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黒のTPP/こんなクニとホントにルール共有できるのか

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転載元: 
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座 
http://blog.jog-net.jp/  

 

間違えて訪問した青年を射殺しても無罪

転載元 「伊勢雅臣」のブログ(00/5/21)より

93年5月にルイジアナで、日本人留学生・服部剛丈君が、家を間違えてノックし、出てきたロドニー・ピアーズにマグナム銃で射殺された。
審議は4日間で終わり、陪審員団による審理はわずか3時間半で「正当防衛」により無罪と決定。
審理は通常は、短くても2、3日はかかる。
昼食に出ていた服部君の父親が法廷に戻った時は、評決は終わり、玄関には笑顔と談笑に包まれた市民であふれていた。
ルイジアナは人種差別の根強い所で、被告の父親はクー・クラックス・クラン(黒人・ユダヤ人排斥の秘密結社)に所属していた。
またピアーズは、銃いじりが好きで、庭に入った犬を撃ち殺して喜んでいた。
陪審員団は白人の同胞をこんな事件で有罪にはできない、と「ご当地評決」を下したのだ。

刑事訴訟をあきらめた服部君の両親は、94年9月にロドニー・ピアーズに対し、損害賠償請求訴訟を起こした。
今回は被告側のミスもあって、珍しく判事裁判となった。
判事は、44口径マグナムという、撃てばかならず相手を射殺する凶器の「引き金を引くなんら正当な理由は見つからない。
また被害者、服部君側に何の落ち度もない」として、ピアーズに65万3千ドルの賠償を命じた。
文明国の裁判ならこれが妥当な判断である。

■酔っ払い運転の事故で24億円賠償

逆に罪もないのに、法外な罰を与えられるケースもある。
ペンシルバニア州在住のローレンス・アイマーズは、泥酔状態でホンダのCB550にまたがった。
時速約90キロで左折しようとした所、引っ込めるのを忘れていたスタンドが接地し、転倒。
脊椎を損傷して手足の機能がマヒする重傷を負った。
ホンダは運転者が泥酔状態で、無謀なスピードで運転していたこと、事故現場の検証から、タイヤがすり減って丸坊主状態のまま、急ブレーキをかけてロックされた事が転倒の直接原因だと主張した。

しかし弁護士は、オートバイのスタンドは、接地した際、自動的に引っ込むべき機能をもっていなければならず、そうなっていなかったことは、製造物責任者(PL)法にもとづく重大欠陥であると主張。
評決では、ホンダの一方的な敗訴となり、1970万ドル、93年当時の為替レートで24億円もの賠償を命ぜられた。

酔っ払いが暴走して事故を起こしても、オートバイメーカーが24億円もの賠償を命ぜられ、罪もない青年を射殺しても無罪となる。
アメリカは正義と人権を重んずる文明国なのだろうか?

■弁護士は爬虫類?

ホンダから24億円を奪い取った剛腕弁護士は、おそらく成功報酬の相場として4割、すなわち、8億円程度を受け取ったであろう。
無罪で喜んだピアーズも後で、弁護士から数百万円もの請求書を渡された時には真っ青になっていたかもしれない。
なにしろベテラン弁護士なら1時間400ドル以上のタイムチャージはざらである。

「弁護士とその他の爬虫類」というジョーク集がベストセラーになった。
弁護士には冷血残虐な肉食動物というイメージがあるようだ。

映画「ジュラシック・パーク」の最初の方で、トイレに逃げ込んだ弁護士を、ティラノサウルスがパクリと食べてしまうシーンがあった。
アメリカの映画館では、ここで大爆笑が起きる。
弁護士という爬虫類を、もっと大きな恐竜が食べてしまう、という痛快なジョークなのである。

米国の訴訟に要する費用は、国防費総額の3倍以上の年間8千億ドル。
弁護士人口も急増中で、93年には司法試験合格者3万8800人と、日本の弁護士、裁判官を含めた法曹界人口の2倍がわずか一年で生み出されている。
98年には90万人を突破し、単一の職業としては、軍人170万人に次ぐ規模となった。
いまやアメリカは、弁護士という「肉食恐竜」が90万匹も跋扈して、獲物を探し回っている無法ジャングル「ジュラシック・パーク」そのものである。
法と裁判は、弱者を守るものではなく、恐竜の牙と爪なのだ。
恐竜たちがどんなふうに弱者を食い物にしているのか、観察してみよう。

■太った獲物を狙え

90年4月にオレゴン州の高校生マット・ゾイヤー君は、マクドナルドの深夜アルバイトをした翌朝、疲れがひどいので早退したいと店長に言った。
許可を得て、愛用のニッサンの中古車で帰宅する途中、居眠り運転により、センターラインを超えて、対向車フレッド・ファバティの小型トラックと正面衝突した。
少年は即死し、ファバティも脚を骨折して、治療費5万ドルもの大怪我をした。
ファバティ氏は被害者と認定されたが、母子家庭だった少年の母親を訴えても、賠償金は払えない。
弁護士は関係者の中で一番金の払えそうなマクドナルドを訴えることを勧めた。その根拠として引っ張り出したのが、オレゴン州法「バー経営者の酔っ払い事故共同責任」法である。
ドライバーが酔っ払い運転で事故を起こしたら、酒を飲ませた店にも責任がある、というものだ。
弁護士はこれを援用して、店長は、少年が店を出るとき、疲労でそのまま運転すれば危険であることを「十分予知できたはずだ」というのである。
マクドナルドの店長は、何がなにやら分からないまま法廷に引きずり出され、陪審員団は9対3で、原告の訴えを支持して40万ドル(5千2百万円)の支払いを命じた。
今度は、少年の母親から同じ責任理論で、店長に対して1千万ドル(13億円)の賠償訴訟を起こされている。
こうした事故の場合、他にも、少年の車のメーカー(この場合はニッサン)、対向車のメーカー、道路の補修を担当する市か州の道路局など、いろいろな獲物が考えられる。
これらの中で、もっともディープ・ポケット(懐が豊か)な「太った獲物」を狙うのが、賢い恐竜の戦略である。

■5.骨までしゃぶり尽くせ

85年、オレゴン州のカール・オバーグは、ホンダの3輪バギー車に乗っていて、勾配のきつい坂道を登ろうとした。
こういう時はハンドルにのしかかるように体重を前にかけなければならない。
それをしなかったオバーグは、車ごと後ろにひっくり返り、下敷きとなって脳挫傷、顔面骨折の大怪我をした。
日本なら自己転倒で、自分の技能未熟のせいにする所だが、オバーグと弁護士は、「安定性がいいはずのバギー車が後ろに転覆したのは、メーカーの設計に欠陥があったためだ」とオレゴン州裁判所にホンダを訴えた。
州裁判所の陪審員団は原告の主張を全面的に認めて、ホンダに治療費1万9390ドル、慰謝料90万ドルの支払いを命じた。
約1億2千万円である。

恐ろしいのは、これからだ。
こうした”欠陥商品”を売った企業の社会的責任を金銭で贖わせるアメリカ独特の制度「懲罰のための賠償」を陪審員団が決める。
これには上限がなく、企業の年収や資産をもとに陪審員が勝手に決めてしまう。
ホンダのような大企業は大変だ。
なんと500万ドル、約6億5千万円を払えとなった。
こうして原告と弁護士の手元には、治療費約2万ドルの300倍近い金額が転がりこむことになる。
「太った獲物を捕まえたら、骨までしゃぶり尽くせ」、
これが第二の戦略である。

■陪審員制度による「ご当地評決」

誰でもいいから太った獲物を捕まえ、骨までしゃぶり尽くす。
こうして90万匹もの恐竜が生きている訳だが、それだけのたくさんの獲物を捕まえるための二つの罠がある。

第一の罠は陪審員制度である。
陪審員は普通の市民が任命されるが、日当5ドルと交通費程度の支給しかなく、仕事を2ヶ月も休まなければならないので、失業者や、パートタイマー、公務員など比較的ひまな人間がほとんどである。
教養のある高収入階層は公務や国際会議を理由に免除を求める場合が多い。

服部君射殺犯の裁判でも、人種差別意識の根強い地域で、白人ばかりの、それもあまり教養がない陪審員が揃ったら「ご当地評決」も当然だ。
マクドナルドの例でも、とんでもない理屈をこねた当の弁護士自身が「とても勝てるとは思わなかった」と述べている。

陪審員制度のもとでこんな可能性がある限り、ディープ・ポケットを狙った「駄目でもともと」式の訴えが無数に発生してしまう。

また被告の方も、よほど自信があっても、万一負けたら天文学的賠償金、勝っても高額の弁護料となれば、ほどほどの金額を払って、法定外和解に持ち込むのが得策である。
原告側弁護士は、相手の弁護料のやや低い額を狙って、和解を持ちかける。
獲物が罠にはまったら最後、逃げ場はないのである。

■立法による罠

獲物を増やす第二の仕掛けは立法である。
新しい法律を作れば、新しい獲物を大量に引っ掛けられる。
そのためにワシンンDCでは数万人がロビー活動に従事している。
たとえば、製造物責任(PL)法。
欠陥商品を売った企業責任を問うという建前は立派だが、その運用状況は、冒頭での酔っ払いが起こした事故でホンダが24億円とられた、という事例からよく窺える。

米国の小型飛行機業界は、製造から二、三十年たった中古飛行機で、顧客の方がどんな改造をしていても、事故が起こったら製造者を訴えられるというので、訴訟の集中攻撃を受けた。

85年の訴訟ピーク時には、年間販売額14億ドルに対して、2億1千万ドルを訴訟費用に費やした。
売上高の15%も訴訟費用に消えたら、生き残れる会社は少ない。
アメリカの主要29社のうち、20社が倒産してしまった。
PL法の罠で、ほとんどが恐竜に食い尽くされてしまったと言える。

■恐竜たちの海外進出

90万匹の弁護士という肉食恐竜が、最近はいよいよジュラシック・パークの外にも獲物を求めだした。
最初の餌食はドイツ企業だった。
フォルクスワーゲンや、ジーメンスなど対して、第二次大戦中に強制労働に従事させられたユダヤ人や戦時捕虜約200万人に替わって、賠償請求訴訟を起こした。

その手口は従来と同様、まず餌食となるドイツ企業を引っかける法律の制定。
99年7月に成立したカリフォルニア州法の修正で、第二次大戦中の強制労働に関する補償では、時効を撤廃し、2010年までに訴訟を起こすことを可能とした。
たまりかねたドイツ企業に替わってドイツ政府が乗り出し、米政府との間で総額50億ドルで合意する見通しとなった。和解の場合の弁護士料の相場3割が適用されると、1500億円相当が弁護士の懐に入ることになる。

■狙われた日本企業

これに味をしめて、恐竜たちの次に標的とされたのが日本企業である。
戦時中の元米兵捕虜や、中国系、韓国系米人が日本企業に強制労働させられていたとして、補償を求める訴えが相次いでいる。
上記のカリフォルニア州法が「ナチ・ドイツとその同盟国」を対象としているので、日本にも適用されたのである。
(したがって連合国側の強制労働は訴えられない。)

もう一つの罠は、米連邦法「1897年対外補償請求法」が97年に修正され、米国籍、米在住者に限らず、世界中誰でもがアメリカで訴訟を起こせるようになったこと。
今回の訴訟でも、韓国やフィリピンの国民が、カリフォルニアで訴訟を起こしている。
これらをあわせると、これまでの提訴は合計28件、数百億円から、数千億円規模に膨れあがってきた。

サンフランシスコ講和条約では、次のように定めている。

[連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国、及びその国民の他の請求権・・・を放棄する。]

「連合国およびその国民」とあるので、民間の賠償請求もできないはずで、講和条約を結んでいないドイツとは事情が異なる。
この点はトーマス・S・フォーリー駐日米国大使も、このような日本への主張は禁止され、平和協定によって対日賠償請求は全て片付けられていると発表した。

しかし、どんな道理も論理のトリックで言い負かす手口は、いままで見てきた通りである。
まして金の伴わない「誠意ある謝罪」などには、見向きもしない。

 
 
まさにアメリカは、弁護士という「肉食恐竜」が90万匹も跋扈する無法ジャングル「ジュラシック・パーク」そのもの。
正義を振りかざす、その仮面の下の本性がこれだ。
独善的なルールを勝手にこしらえ、
それに従えと強請る。

抗う術はない、
それが実情だ。
 
こんな国とTPP組んで、ホントに大丈夫か?

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