Quantcast
Channel: SALUMERA
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2520

石原慎太郎/橋下君がやってることは地方の反乱ですよ

$
0
0
 
転載元: [経済の死角]2012.09.18 週刊現代
「週刊現代」2012年9月22・29日号より
 
石原慎太郎(東京都知事):
橋下(徹・大阪市長)君がやっていることは、地方の反乱ですよ。
いま私がやっている、尖閣(諸島買収)の問題も同じこと。
官僚の悪しき前例墨守主義を打ち破っていく地方の反乱が、今後続々と起こっていくと思う。
 
橋下君が言っている衆院議員半減とか、参議院の廃止は、当然のことでしょう。どう考えても、国会議員の数は多すぎる。参議院もいらない。
 
だいたい、最近では各委員会まで国会審議をテレビ中継しているんだから、参議院で再度審議する必要があるとは思えない。
だから、参議院が不要という橋下君の主張はその通りでしょう。
 
私は参議院にいたことがあるから、あんなカーボンコピーみたいな院に時間や金をかけることはないとかねがね思っていました。
 
彼とは、先日も電話で長時間話して、やりたいようにやれと激励したんだが、とても利口な、頭のいい人だと思いますよ。私は非常に信頼しています。
 
横並びの類型人間の多い日本社会で、異端に近い強い存在感を持った人間が、結局歴史を変えていく。橋下君という人は、そういう存在なんだろうと思います。
 
彼は県と市の二重行政の問題点についても言っているが、私はもともと政令指定都市には反対だった。
たとえば神奈川県には横浜や川崎といった政令指定都市があるが、そこに県知事の権限がまったく及ばないからおかしなことになる。
第三京浜沿いに大きなゴミの処理場があって、その周辺で年中作っては壊し、ゴロゴロやっている。
何の利権か知らないけど、都市の美観から言ってもあんなものはさっさと整理したほうがいい。
 
ところが横浜市と県の調整がつかないのか、うまく動かない。
あれ一つとっても、政令指定都市というのはやっかいですな。
 
ただし、「大阪都」というのは止めてほしい。
都というのは英語で言うとキャピタルで、元首がおり、国の議会がある場所のことだ。
日本には、東京都、大阪都の二つがあるなんて馬鹿な話はない。
東京にとって迷惑千万だし、世界中が迷惑するでしょう。
誤解を招く表現だからね。
 
橋下君は憲法改正発議には国会議員の2分の1以上の賛成があればいいようにしようと言っている。
 
私に言わせれば現行憲法は占領軍が統治のためにつくった暫定法で、こんなものが50年も60年も通用しているなんていう国は世界に他に例がない。
憲法を破棄することを拘束する根拠は何もないんだから、さっさと破棄すればいいだけの話です。
 
私はね、いま国会に戻ってもすぐ総理大臣になれるわけでもないし、だいぶ年もとったから、今後国政のなかでどう動くかは分からないけれども、ただ憲法だけはしっかりした総理大臣にやってもらいたいと思っているんです。
 
憲法の改正じゃない、破棄して新しい自前の憲法をつくるのです。
 
 
 
 
いま日本の政治が足踏みして、政治家は皆自分の立っているところを失いたくないという保身ばかりで、見たとおりのひどいもんだ。モノを決められない。
民主党も野田総理もどうしようもない。
自民党も強いことを言えなくなった。だから息子(石原伸晃・自民党幹事長)に、「幹事長なんか辞めちまえ」と言ったんだよ。
 
「選挙が近いんだから、そういうわけにいかない。幹事長というのは、そんな簡単なもんじゃない。あなた幹事長やったことないでしょう」
 
なんて言われちゃってさ(笑)。
確かに私は自民党のなかであなたみたいに出世したことはございませんけども、と言ってやったんだが。
 
谷垣(禎一・自民党総裁)なんて、中国にビクビクすることないんだよ。
彼は昔、ハニートラップにひっかかったらしいが、そんなことは、「据え膳食わぬは男の恥、だから、いただきました」と言ったらいい。
 
ひょっとしたら臨時国会もやらずに、年末総選挙なんてこともあるかもわからんね。
民主党の本音は、できたらこのまま任期満了までいきたいということでしょう。
しかしそうなったら、まともな予算を組めるのかね。
特例公債法案、復興予算の執行も全部山積みになる。
今現在、地方交付税も止まったきりで、地方は困りきっている。
 
本来は佐々淳行さんが言っているように、海上保安庁法や、外国船舶航行法のような関連法制を国会でどんどん改正・整備して、不審船を取り締まれるようにしたらいいんですよ。
あんなのは明確な公務執行妨害、刑事犯なんだから。
 
とにかく尖閣の問題は、下手すると一点突破全面展開になって、日本がチベットみたいに崩されかねない。その一つの引き金になりうるんですよ。
今後も政府がまるで動かないのであれば、地方でどんどんやります。
沖縄県の仲井眞(弘多知事)さんは非常にしっかりした人だけれども、彼も尖閣に関心があるようだし、石垣市とも連携してやります。
 
橋下君のやっていることもそうだけど、国が動かないから地方が反乱するんです。
一人の人間が二つのことはできないから、私はまずは尖閣の問題をやる。
これが片付けば電光石火、その後は分からない。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2520