虎党酔わせた!藤浪、プロ初星お待たせ!
待ってたで、この1勝!阪神ドラフト1位の藤浪晋太郎投手(19)=大阪桐蔭高=は2度目の先発となったDeNA戦で6回5安打無失点。待望のプロ初勝利を手にした。高校時代は9戦無敗だった本拠地・甲子園で有無をいわせぬ快投。聖地の申し子は、タテジマで新たな伝説をスタートさせた。やはり、甲子園は藤浪のものだった―― 。タテジマで凱旋した申し子が、メモリアルの1勝を手にした。今季最多4万5197人の歓呼の声に招かれ、初めてのお立ち台に登った。声は裏返る寸前だった。「ありがとうございます! 本拠地の甲子園で初勝利ができて、すごくうれしいです。自分にとって投げやすい球場ですし、ファンの方が応援してくださる、すごく良い(雰囲気の)中で投げさせてもらいました」壇上、帽子のツバに手をやり、真っ黄色に染まった景色をもう1度見渡した。3月31日のヤクルト戦(神宮)での6回2失点ピッチ以来2度目の先発。早くも結果を出した。一回初球の149キロから場内のボルテージは最高潮。乗せられるようにグイグイ押した。唯一のピンチだった五回二死一、二塁でも、石川に1-1から直球勝負。4球目の148キロで力のない左飛に斬った。「調子が良くなかったので、その中でしっかりゲームを作っていこうと考えました」試合後は本調子ではなかったことを打ち明けた。和田監督には試合前「ブルペンで(ボールが)暴れている」という報告が届いていた。そんな中での快投。「ちょっと心配していたが、しっかりと投げてくれた」と指揮官は称えた。6回を5安打無失点。プロ最速タイの152キロで、4三振。三塁も踏ませなかった。五回にはプロ初打点となるスクイズも決めて、メモリアルに花を添え、百点満点のプロ1勝となった。大阪桐蔭高では甲子園で9勝0敗。これで甲子園“公式戦”10連勝となっただけでなく、無失点も継続だ。昨夏の準決勝、決勝は連続完封。しめて24イニング連続無失点だ。チームのデーゲーム連敗も「4」で止めて、「ファンも待ち望んでいた。甲子園で1勝目を挙げるというのは持って生まれたもの」と和田監督をニンマリさせた。プロの頂に大股で足をかけた。しかし、まだ一歩目に過ぎない。志は高い。大言壮語するタイプではない。だが、大阪泉北ボーイズ時代に指導をうけていた下埜(しもの)昌志監督(54)には、密かに「名球会に入ります」と誓っていた。恩師は「息の長い投手になりたい、とも言っていた。これであと“199勝”ですね」と船出を祝った。「これから『必死のパッチ』で頑張るので、応援、お願いします!!」最後は先輩らの十八番のセリフを拝借。ドカッと笑いもつかんだ。聖地に愛された男はタテジマでも伝説を築く。物語はまだ、始まったばかりだ。さすが先輩!虎・西岡、ダメ押しタイムリー
いつも以上に闘志がみなぎっていた。バットで、グラブで、そして声でも黄金ルーキーを盛り上げた。プロ初勝利を挙げた大阪桐蔭高の後輩、阪神・藤浪とお立ち台に並んだ西岡が、最大級の賛辞を送った。「非常に(背中が)大きく見えますし、これから長い野球人生、名を刻んでいく投手になると思うので、非常に頼もしいですね」先輩らしく試合を援護した。0-0の四回だ。三浦から遊撃への内野安打。8試合連続安打で出塁すると、大和の犠打で二進。鳥谷の打球を一塁・ブランコがはじく間にホームを駆け抜け、無失点で踏ん張る後輩へ先制点をプレゼントした。さらに、藤浪が自らスクイズを決めた直後の五回二死二塁では、三浦のカットボールを中前にはじき返すタイムリー。今季初盗塁となる二盗も決め、大和の適時打で再び生還した。今季6度目のマルチ。得点圏打率も・556(9打数5安打)と勝負強さが光る。「昨日ね、大阪桐蔭で試合つぶしてしまったんで…」。前日13日のDeNA戦では同校OBの先発・岩田が一回にいきなり6失点。西岡自身も守備で“トンネル”を犯したが、この日は軽快にさばいた。気配りも先輩の仕事だ。五回、投手の三浦に左前打を浴び、二死一、二塁のピンチを招くと、「落ち着いていけ。リズムで間を置こう」。声をかけると、右腕は次打者を左飛に仕留めた。「晋太郎の野球人生にとって最高の第一歩だったと思うし、本当に心からおめでとうと言いたい」。そう言うと、満員の甲子園のファンの視線を藤浪に預け、先にお立ち台を降りる粋な演出もみせた。「(前カードの巨人戦は)ピッチャーが頑張って0に抑えましたが、ジャイアンツの力はそんなもんじゃない。なんとかしがみついていきたい」。後輩の活躍を刺激に、背番号「7」が16日からの巨人3連戦(東京D)で再び大暴れする。おぉ!虎・藤浪、スクイズ決めて初打点や!
マウンドだけの主役ではなかった。「打者・藤浪」にも、今季最多観衆は酔った。大きな体を「く」の字に折ってバットに当てた白球は、絶妙な軌道で転がった。スクイズを成功させ、プロ4打席目にして初打点を記録。自らを援護した。「たまたまいいところにいってくれたんで、よかった」ヒーローは謙遜したが、誇ってヨシの完ぺきなバントだった。1点リードで迎えた五回一死一、三塁。三浦の2球目の真っすぐを、プッシュ気味に一塁へ転がした。三走の新井も好スタート。捕球したDeNA・ブランコは、本塁へ送球すらできない。貴重な追加点となった。サインについて首脳陣は「作戦上のこと」と口を閉ざしたが、結果的には藤浪の打球を見て、三走が本塁へ発進するセーフティースクイズの形となった。つまり、打球の状態によっては、新井はスタートさえ切れていない。和田監督は「バントもうまい。いろんな作戦にも対応できる力を持っている。しっかりとバントしてくれた」と6回無失点の投球内容とともに絶賛した。「あまり期待されていないと思う」。打撃に関しては消極的な背番号19だが、甲子園連覇の春夏両大会で本塁打を放った打撃センスは、やはり光るものがあるということ。加えて山脇光治外野、久慈照嘉内野の両守備走塁コーチの指導で、コツンコツンと地道なバント練習も反復してきた。久慈コーチは「投手の正面に転がすな。ストライクを決めろ。この2点だけは言っている」。注意点をたたき込まれてきた。英検準2級のクレバーな右腕は、本番までにしっかりと“もの”にしていたのだ。初勝利に初打点。やはり、聖地はこの青年に力を与える。まぶしく照らす。1メートル97の長身を、さらに大きくさせたお立ち台で藤浪は「任せてもらった試合をチームの勝ちに貢献できるように、頑張っていきたい」と締めた。白い歯とともに、虎の未来が輝いた。藤井彰、勝負所で猛ゲキ!藤浪初星演出
「とにかく、勝ってよかったです」3度目の正直だった。神宮で藤浪は打線の援護に泣き、マツダでは天を恨んだ。実力は当然だが、そこに勝ち運という目に見えぬものがついてくるのがプロ野球の世界。だから女房役は「勝ってなかったし、本人も僕もプレッシャーがあった」と素直な気持ちを吐露した。ゲキを飛ばしたのは五回だった。勝利投手の権利を得るイニング。1点リードに成功した直後というだけあって、緊張の糸が緩むのを恐れた。「油断せずにスキをみせんと向かって来い」。先頭・中村を中飛に仕留めた後、荒波に左前打を許したが、続く高城の打席で二盗阻止。試合前まで阻止率・100(10企図中1刺)と低調だったが、黄金右腕に向けた闘魂が自分の右肩にも乗り移ったかのようだ。36歳と19歳。ちなみに身長差は27センチ(1メートル70と1メートル97)。藤井は藤浪に対し、あれやこれやと注文することだけは避けている。「難しいことをいってマウンドに送ってもね」。まだまだ改善の余地がある藤浪のクイックスピードも「僕の方からいうと、ね」と意に介さない。「困ったときは腕を振れ!」。2人の合言葉はこれだけだ。「だんだんマウンドで覚えてくる。1勝して技術的にも、レベルアップしてくれるんじゃないかな」五回一死一塁での第2打席は遊撃内野安打を渋く奪い、追加点を演出した。近鉄時代に岩隈(現マリナーズ)らを育てた藤井が、今度は藤浪にうまい飯を食わせる。【藤浪&西岡トーク】お立ち台でも盛り上げたァ
―― 甲子園でプロ初勝利。今の気持ちは?藤浪「素直にうれしい。本拠地の甲子園で初勝利を挙げられて、すごく、うれしいです」―― スクイズ成功の後、先輩(西岡)がタイムリーを打ってくれて藤浪「頼もしい先輩です。自分を助けてくださって。すごくありがたいです」―― (西岡へ)きょうも活躍でした西岡「昨日(13日)ね、大阪桐蔭(OBの岩田と)で試合つぶしてしまったんで、きょう大阪桐蔭コンビで頑張ってよかったと思います」―― 藤浪投手はどんな後輩ですか西岡「クソ真面目ですね。大阪桐蔭というと、ちょっと、やんちゃなんですが、非常に頭のいい、僕より大人ですね」―― 俺のこんなところを見習えというのはありますか?西岡「見習わない方がいいですね。ただ、きょう晋太郎の野球人生にとって最高の第一歩だったと思うし、本当に心からおめでとうと言いたいと思います」―― (藤浪へ)ファンの声援は?藤浪「すごく声援をいただいてましたし、これからも“必死のパッチ”で頑張るんで、よろしくお願いします」―― (西岡へ藤浪の)ピッチングは何点?西岡「点数つけられないでしょ。100点なんてね。勝ってるし。その前に、その言葉(必死のパッチ)をパクるのか、というところですね。打ち合わせもしていないですから。はい」―― (西岡へ藤浪の)インタビューの受け答え何点ですか?西岡「20点くらいじゃないですか。でも、きょうは本当にね、晋太郎にとって最高の日なので、僕だけちょっと、先に失礼します。晋太郎だけ、注目を集めたいと思いますので。失礼します。ありがとうございました(お立ち台から降りて去る)」―― ではチームを代表して、あさって(16日)から巨人戦ですが藤浪「強いチームなので、チーム全員でしっかり頑張って、優勝目指せるように頑張りたいです」
あの虎キラーの三浦に投げ勝った。
新たな時代の到来をあらためて感じた。
7回からの早目の継投ができるのは中継ぎ陣が充実してるから。
だが、デーゲームに弱い久保の登板時には冷や冷やして見てた。
この試合は4点差だったから良かったが、
僅差での登板は、いまだ怖い…(笑)。
まあ、信頼は培っていくもんなんだが。