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ハシズム・スプラッシュ/桜宮高入試中止、是か非か

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反響続々「入試中止」は是か非か

産経新聞
この問題に関し、市教委には18日現在で約500件の意見が寄せられ、うち約7割は橋下市長への反対意見だという。
これに対し、本紙に寄せられた意見は、賛否がほぼ拮抗している。
 
入試中止賛成派の声は、「改善されるまで学校運営の一部を停止するのは当然」(福岡市の31歳会社員)、「私が市長なら学校を解体したいぐらい。徹底的に改革してもらいたい」(大阪府の31歳男性会社役員)といった内容が多い。
 
一方、反対派からは「在校生、受験生は何ら問題ない」(兵庫県西宮市の男性)とし、「橋下市長の考えはポイントのずれた極論だ」(さいたま市の68歳男性)という指摘が目立つ。
罪のない受験生が不利益を被るような方策はおかしい―― という意見だ。
 
 

「根絶の機会」「教育放棄だ」橋下手法に賛否二分

橋下市長案への賛成意見。
京都市在住の男性(64)は「試験の中止は、彼の死を無駄にしたくないという橋下市長の決意。穏便に収拾を図りたいという中途半端な対応では、何も変わらず元のもくあみになってしまう」と記していた。
奈良市在住の男性(80)は「受験生には関係ないかもしれないが、命の重みを考え直す機会」と中止を支持した。
「もし顧問や関係者の処分だけで終わらせてしまえば、体罰は根絶できずに終わるのではないか」と危惧する。
 
また、例え話を持ち出して「(問題を改善せずに学校運営を続けるのは)食中毒を起こした飲食店がそのまま営業しているのと同じ」と指摘する声も。
「『料理を楽しみにしているから営業停止はおかしい』ということにはならない」と記していた。
東京在住の男性(44)も「受験生がかわいそうだというが、高速道路で大事故を起こしたバス会社で旅行に行くことをお客さまにすすめられないのは当然だ」とし、深刻な問題を起こした高校をそのままにはできないという考えだった。
 
一方、入試中止に反対する意見には、受験生らを心配する声が目立つ。
宮城県の男性(30)からのメールには、橋下市長の入試中止案などについて「教育改革ではなくて教育放棄。これが市長の言うグレート・リセットだというのなら恐ろしい。改革しているという選挙用のパフォーマンスのために子供を犠牲にしたと思った」とつづられていた。
新潟市の男性は、橋下市長の対応について「感情論が先に立ち、現実に携わっている人が無視されている」と指摘。
「問題をがんの患部のように切り捨てようとしている」と批判していた。
 

市教委決定は「看板の付け替え」?

意見総数は18日以降の累計で千件を突破した。
 
当初は入試中止への賛否はほぼ拮抗していたが、市教委の決定後に寄せられた意見だけをみると「中止支持」の意見が多数だ。
「新入生を間違った教育から守ることができる」。
広島市南区の男性(52)は「勇気をもって目に見える変化を起こさなければ、何も変わらないことに気づく」と、決定を高く評価した。
山口県下関市の歯科医師(60)も「入試中止になって本当に良かった。やっと正義が実行された」と記し「誰も考えないことを橋下市長はやってのけた」と手腕をたたえた。
 
読者の意見の中には、「入試中止は当然」としながらも、橋下市長の「素晴らしい決定」という言葉に違和感を覚えたという反応もあった。
大阪府泉南市の男性(45)は「素晴らしい決定とは何ですか。苦渋の決断でしょ。大人が引き起こした問題なのに、子供たちに配慮がなく、申し訳ない」と記していた。
 
他方、今回の決定に対し「玉虫色で、あまりにも不本意」といった入試中止決定に否定的な声も当然ある。
 

「選挙で落とせ」と言われても「子供たちは投票権ない」

反対意見でまず目につくのは、子供たちへの影響を心配する声だ。
中学3年の受験生を持つ母親のメールには「桜宮高体育科を目指して頑張ってきた今年の受験生がかわいそう。橋下徹市長の子供が受験生でも、同じことを言ったのだろうか。問題は体罰。何かずれている」。
受験生を間近で見る教育関係者や保護者らからは「もっと子供たちの気持ちを大事にすべきだ」という声が寄せられた。
神戸市の女性医師(48)は「若い人たちの将来がかかっている。大人の都合での入試廃止には反対」。
これまで橋下市長の改革を支持してきたという松江市の元大学教授の男性(69)も、市長の入試中止要請を「暴挙」とし、試験が迫るこの時期に募集取りやめを決めた市教委の判断を強く非難していた。
この男性のように、橋下市長や日本維新の会を支持してきたものの「入試中止は納得できない」という声も少なくなかった。
 
神奈川県海老名市の男性(44)は「権限を利用しての恫喝。いらないものをすぐ捨ててしまう子供っぽさがある」と批判。
兵庫県尼崎市の男性(36)は、今回の対応を「臭い物に、ふたをするもの」と評し、「(入試の中止は)問題を表向きだけ整えようとしているように感じる。市長は『間違えているなら選挙で落とせ』と言うが、(入試継続を願う)子供たちは投票権がない。あまりにアンフェアで、高圧的だ」。
 
市長の要求を受け入れつつ、受験生の混乱を避けようと、市教委は体育系2科の定員をそのまま普通科の一部として振り替えて入試を実施し、実質的に存続させる方針。
こうしたやり方に対しても、東京都豊島区の自営業の男性は「安っぽいとんち。一休さんごっこの悪ふざけをしている」と批判している。
埼玉県越谷市の男性(48)は「体罰問題と入試中止がセットになってしまったが、体罰があるのは桜宮高校だけではない」と指摘。
「(入試を)見直すのであれば、市内の学校全体の実態を確認した上で、効果的な方策を示す必要があるのではないか」と提言している。
 

橋下市長と体罰教諭に共通点
「劇薬に頼って結果を出そうとしている」

 
新潟市西区の男性(57)は「なぜ、あの学校だけが中止なのか。ほかの(体罰がある)学校は中止しないのか」という意見。
桜宮高校が「見せしめ」になっているというのだ。
愛知の女性から寄せられたメールには「(体育系2科の入試中止は)トカゲのしっぽ切り」と書かれていた。
東京都練馬区の男性会社員(52)は「スケープゴートによる波及効果を狙っているという点で、橋下市長がしていることは、体罰した顧問教諭と共通点がある」と非難し、(亡くなった)主将に集中して体罰をすることや、桜宮高校だけの入試中止は「一罰百戒」の同じ手法だと分析。
「全体を統制するため、一部をたたくやり方。劇薬に頼って結果を出そうとしている」と指摘していた。
 
もちろん、賛成派からの反論も寄せられている。
京都市左京区の女子大学院生(28)は「体罰が桜宮高校に限らず行われているからこそ、初めに発覚したこの学校で厳しく対処しなくてはならない。今回の策が最善とは思えないが、体罰を問題視する姿勢は示せたのではないか」としていた。
 

受験生の父「そっと見守って」

「入試中止は当然。何かがおかしいからこんなことが起きた。新たな事件が起きたら誰が責任をとるのか」。
大阪市平野区の会社経営の男性(36)はそうつづっていた。
 
大阪府貝塚市の男性(64)は「これまでと同じような対応にとどめると、今後も暴力行為が繰り返されることになる。橋下徹大阪市長の対応で、運動部の指導者が暴力をふるえば大変なことになると痛感したと思う。大阪市の対応は全国レベルで暴力の追放につながる」と評価していた。
 
自分の子供が新たに設けられる体育系カリキュラムを行う桜宮高校の普通科を受験する予定だという父親からのメールも届いた。
「いろいろ意見はありますが、市長も教育委員会もどうすれば桜宮高校が良くなるか真剣に考えてくださった末の対策だと息子と話しています」。
父親は冷静に受け止め、「今回のことで、進路変更した子も、桜宮高校を目指している子もいます。受験まで1カ月。今回、たくさんの子供たちが動揺し、悩んだことは事実です。そっと受験生を見守ってほしい」と記されていた。
 

「体罰」ではなく「暴力」

京都市西京区の男性(64)は「『罰』というからには、悪い行いに対する懲らしめ、戒めであるはずだ」とし、顧問の行為について「『(生徒の)発奮のため』という理由では、体罰というより暴力と呼ぶべきだ」と指摘。
新潟県十日町市の医師(50)も「暴力と体罰を区別する必要がある」としている。
「スポーツ指導において、言われたことをできなかったとか、能力がついていかなかったとか、何か悪いことをやったわけじゃないのに手をあげるのは、体罰じゃなくて暴力だ」。
 
読者のお便りでは、顧問の行為を「いじめ」と表現した人も多かった。
 

容認論「愛があれば問題ない」 理不尽さが社会で役に

「全国大会常連校では体罰、シゴキ、イビリは日常茶飯事」。
大阪府の会社経営の男性(47)は「感情的なものでなく、叱咤激励の意味を込めた愛の体罰であれば問題ないように思う」とし、「次々と体罰問題がクローズアップされれば、熱意ある体育系指導者がいなくなり、日本のスポーツが衰退する」と危惧していた。
男性自身、学生時代に体罰を受けた経験があり、「体育系特有の理不尽な負荷が社会に出てから役に立った。折れない気持ちを得ることができた」。
高校時代にアメリカンフットボール部で日本一を経験した男性は、監督に50発以上連続してたたかれた経験があると告白。
それでも「全て納得し、今でも感謝している。愛情のこもった厳しい指導のおかげで、今の基礎ができ、社会に対応できる精神が身についた」としている。
“体罰容認派”のスポーツ経験者には「今振り返れば、自分にとって体罰は必要だった」という意見が目立つ。
 
小中学生時代の部活動で殴られるのが当たり前だったという北海道の男性(38)は「当時はチキショーと思ったが、今となれば社会の厳しさに打ち勝つような忍耐力が培われた」。
小学校から大学まで、強豪のバスケ部に所属していた東京都目黒区の男性(29)は「しんどいなと思ったことは何回もあったが、それ以上に負けたくないという気持ちが強く、スキル(技術)が上がった」と記していた。
 
ただ“容認派”の間でも、今回の顧問教諭の行為を擁護する意見はほとんどなく、「指導者と生徒との信頼関係が成立していなかった」との指摘が多かった。
 

「学校では教師が親」 
選手と指導者の信頼関係とは

バスケットボール部に所属する男子高校生は、中学時代、顧問に何度もたたかれたが、「自分がやった失敗からなので体罰とは思わなかった。体罰が悪いとも言い切れない。親だってビンタくらいします。学校では教師が親なのです」。
野球部所属の高校3年の男子生徒(18)も「中学時代に毎日のように怒られ、悔しさや恥ずかしい思いをしたが、今の厳しい環境に耐えられるのも顧問や厳しい部活動のおかげ」と感じている。
ソフトテニス部に所属する中学生2人の娘を持つ母親は「(娘が)試合中にひっぱたかれることもあるが、親として指導方法に納得している」とし、顧問の手法に理解を示していた。
 
山梨県富士吉田市の主婦(42)は「体罰を一律的に愛情に裏打ちされたものと決めつけるのは危険。主観的要素でなく、2者の関係性や立場、現場の密室性など客観的要素で判断すべきだ」と提起。
56歳の男性は「愛情かいじめかを判断するのは、体罰を受ける側。
分岐点を超えれば苦痛に変わり、信頼関係は崩れる」と指摘している。
 
「(スポーツ指導者と生徒・保護者の)信頼関係が強いからこそ、指導者は細心の注意を払わなければならない。生徒・保護者は指導を全て受け入れてしまうのだから。桜宮高校のクラブ活動での指導方法は完全に間違っている。しかし、多くの生徒や保護者は愛情だと感じている」。
橋下徹大阪市長は、自身のツイッターにこう記した。
 
「子供は絶対服従だと思っているから体罰をする。一番ひきょうなやり方だ」。
元巨人軍投手、桑田真澄氏の言葉だ。
「道具も戦術も進化した。それなのに指導者だけは進歩せず、昔の指導方法のままだ」と指摘した。

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