランな記事を読むとマスコミの信ぴょう性を疑いたくもなりますが、それでも一定の情報公開の役割を担っています。
 
道州制が実現すれば、今の永田町報道と同じように道州議会や道州議員の動向が報じられるでしょう。
「貴方の地域の首長のマニフェストを言えますか?」と言われれば、ほとんどの人が「はて・・・?」となるのではないでしょうか。
現状は市民による権力チェックが効いていないのが実情ではないでしょうか。
地方ごとに財源のチェック、政治活動のチェックが効いてくれば、政治もおのずから改革の動きが出てきます。
 
遠くない未来に、各地域に改革の旗をふるリーダーが登場するでしょう。
私は、彼らこそが真の橋下チルドレンだと思っています。
ニッポンの維新は、一人のカリスマだけでは実現しません。
ニッポン全国の、維新の志士が必要です。
そのための土台として「統治機構の作り直し」が必要なのです。

 

次期総選挙の争点は維新の会が掲げる消費税の地方税化だ

8月24日
転載元: 高橋洋一の「俗論を撃つ」
 
 

次期総選挙の争点は
維新の会が掲げる消費税の地方税化だ

維新の会のセンターピンは
消費税の地方税化
橋下市長が、改革のセンターピンとして位置づけているものとして、地方分権、その具体策として消費税の地方税化がある。
 
自民党の谷垣禎一総裁は18日、大阪維新の会の八策に盛り込まれた地方交付税の廃止について「交付税が駄目だと言うなら(それに代わる自治体間の)財政調整の方法を考えないといけない」と語った。
 
これに対し、橋下市長はツイッターで、現行の地方交付税制度には国が収支差補てん(赤字補てん)を行うという本質的な問題点があることを指摘した上で、財政調整を「地方に任せれば良い」と言い切った。
 
地方交付税の廃止と消費税の地方税化は、鏡の裏表の関係である。
各地方で徴収されている消費税を国が徴収してそれを地方交付税として国が地方に配分するか、消費税は「地産地消」として国が吸い上げずに、その代わり地方交付税をなくするのと、どちらを選ぶかという話だ。
 
今の制度のように消費税の国税化・地方交付税の存続セットは、中央集権思想で国が制度を作るという谷垣総裁の考えにつながり、消費税の地方税化・地方交付税の廃止は地方分権思想で、地方がやればいいという橋下市長の考えになる。
 
税金に関する国と地方の「水争い」の攻防とみることもできるが、中央集権か地方分権かという価値観の相違が根本にある。
 
権限を失う財務省・総務省は
消費税の地方税化には猛反対
当然のことながら、中央省庁である国税を所管する財務省と、地方交付税を所管する総務省は、消費税の地方税化・地方交付税の廃止は自らの権限の源泉を奪われるので猛反対だ。
特に、財務省にとって、消費税は決して失いたくない税源だ。
地方税化の問題点を識者にレクするための反論マニュアルもあるらしい。
しかし消費税の税源移譲なしでは、本格的な地方分権はあり得ない。
消費税は安定財源なのでむしろ必要事務の多い地方に適している。
 
ざっくりした言い方であるが、
分権後の地方[=基礎的自治体(市)+州]と国の行政サービス比率は、だいたい6:4になるが、現状ではその財源比率は4:6と逆になっている。
ということは、現在の国税を地方へ、20兆円規模の税源移譲が必要になることを意味している。
要するに、地方分権をやるなら消費税の地方税化は避けられない。
逆にいえば、消費税の地方税化に賛成するかどうかで、地方分権の本気度が試されることになる。
 
地方分権、道州制への賛成を唱えながら、消費税の地方税化に反対するというのは、論理が矛盾した話だ。
 
なお、地方分権とは、3ゲン(権ゲン、財ゲン、人ゲン)を国から地方へ移すので、20兆円の税源移譲とともに、20万人の国家公務員の地方公務員化、それに対応する権限の地方移管もある。
すると、今の中央省庁として残るのは、内閣府、外務省、財務省、防衛省などの数省庁しかなくなり、国土交通省、経産省、農水省、文科省などは基本的には各道州ごとの役所になる。
厚労省も多くの部署は地方移管される。
 
こうした地方分権は、国の仕組みを根こそぎ変えるので、中央官僚の反対は大きい。
もっとも国民にとっては、行政サービスの提供主体・責任主体が、国から地方へと代わるだけ(中央政府から地方政府への政府間移管)なので、行政サービスの水準は変わらず、責任の明確化になるだけのことであるので、歓迎すべきことだ。
中央集権体制の限界を打ち破る
「ニア・イズ・ベター」
ところが、先日、来週放送予定のテレビ朝日TVタックルで、片山さつき参議院議員から、消費税を地方税化すると、今の消費税で輸出時には税を還付しているように、州境に税関部署を設置しなければいけないので、地方税化は実行できない、との奇抜な反論があった。
欧州はそれで大変だと。
 
こうした反論は、前述した財務省の反論マニュアルにもあるようだ。
私はいろいろな場で、財務省関係者から同じような質問を受けている。
そのたびに、答えは同じだ。
例えば、カナダは州ごとに消費税率が異なっている。
しかし、同じ国の中なので、州境に税関なんて設けずに、計算で各州の取り分を決めている。
州境の措置に比べれば厳密ではないが、同じ国だからこれで十分なのだ。
 
それと同じ番組で、山口二郎北海道大学教授からも地方税化の反対論があった。
交付税制度がなくなると、弱い地方と強い地方の格差がでる。
今の交付税制度を人口面積基準にして行うのがいいと。
 
もちろん交付税制度なしでも、数兆円規模の必要最小限度の財政制度調整はある。
ただし、それを国が作る必要はないのだ。
それこそ、地方分権なのだから、橋下市長のいうように「地方に任せれば良い」のだ。
しかも、山口教授は、私が竹中総務相補佐官時代に、交付税を人口面積基準にする「新型交付税」の企画立案に携わっていたことをご存じでなかった。
当時作った新型交付税はすぐに制度が換骨奪胎された。
それほど官僚に裁量のある今の交付税制度は、総務省に不可欠なものだ。
だからこそ、財務省の反対とともに総務省も、消費税の国税化・地方交付税の維持なのだ。
 
この流れは、地方分権の経緯とともに理解されなければいけない。
小泉政権時代に、三位一体改革が行われたが不十分だった。
国から地方への①税源移譲、②補助金削減、③地方交付税削減を同時に行うはずだったが、骨太の方針2002において、財務省は①をケチり、総務省は③でカットせずに臨時財政対策債で地方へ押しつけ、結局、その他事業省庁の②だけしかできなかった。
 
それを数字で確認しておこう。
税源移譲額は3.0兆円、
補助金削減総額は4.7兆円(2004~06年度)。
臨時財政対策債を含む交付税削減は5.1兆円(2004~06年度)であった。
三位一体改革によって、地方は、少ない税源移譲、大きい補助金カット、臨時財政対策債による地方の借金増加という不満足な結果になった。
最大の問題は税源移譲が少なかったことだ。
 
結果として、地方税が比較的苦しい地方自治体ほど交付税減額の影響が大きくなって、地方分権が進まないばかりか、財政状況の苦しい地方自治体のほうが被害者になってしまった。
 
これまでのように、財務省・総務省のいうとおりに中央集権体制を維持するのか、それとも中央の官僚主導を脱して、地方分権にして国のかたちを変えるのか、それが次期総選挙で問われている。
 
「ニア・イズ・ベター」という言葉があるが、今の中央官僚依存・中央集権体制ですべての問題を処理しようとするのは限界だ。
国は外交、国防などに力を注ぎ、生活回りや社会インフラなどは地方分担していく必要がある。
そのためには道州制がいい。
その具体策として、消費税の地方税化は当然だと思う。
 
23日付で、週刊ダイヤモンドオンラインに大変いい記事が載っていました。
次期総選挙の焦点は、「中央集権」VS「地方分権」になる、その通りですね。
 
道州制の一番の問題は、世間の関心がないことだと思っています。
少しでも道州制が知られるきっかけになればよいと思います。
 
参考になったのは、三位一体改革の解説です。
地方が疲弊する事態がおきましたが、中央省庁の反対により政策が十分にできなかったことが原因だったのですね。
 
道州制、私も研究中のテーマですが、間違いなく推進すべきですね。
高橋氏の解説は非常に読みやすくまとまっていてさすがと思いました。
 
 
 

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