●放送日時:2013年4月26日(金)
●テーマ:激論!ネット世代が日本を変える?!
気鋭の“ネット世代”が集結! いま何をし、何を目指すのか?!
この国をド~するのか?!
●司会:
田原 総一朗さん
●パネリスト:
慎 泰俊(NPO法人Living in Peace代表理事、31)
飯田 泰之さん(明治大学政治経済学部准教授、37)
荻上 チキさん(評論家、「シノドスジャーナル」編集長、31)
乙武 洋匡さん(作家、東京都教育委員、37)
駒崎 弘樹さん(NPO法人フローレンス代表理事、33)
津田 大介さん (ジャーナリスト、メディア・アクティビスト、39)
経沢 香保子さん (トレンダーズ(株)代表取締役、39)
古市 憲寿さん (社会学者、東京大学大学院博士課程、28)
堀江 貴文さん (SNS(株)ファウンダー、40)
堀 潤さん (市民ニュースサイト「8bit News」主宰、元NHKアナ、35)
TOKYO PANDAさん (カリスマファッションブロガー、上海在住、29)田原:かつて、全共闘というのがあって、何考えてるかわからないけども、とにかく権力に対して、火炎瓶投げたり、デモしたりしてたと。だけど今の時代、そういうことをする敵…相手がいないと。駒崎:あの時代の人たちは、悪いことをする政府に対して、敵対するのが正義を主張することだと思ってた。だけど我々の世代には、そういうのはない。たとえば、総理大臣を変えたところで、世の中良くなるのか?良くならないですよね。たとえば、すごく悪い人が官邸にいて、政治を牛耳ってるから世の中悪いのか、といえばそういうわけでもない。つまり、批判したってもうしょうがないから、自分たちで何かつくっていこうよ、というのが我々の世代に課せられてるんじゃないかなと。田原:DISって言葉があるんだよね。「悪口を言う」っていうことかな。それはもう終わったんだと。堀:メディアのいまの状況っていうのは、これまでまさに「DIS(ディス)り」の中にあったと思うんですね。それは例えば、マスメディア、対ネットメディア…あるいは市民メディア、この二項対立でいわれていた。とくにマスメディア側からしてみたら、ネット上のやり取りなんかまだ玉石混合で、それを放送で扱うなんかとんでもないと。取材の参考程度のとどめとくべきだと。一方でネットメディアからしてみたら、マスコミはいつも情報を隠すし、コントロールする、だから許せん、という対立がずっと続いてきた。飯田:ネットの世界で1万人が見てるっていうとすごいんだけど、テレビだとそんな数では成り立たないわけですよ。ネットが可能にしたのは、テレビに比べてすごく小さい範囲の中で、ビジネスが成立するってこと。堀江:要はこれ、すごくパラダイムチェンジが起きてて、これまでだったらテレビ局やテレビの制作会社に入らないとクリエーターになれなかったんだけど、実は才能のある人っていうのは世の中の何パーセントかに、いるんですよ。これがネットが普及して、技術が安くなったことによって、今まで地方の、テレビ局に入らなかったような人たちが、普通のユーチュブとかニコ動に動画をアップできるようになった、ブログを書けるようになった、メルマガを出せるようになったということでデビューできるようになったんですよ。荻上:メディアで報じられないこととか、メディアで取り上げられてないけども、テレビに出てる専門家よりも、もっとわかってるし、もっとしっかり論文書いてる若手の書き手とか専門家って、沢山いるんですね。あるいはNPOの当事者とかも。メディアはそれ気づいてなくて、古臭い人を使ってるんですよ。ちょっとタイムラグがあるんですよ。田原:テレビにはロクなの出てないってこと?堀江:そういうこと(笑)。飯田:さらに言うと、テレビに出る人はテレビ的にまとめれる人とか、テレビ的なコメントできる人しか難しい、って話になっちゃうんですよ。堀江:変な発言する人は出ないの田原:ちょっと待ってよ、僕には、そのテレビ的まとめ方とか、テレビ的コメントっていうのが全然理解できないんだけど…堀江:田原さんは全然理解してない、それは(笑)。でも他の人は理解してる。空気読めなきゃダメとか。飯田:役所とか、〝公〟という字がつくと、急に全員が平等にっていう原則を使わざるを得ない。ところがネットとかの小規模な活動っていうのは、全然、偏向してていい、歪んでていい。なんでマスコミがつまんないかというと、やはり原則としての平等主義。たとえば、討論番組なんか、全部の党首呼ばなきゃならない。荻上:ここいらないだろ、っていうのもね(笑)。飯田:たとえば僕も復興の番組してるんですけど、「これを取り上げて、なんでこれを取りあげないんだ」っていうクレーム来ても、僕は知りません、って言うんです。言えるんですよ。どんどん歪んだ報道していっていい(笑)。田原:おもしろいね。荻上:マスメディア対ネットで、ネットは打率は低いけどいろいろ情報はある。マスコミは動けないから…っていう話にしちゃうと、つまらない議論になる。日本のメディアでも朝日とか毎日とか、ウェブにしかない専門知識のポータブルって持ってたりするんですよ。朝日だったら、「アピタル」っていう、医療情報に特化したものをやってたりとか、マスメディアもやってる。マスメディア企業がネットに進出してないかというとそうじゃなくて、マスメディアは新聞だったら字数制限があるし、テレビだったら時間の尺の都合があるから、どうしても深堀りができない。ですから、深堀りが出来ない人は、テレビとかで済ませて、深堀りしたい人は、別の論壇をつくって深い議論をしていこうと。原発でもいいし、医療でもいい。そういう集まり場所がようやく出来てきて、「成熟した議論を報じてくれ」ってマスメディアに向けて言ったり、政治に導入してくれっていう舞台がこの10年でそろってきた。だから、マスメディア批判とかはもういいんです。役割分担の話をした方がいい。田原:つまり、DISの時代はもう終わったということだよね。堀江:僕らがメルマガとかで発信してきたものが、だんだんメディアとかにフィードバック…還元されてきたっていうか、いい感じになってきたと思いますよ。僕はアンタッチャブルで、出たら苦情の電話があったりするけど、荻上さんとか津田さんとか、メディアに出るようになってきてるもんね。渡辺宜嗣:新聞とかテレビしかない時代は、速報性に関しては完全にテレビが勝ってた。起こったことをリアルタイムで伝えれる。でも、ネットが出てきてからは、テレビも速報性でいうとネットには勝てない。荻上:でも、アーカイブス性って結構重要で、ニュースって過去のものになったら意味がない…単にフローだから意味がないって思われがちなんですが、そんなことはないわけですよ。たとえば、震災とか原発事故があったときに、各局が放送したものをネットとかに遺してくれれば、僕らいろんな検証が出来るわけです。フローばっかり重視して、アーカイブス性…まあ、ストックですね、これを重視しないということが、いかに国民の知る権利を重視してないかっていうことの表れだと思うんですよね。たとえば、すべての記者会見を全部、データベース化して、のちに検証できるようにするとかね。津田:視聴者の意見で、ネットって井の中の蛙じゃないか、っていうのがあったんだけど、実は今日の出演者もそうなんだけど、ネットだけで活動してる人なんていないんですよ。高齢者の人たちのイメージっていうのは、ネットっていうのは、なんかバーチャルで、匿名の人がゲームみたいにやってるんだ、っていうすごいステレオタイプなイメージがあるんだけど、ネットも新しい世代というのが出てきて、ネットっていうのを使って、テレビにも出るし活動もする…ネットだけじゃないんですよね。ネットっていうのは、現実の社会で活動する効率を3倍とか5倍とか良くするためのものなんでね。堀:ソーシャルネットワークっていうのは、社会のセーフティネットになったんだなっていう気がしました。堀江:ああ、いいこと言いますね。堀:インターネット前の社会だったら、会社辞めたら落ちろとこまで落ちて行って、職安通って、どうしようかな、って思ってた。孤立してね。でも、やめた瞬間からツイッターで、ガンバレ、とか…まずコミュニケーションがある。こういう仕事どうだ?っていう話も出てくる。それで収入の欠片みたいなのが集まり始めて、これってセーフティネットじゃん、って…荻上:カルト化だけは気をつけないといけないけどね。
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「ネット世代」感覚
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