朝日と読売が憲法96条改正について激しく議論し始めた。いいじゃないの!!産経も、毎日も加わってよ。僕のこれまでの教育改革や公務員労働組合に対する対処法などについて、ほとんどの有識者は反対の大合唱。そんな中で慶応大の小林節教授(憲法)だけが、論理的にエールを送って下さっていた。小林節教授とは面識はないが、様々な媒体を通じて、学者からは批判の嵐だった、教育改革や公務員労働組合に対する対処法について賛意を示して下さった。その小林教授が憲法96条改正には反対だと言う。小林教授は改憲派なのに96条改正は邪道だと。俄然憲法論が盛り上がってきた。ちょうど憲法記念日も近い。憲法なんかこれまで国民的議論の対象にはならなかった。新聞社の皆さん、激しくお願いしますよ!さて、朝日の憲法改正観の矛盾。細かな技術的な論ではなく、朝日は哲学そのものが矛盾している。朝日は市民運動を最重要視しているはずだ。政治よりも市民運動。原発政策もデモの声で決めろ。議員による間接民主制よりも、住民投票の直接民主制を信じろ。世の中は小さなコミュニティーが絶対的価値。全て対話で決めろ。これはこれで一つの哲学だろう。そうであれば憲法改正についても、国民投票を信じるべきだ。これだけ市民運動や住民投票を信じる朝日が、こと憲法改正になると国民投票を信じない。これは朝日は自分の価値観を絶対的に正しいものとして、手段を都合よく選んでいるからだ。原発政策については市民運動を利用する。憲法は変えられないように国民投票を封印する。究極のご都合主義だ。普通の政策は議員による代議制民主主義、間接民主制を尊重する。しかし憲法改正という国民主権の発現そのものに関しては国民投票を尊重する。これが僕の政治哲学だ。朝日には哲学のかけらもない。このような朝日の間違いはどこから来ているか。1つは自分たちの価値観が絶対的に正しいと信じていること。2つは社会制度は不変のものと信じていること。僕は価値観には様々なものがあるというのが前提。だから選挙や国民投票で最後は決めざるを得ないと考える。朝日は自分が絶対的な正義。朝日は今の日本国憲法の価値を絶対と考え、とにかく憲法改正の余地を1ミリでも認めたくない。ところが、現行憲法は価値相対主義。国民の間にはあらゆる価値観があることを前提としている。何が正しいかは国民が決めるというのが現行憲法の建前だ。朝日は現行憲法をもっと勉強しないと。2つめだが、4月14日の朝日社説。「最高裁長官は何をした」を読んで、なるほどな~と思った。朝日の体質って、純粋な学生集団なんだなって。確かに現行憲法は司法権の独立を定めている。ゆえに砂川事件判決に関して、最高裁長官がアメリカ側に配慮したのであればそれは問題だ。しかし、当時の時代背景をしっかりと考えれば、こんな学生論調にはならないだろう。現行憲法が施行されたのが1947年。司法権の完全な独立が規定された。それまでは大日本帝国憲法下の司法権だ。これは革命に近い。砂川事件が起きたのがそれからわずか10年。わずか10年で、完璧に国家体制が変わるなんてあり得ないだろう。裁判官の価値観だって、徐々に現行憲法に合わせたものになってきたはずだ。司法も、僕らが憲法を勉強したときには、消極司法だった。しかし、今や、一票の格差是正訴訟にしても水俣病訴訟にしても司法が積極的になった。僕は積極司法を歓迎するが、しかし、それは時間がかかってのこと。今の時代、最高裁長官がアメリカ側に配慮したと言うのであれば大問題だが、現行憲法施行から10年、敗戦から12年くらいの状況で、そりゃ最高裁の長官もアメリカ側に配慮することもあるでしょ。裁判官だって人間だ。今の時代においては、司法権の独立は徹底して守らなければならない。朝日の社説にあるようなことがあれば、これは大問題だ。しかし1957年当時はどうだったのか。そのときの憲法価値観の実現度をもっと冷静に分析しないと。ほんと朝日って、学生の青臭い議論と同じなんだよね。人間なんて神様じゃないんだから間違いも犯すでしょう。憲法だってしょせん人間が作ったものだ。価値観だって様々なものがある。何が正しいのか分からない。だから最後は選挙で決めざるを得ないし、最後は国民投票だ。偉そうな有識者はそれを衆愚だと言うが、お前は何様なんだって!選挙が全てでないと選挙を軽視し、国民投票を重視しない人たちは、自分が絶対的に正しいと言う自信家ばかり。インテリに多いね。国民の判断に委ねるのは危険だ!衆愚政治だ!と言っている奴の面構えこそよっぽど衆愚ね。朝日よ、もっと国民を信じなさい。心配しなくてもダメな改正案は否決されるよ。ただ自民党や読売新聞もいただけない。改正の実行プロセスを全く想像していない。一気に全面改正なんて絶対無理だ。全面改正で国民投票は成立しない。改正は、一部改正でやっていくしかない。全面改正私案を披露するのは良いが、それは自己満足。もっと現実的な改正プロセスを考えないと。
読売に対して言ってることは、維新内にいる「太陽系」にも言いたいことだろう。