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大阪都抗争(市闘編)/革命家・橋下(前編)

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“革命家”橋下徹市長の真実

転載元: 『SPA !』 “革命家”橋下徹市長の真実
 
ダブル選挙で圧勝した「大阪維新の会」の橋下徹市長が本格的に動き始めた。「大阪都構想」ばかりが注目されているようだが、革新的な政策はそれだけではない。
1月4日の年頭会見では野田首相の消費税増税案を「面白さも何もない」と酷評、若者優遇政策や脱原発&再生可能エネルギー促進など、国がなかなか行うことができない改革案を次々と発表している。
そこで、橋下氏をよく知るキーマンを直撃、その「革命」の実態をリポートする。
「既得権益の破壊」を貫く橋下氏の周りには、元経産官僚・原英史氏、慶応大学の上山信一教授ら、各分野の改革派のエキスパートが集結。
なかでも重要な役割を担うのが、大阪府市統合本部特別顧問として、脱原発や公務員制度改革を担当する元経産官僚の古賀茂明氏だ。
官僚時代に公務員制度改革や発送電分離(電力自由化)に取り組んだ経験を買われての抜擢だった。
その古賀氏に、橋下改革のポイントについて語ってもらった。
 
琵琶湖を守れ!関電に“脱原発”を提案
 
橋下市長は関西電力の株主総会で「脱原発(原発依存度の引き下げ)」と「発送電分離に向けた体制整備」を提案し、再生可能エネルギーへの転換を進めようとしています。
イデオロギーとしてではなく、大阪市民や企業の実利を守るためです。
福井県には関電の「美浜原発」「大飯原発」「高浜原発」などの原発が集中していますが、もし事故が起きれば、莫大な被害を地域社会に与え、琵琶湖が放射能で汚染される恐れもあります。
関西圏の住民の命と安全に直結する問題なのです。
また関電にとっても脱原発で、事故による企業破綻のリスクを減らしたほうがプラスです。
関電をはじめ電力会社は「脱原発はできません」と言っていますが、地域独占体制のもとで甘やかされた人たちの発言には、全く説得力がない。そこで9%の関電株を持つ、筆頭株主の大阪市が6月の株主総会で脱原発の提案をしようということになったのです。

電力会社の“既得権益”をブチ壊せ!
ただし、堂々巡りになる可能性も高い。
そこで、基礎的情報をまず公開してもらい、それをもとに脱原発の施策を3月頃までにまとめようと考えています。
提案を実現させるためには、大阪市以外の株主の賛同も欠かせません。
そこで、関電の大株主である神戸市や京都市をはじめ、個人株主や機関投資家にも呼びかけたいと思っています。
 
また、世界的に進行している「第四の革命」(再生可能エネルギーへの転換)のうねりを関西圏に取り込みたいと考えています。
滋賀県知事も脱原発に熱心で、関西広域連合として取り組んでいく。
この地域には、パナソニックなど再生可能エネルギーに強い企業があります。
今は関西圏から工場が出ていっていますが、脱原発依存が進んで再生可能エネルギーが拡大していけば、関連企業が育っていき、若者世代を含めた雇用も増えます。
電力会社の地域独占という既得権を打破したところに、新たな成長分野が生まれてくるということです。
 
すでに「有識者チーム」が結成されていますが、さらに内外から公募して、電力改革を進める人材を集めたい。
「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長ら、エネルギー問題に強い人に特別顧問就任をお願いしています。
 
昨年9月、「大阪維新の会」が府議会に「職員基本条例」案を出しましたが、同じようなものを大阪市でも出します。
公務員にはリストラがないわけですから、人事は年功序列ではなく、民間以上に厳しくすることが重要。
現在は大して働かなくてもそこそこの地位で高給をもらっている人もいますが、これを厳しくしていく。
「頑張った人が評価される」という信賞必罰にするのです。
若い人にもこれまで以上にチャンスを与えることになります。
特に幹部職員は任期制にして、市役所内外から有能な人材を公募します。
私と一緒に公務員制度改革に取り組んだオリックスの機谷俊夫氏が、市総務局人事部参与に起用されました。
4月の市の組織改正後、市長のもとで人事を担う中心メンバーとなります。
外部から来た人がいきなり人事のトップになるというのは、画期的なことです。
 
大阪都構想を実現する実行部隊となる24区長も公募します。
区長も若い人たちを抜擢する場としたいと考えています。
また1月4日、大阪市役所に目安箱をつくったところ、若い職員から提案や告発などがどんどん集まってきています。
マスコミは「大阪市役所対橋下市長」というような構図で報道しますが、橋下市長を支持している若い職員も多い。
対立しているのは、いい地位を維持したいと思っている課長以上の一部の幹部クラスが中心です。
これは、霞が関の官僚とも共通することで、若い世代は改革に前向きな人のほうが多いのです。

 
出世は組合次第?大阪市の悪しき土壌   .
また、大阪市役所で特徴的なのは、組合が非常に強い(組織率は90%)ことなのですが、組合に関する告発もあります。
これまで組合は、通常の団体交渉以外に、選挙運動などの政治活動をやってきました。
橋下市長と実態調査を進めていますが、勤務時間中に選挙活動をやっていたことも明らかになりました。
こうしたことを改めていかなければならない。
 
「組合」というと、「弱い労働者の権利を守る組織」という印象を受けますが、実際は違う。
彼らは市職員としての権限も持ちながら、選挙となれば関連団体に対して働きかける。
そして、市長と手を結んで一つの政治勢力となる。
これが今回の大阪市長選でした。
市役所全体が選挙マシンとなった。
現職市長の対立候補は、市役所全体を相手に闘わないといけないというのは公正・公平ではありません。
また「組合が人事に関係している」という告発もありました。
「昇進試験を受ける際には上長が推薦するが、そこに組合が口を挟んでくる」というのです。
その結果、「組合に睨まれたら昇進できない」という恐れが広がり、組合が嫌う改革案を提案しにくい雰囲気がある。
こうしたことは根絶しないといけない。
国ができない改革を、まず大阪がやる。
「大阪から日本を変える」というキャッチフレーズのもと、橋下改革を手助けしていきたいと思っています。
 
大阪市幹部6人をバッサリ交代!橋下流“役人操縦術
ダム問題でも、橋下市長と民主党政権の違いは決定的です。
橋下市長は大阪府知事時代、府営の「槇尾川ダム」(和泉市)を推進していましたが、私をはじめ脱ダム派の主張にも耳を傾けて、見直しに転じました。
そして、本体工事に入ったにもかかわらず、槇尾川ダムの建設中止を決めたのです。
これに比べて民主党政権は、政権交代の時のマニフェストに掲げた目玉政策「八ッ場ダムの建設中止」を撤回してしまった。
なぜ橋下知事(当時)はダム中止に踏み切れたのに、民主党は逆に中止撤回に追い込まれたのか。
その差は、役人をコントロールできるのか否かにあると見ています。
政権交代直後、私は脱ダム政策について前原氏と大臣室で会い、「八ッ場ダムを検証する『有識者会議』をつくるのはいいが、委員の人選だけは国交省に任せるな」と助言していましたが、前原氏は河川官僚に人選を任せてしまったのです。
これに対し、大阪市はトップの方針がすばやく浸透しています。
橋下市政がスタートした途端、市長は局長級・部長級幹部6人の交代を断行しました。
そして、あれだけ抵抗をしていた大阪市役所が、新市長の指示に従うようになった。
幹部を変えれば、その部下は言うことを聞くのです。
 
橋下市長の評価が上がっているのは、大胆な改革策の実現をしてくれる指導力があると見られているためでしょうし、一方、民主党政権の支持率が低下しているのは、官僚主導に陥っていることを見抜かれているためだと思います。

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