横田は掛布&バース級! 補強壊滅の中村GM 「育てられなきゃ全員クビ」
サンスポ 2015.2.1
【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】
この選手を育てられないなら二軍の首脳陣は全員クビを覚悟せよ!
激しい檄が飛んだそうです。
発言の主は阪神・中村勝広GM(65)でした。
「この選手」とはドラフト2位で入団して2年目、横田慎太郎外野手(19)ですね。
きょう2月1日からプロ野球は一斉にキャンプイン。
阪神も一軍は沖縄・宜野座、二軍は高知・安芸で春季キャンプをスタートさせましたが、期待の若虎は横田なのです。
抜群の身体能力が開花すれば、今季中の一軍デビューもあるでしょう!
いよいよ春季キャンプがスタートしましたね。
プロ野球のお正月ですよ。
阪神も一軍は沖縄・宜野座、二軍は高知・安芸でそれぞれキャンプを始めました。
「今年はキャンプ地の呼称を一軍、二軍と呼ぶ。
昨年は宜野座組、安芸組と呼んでいたが、そういう配慮はいらない。
キャンプ中にも一軍と二軍の入れ替えをどんどん行い、競争意識を高めたい」。
1年契約で勝負のシーズンを迎える和田監督もチーム内競争の激化による、戦力アップを目指しています。
オフの戦力補強は壊滅状態で、なんら収穫のないままキャンプインを迎えました。
ドラフト2位の石崎剛投手と3位の江越大賀外野手だけが一軍キャンプの新戦力という、目新しさに欠ける状況だけに、現有戦力のスキルアップを目指すしかありませんよね。
そんな虎のキャンプのなかで、私が大注目しているのが一軍ではなく、二軍の大物野手です。
昨年のドラフト2位で入団した、鹿児島実業出身のプロ2年目、横田慎太郎外野手です。
父はかつてロッテで活躍した横田真之氏で、親子二代のプロ野球選手として騒がれましたね。
それを裏付ける情報が飛び込んできました。
なんと、中村勝広GMが二軍の首脳陣を前に訓示したのです。
「この選手を育てられないようならクビを覚悟するぐらいの気持ちでやってくれ!」。
生え抜きの若手選手が育たない、と批判される状況ですからね。
有望な若手選手を絶対に育てよ! というGMとしての気迫が漂っていたそうです。
そういう気迫をコーチ陣にぶつける前に、戦力補強策で見せてほしかったのですが、まあ今更、皮肉を言ったところで時計の針は戻せません。
ただ、GMがそこまで言及するほど、横田の将来性は抜きん出ているということでしょう。
横田の1年目はファームの成績だけです。
79試合に出場して、打率・225、本塁打6本、打点23、盗塁6でした。
その中身で特筆すべきは昨年の8月31日、市立姫路球場で行われた中日戦で、すべて左翼に3本塁打を放ったことです。
阪神の選手のウエスタンリーグ1試合3発は、1997年8月15日のダイエー戦(雁の巣)で外国人選手のハイアットが打って以来、17年ぶりでした。
二軍の関係者に聞くとこれが絶賛、また絶賛。
「横田は引っ張って打たなくても、逆方向に打って、柵越えができる。
身体能力も高いし、このまま成長してくれれば、オリックスの糸井ぐらいの選手になってくれるのではないかと思っている。
センターやレフトにあれだけ大きい当たりが打てる選手はそうはいないね」。
思えば、横田をドラフト2位で指名したのは、坂井信也オーナーのツルの一声でした。
「ドラフト1位はチーム事情とかも勘案しないといけない。
しかし、2位指名はチーム事情に左右されず、本当に将来性のある選手を指名すべきだ。
たとえ即戦力ではなくても、長期的な視野で指名すべき。
言ってみれば育成枠」。
坂井オーナーの意向で2010年のドラフトから、阪神の2位は一二三(東海大付相模)、歳内(聖光学院)、北條(光星学院)、横田(鹿児島実業)と将来を見据えたドラフト戦略を続けていました。
今年の一軍キャンプには一二三、横田を除く2選手が入っていますね。
徐々に「育成枠」の芽が開花してきたといえるでしょう。
そこに新たな1ページを開くのが横田なのです。
横田を指導している八木二軍打撃コーチは熱心に指導しています。
「彼は無理やり、引っ張らなくてもセンター中心に打っていって、大きい当たりを打てる。
今のままの打撃スタイルを継続していけばいい。
大いに期待しています」。
性格的にも明るくて、大物感が漂っているそうです。
今シーズンはウエスタンリーグの開幕から、常時スタメンで起用されるでしょう。
もちろん、春季キャンプを無事に過ごし、さらに鍛え上げた上での話ですが、二軍で結果さえ残せば、今シーズン中の一軍昇格の可能性もありますね。
打撃の特長として、センターから左方向に打球を飛ばせる、というのは甲子園球場の申し子ともいえるでしょうね。
本拠地・甲子園球場は右翼からホーム方向に強烈な浜風が吹きます。
阪神の左打者は甲子園の浜風に泣かされてきたのです。
しかし、2人の左打者だけは甲子園球場で本塁打を量産しましたね。
それは掛布とバースですね。
「共通点は左方向に流し打って、レフトにホームランを打ったことだ。
浜風に逆らわず、センターから左方向に打てたから、掛布もバースも甲子園球場を本拠地としながら本塁打王を獲得できたんだ」。
阪神のチーム関係者の話ですが、横田の打撃は掛布やバース級の長所があるわけです。
「指導者によっては、もっと引っ張れという人がいるかもしれない。
でも、今の打撃スタイルの方が甲子園球場にマッチしている。
そのまま伸びてほしい」
とは阪神関係者の声ですね。
横田の打撃の悪癖は右脇が開く、というものでした。
しかし、OBの藤田平氏の指導もあって右ひじの使い方も矯正されました。
2年目のキャンプでさらにスケールアップしてほしいものです。
いや、ちゃんと育てなければ、中村GMの言う通り、二軍の指導者は「クビ」を覚悟しなければならないでしょう?
ホント、アンタがそれを言うか? という世界ではありますが、横田は絶対に育ててもらいたいものです。
(植村徹也)
補強なしのシーズン。
むしろ、楽しみ。
相対的に見て、老体・巨人より、広島が怖いが、
補強なしでも、広島には勝てる。
悲しいかな広島は、1シーズン戦うに、あまりにロード・スケジュールが厳しすぎる。