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大阪都抗争(市闘編)/桜宮体罰問題で語る

『サンデープロジェクト』1月27日
長野智子:
橋下さんは教師の暴力によって、生徒が自殺するという事態を生んだ桜宮高校の問題を断ち切るために、入試の中止、そして、教師の総入れ替えを求めたということなんですが、やはり、色んな声が橋下市長のところに届いてますか?
 
 
橋下徹:
そうですね、やはり在校生や受験生のことを考えれば、入試は継続すべきだという声は、当初は圧倒的に多かったですね。
 
長野:
そうした声にもかかわらず、絶対やるんだ、という決意、これからうかがっていきたいと思うんですが。
ます、橋下さん、入試中止に至った一番の理由はなんだったんでしょう。
 
橋下:
これは桜宮高校の体育科が新入生を迎え入れる状況にはないということです。
在校生や保護者の皆さんは、これまでの顧問の指導が正しかったと思って、信じ込んでいますけども、これは客観的に見れば、とてもじゃないですが、新入生を迎え入れるような、いわゆる教育の現場のていをなしておりません。
暴行事案は桜宮高校では常態化していたんです。
バレーボール部では、数年前に教師が停職処分になってる暴行事案があった。
またその後、同じ教師が繰り返し暴行を行ったんだけども、今度は学校は隠蔽した。
もっとひどいことに、今回問題にいなってるバスケットボール部については、「公益通報制度」で2年前に、体罰があるんじゃないか、という指摘があった。
これを教育委員会も学校も十分な調査をせずに終わらせた。
他にもいろんな問題意識、自由記述欄が僕のところに上がってくるんですけどね、これだけはきちんと確定しなくてはならないのは、
暴行が常態化してる学校現場で、そして、それが最大の原因になって一人の生徒が亡くなってるにもかかわらず、学校をそのまま継続するなんてこと、やっちゃいけないです。
これは学校存続に関わる問題なんだってことを、まずキチンと判断する、それが一番重要なことだと思いますね。
(中略)
 
 
長野: 
橋下さんはずっと、「桜宮高校にはまだ皆さんが把握していない情報がたくさんあるんだ」とくり返し仰ってるんですが、話せる範囲で、私たちが把握していないどんな実態が、そこまでの決断に至ったどんな実態があったんですか?
 
橋下:
これは詳細に言ってしまうと、生徒批判になってしまうし、桜宮高校の批判になってしまうので難しいところがあるんですが、ただね、クラブ活動とか体育、それ以外のことがちょっと置き去りになってますね
今回、学校での暴行が常態化している、生徒がそれで自殺した、とんでもない事態なんですが、その認識、事の重大さが、在校生もその保護者も、教員も、その非常に認識が弱いですね。
こういう状態で子どもたちを卒業させていくのは非常に問題…でも、これは、今の教育委員会では、問題だと思ってない。
ここの価値観の違いなんでしょうね。
それから、僕からはなかなか言えないことではありますが、色んな、今、ネットの中でも出回ってますよ。
これは生徒にもしっかり考えてもらわないといけない。
ああいうカタチで会見するのも結構。
在校生の気持ちを伝えるのも結構だけども、自分たちが、ホントにそういうことを世間に言えるような、学校生活の状況なのか、どうなのか、そういうことを生徒自身、もう一度ね、自分たちのことを見つめ直してもらいたいです。
 
長野:
情報を収集する中で、橋下さんは顧問の先生にもお話を聞けたんですか?
 
橋下:
いや、聞けないんです。
教育委員会制度の中で、僕がそこまで踏み込めません。
要するに人事権がないですから。
首長はそこには入れないんですよ。
まあ、顧問の考え方とか、意見とかは、世間も知りたいところだと思いますけどもね。
 
長野:
生徒は、入試をやめても、なんの根本解決にもならないと言ってますが、それに対してはどうお答えになりますか?
 
橋下:
それはメディアの批判の中でも多いんですが、体育科を継続したら、もっと何も変わりませんよ。
入試を中止することで、すべてが変わるワケではないけども…しかし、もう、変わり始めてますけどもね。
桜宮高校は体育科があっての桜宮なんです。
この体育科、今までやってきたことが間違ってる、これをはっきり示すこと。
それから、意識をしっかり変えてもらわないといけません。
在校生、保護者、まだまだ不満がある。
クラブしたい。早く試合がしたい。
しかし、ちょっと待ってくれ、と。
今はそういうことじゃないでしょ、と。
みんな、OB含めて、これは先生の愛情に基づいた指導なんだと、みんな思ってるワケです。
しかし、これ、桜宮の外から見たら、完全に間違った指導なんです。
しかし、在校生も保護者もOBも、この間違いを認識しておりません。
今ね、試合とか、クラブ活動とかじゃなくて、
暴行事案があった、それで生徒が自殺したんだ、そういう状況で今やらなければいけないことは、在校生、保護者、外部の有識者含めて徹底的に話し合うことですよ。
それで自らの間違いに気づくことなんです。
自分たちで立て直すことなんですよ。
それを入試を継続したままやるなんて、ムリですよ。
 
長野:
橋下さんが亡くなった生徒のご両親にお会いになって、それから橋下さんの体罰に対する考え方が変わられたと、いう印象を持ったんですけども。
 
橋下:
これはね、まず二つに分けないといけないんです。
スポーツ指導の現場と、そのほかの生活指導の現場、これを僕は分けて考えてます。
スポーツ指導の現場においては、技術指導とか、レベルアップのために手を挙げて指導するのは、これは絶対あってはならないし、そんなことしても意味ないんだ、ということは色んな人から話を聞きました。
でも生活指導の現場のことについては、これは文科省も教育委員会も、無責任に体罰禁止、禁止と言ってるだけで、ホントに現場はそれで回るのか、ということなんです。
生活指導の場で、ギリギリの状況でね、手を上げる場面があるのか、ないのか。ギリギリの状況で先生は手を上げるべきかどうか悩んでるのに、どんな場合も手を挙げちゃいけないというんだったら、文科省や教育委員会は別の代替策を与えてあげないと、言ううこと聞かない生徒に対する対抗手段を
ただ桜宮においては、まだそこまでに至っておりません。
先生の愛のムチなら、それくらいの厳しさがないなら、勝利を収められないと、いう意識はね、桜宮高校ではものすごく強いですよ。
ここ変えていくにはものすごい時間かかると思いますね。
(中略)
 
体育科の入試を継続しろ、継続しろ、っていう人たちは、取り合えず今の状況を混乱させないため、と言うんだけど、だって、これから、桜宮の体育科を抜本的に変えていくんですから。
今までと同じ意識で入試の臨まれたらダメなんです。
変わるというんだったら、まず入試を止めて、変わってから、その変わった状況で新入生をお迎えする、というのが本来なんです。
これ、入試を継続して、混乱が収まるなんて絶対ないですよ。
だって、先生も変わる、クラブのあり方まで変わる、授業のカリキュラムまで変わるんですから。
取り合えず入試だけ継続して、生徒を迎え入れるなんて、これほど無責任なことはないですよ。
(中略)
 
僕の教育行政については色んなご批判…とくに弁護士業界から受けますけども、僕は教育内容になんか口を出す気はないんですよ。
ガバナンス、組織のありかたの問題、緊急事態が生じだ時には教育の専門家では立て直せない。
組織をマネジメントする専門家がいる。
そういうところと役割を分担する、教育委員会と首長の役割をキチッと分けるということをしないといけないでしょうね。
(中略)
 
やはり、教育委員会制度が問題の根っこにあるんです。
教育委員会制度は、戦前の軍国主義教育というものを完全にやめさせようということで、政治と教育を完全に分離させた。
その結果、教育現場はある種、治外法権化しました。
そして、自分たちの価値観だけで物事を進めるようになってしまった。
やっぱり、ここで政治と教育の距離感、取り戻さないといけませんね。
(中略)
 
(こないだも府教委と市教委が揉めてた印象を与えましたが、)こんなの2つを併存させる必要なんかないです。
今回の問題が起きて、いったい誰が責任を取るか、そういう声が教育現場から出てきましたか?
教育委員も、教育委員会の事務局も、誰も責任をとるなんて言わない。
責任を取る体質じゃない、これが今の教育委員会制度なんです
 
後藤謙次(政治ジャーナリスト):
橋下さんは、よく選挙で民意を問うと仰いますが、高校生が記者会見の中で、「私たちには選挙権がないんだ」という反論がありましたけども、この言葉はどう受け止められました?
 
橋下:
高校生はまだ未成年です。
未成年者には責任もないんです。
権利も制約されるんです。
だからこそ、大人がしっかり子どもたちのために判断しないとならない。
僕は在校生のために、そして受験生のためにね、彼らの気持ちをそのまま汲むことが、大人の、また市長の役割だとは思っていませんから。
受験生の将来のことを考えて…今、桜宮高校の体育科に入るのは最悪の状態だよ、と僕が判断したんであれば、受験生の将来を考えて、一回は普通科に入れて、桜宮を完全に立て直して、そこからもう一回、体育の専門家というのをつくって、そこに編入させたらいいと思うんですよ。
 
 
(VTR)
「バスに桜宮の生徒が乗ったら、『桜宮は降りろ』とか言われてると聞きました。
桜宮のクラブバック持って堂々と学校に行くことがホントに誇り高いプライドというか、それが今出来ていない…」
「クラブ活動を奪い取られてからは、まったく目標がなくなったかのように通ってる」
「(『桜宮高校のバスケット部のあの雰囲気は生徒、保護者みんな合わさって』などと言って)生徒を加害者扱いして、傷つけたことは事実だと思うので、そこに対するケアをもうちょっと真剣に考えてほしい」
「もっと生徒の声を聞いてあげてほしい」
「生徒たちの…傷ついた心を早く回復させてほしい。
もっと応援してあげてほしい。批判なんか、誰でも出来るんです」
 
 
 
長野:
保護者のこういった声を、橋下さんはどう思われますか?
 
橋下:
バスでバッシングを受けるとか、これはあってはならないことですね。
ただ、応援する前に、何が間違っていたのかということを、在校生も保護者も、一度考え直さないといけません。
今、在校生も保護者も考えなければいけないのは、なぜ生徒が自殺したのか。
このことを今はね、考える時期なんです。
応援はいくらでもしますよ。
しかし、傷ついた生徒の状況を回復させるのも、まず自分たちで話し合って、間違いを認めて、そしてどうやって立て直していくのか、当事者となって考えてもらわないと。
まだまだ在校生や保護者にその認識は弱すぎると思いますよ。
 
長野:
橋下さんはネットを見ればその実態がわかると先ほど仰っいましたが…
 
橋下:
それは一部ですよ、一部…
 
長野:
学校の情報も錯綜してまして、本当に今、学校に何が起きてるのかを説明できるのは橋下さんしかいないんですよね。
 
橋下:
これはね、学校の実態っていうよりも、保護者意識、在校生の意識というのが重要で、自由記述欄で僕のところに寄せられたものを見ますとね、桜宮高校のありかた、指導方法、これを批判的に見る保護者がほとんどいない。
そこが問題、という意味です。
今回の事案は、廃校になってもおかしくないような事案なのに、在校生も保護者もそこまでの認識を持ってない。
こんなのアメリカやヨーロッパだったら、即閉校になってますよ。
それくらい大きな問題なのに、これ、社会全体が入試を継続しろ、継続しろって、生徒の気持ちを考えろ?そんな日本社会だったら、いつまでも学校内の暴力事案なんかなくなりませんよ。
(中略)
 
一番重要なのは、このような学校での暴行事案、日本社会は認めるのか、認めないのか、ということなんです
社会で今、指導で手を上げるのはしょうがないんだという風潮がある。
これがダメなんだということを日本社会は示さなければいけない。
 
これがダメなんだということを日本社会は示さなければいけない―― 
今回の始末しだいでは、オリンピック誘致にも影響を与える事態となるだろう。
体罰を公に認める国でのオリンピックはあり得ない。
 

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