大阪市による職員調査、不当労働行為と認定
読売新聞3月25日大阪府労働委員会(府労委)は25日、大阪市の第三者調査チームが職員3万人余りを対象に実施した労働組合・政治活動の実態を調べるアンケートについて、「市による組合に対する支配介入に当たる」として市の不当労働行為と認定した。橋下市長の全面敗北となった。市労働組合連合会(市労連)など市職員の労働組合が昨年2月に府労委に救済を申し立てていた。府労委は、こうした調査を繰り返さないことを誓約する文書を労組側に手渡すよう市に命令した。労働組合法が禁じる不当労働行為のうち、自治体による組合運営への「支配介入」が認定されるのは異例。アンケートは、市特別顧問(当時)の野村修也弁護士を中心とした市の第三者調査チームが2012年2月9~16日に実施。組合活動への参加の有無や、特定の政治家を応援する活動経験の有無など22項目を記名式で回答させた。併せて橋下市長の署名入り文書で、「任意の調査ではなく、市長の業務命令」「正確な回答がなされない場合には処分の対象となり得る」などと、職員に回答を求めた。
職員調査「全面敗北」、橋下市長「命令に従う」
「命令に従う。労働組合に対する不当介入ということであれば、大変申し訳なく思っています」。
大阪市の橋下市長は25日午前、市役所で記者団を前に、組合への謝罪を述べ、府労委の命令を受け入れる意向を明らかにした。アンケートは、府労委の命令書で、「就任以来、市長が組合との対決姿勢を明確にしている状況も考えると、組合員に動揺を与え、組合加入していない者にも加入をためらわせかねないもの」「組合の自治に対する介入であると言わざるを得ない」と厳しく批判された。橋下市長は、報道陣から命令書の内容について聞かれると、神妙な表情を浮かべ、「僕が市長に就任して、市役所の労組をただすべきところはたださないといけないとして行動したが、ルール違反のところがあったと認定されれば、受け止めないといけない。組合に謝罪しないといけない」と語った。不服申し立てについては「基本的にはしません」と述べた。橋下市長の話:キチンとした第三者機関で、判断されたわけですから。それに従います。労働組合に対する不当介入ということであれば、それは大変申し訳なく思います。異議はありません。勇み足と言われれば、そうです。権力を持ってる側としては、やはり、ルールにきちっと則っていかなければいけないですから。不服申し立ては、基本的にはしません。橋下市長は労組法わかっていない…組合側弁護士
大阪市職員の労働組合、市労働組合連合会(市労連)は25日午前、市内で記者会見した。上谷高正委員長は「我々の主張が1年あまりで全面的に認められて大変満足しており、高く評価している」と声を弾ませた。「組合活動に対する介入が明らかとなり、労使関係の健全化に向けて取り組んでいきたい」と語った。同席した市労連弁護団事務局長の北本修二弁護士は「橋下市長は労働組合法をわかっておらず、間違いだったことがはっきりした。根本的に態度を変えることを期待している」と述べる一方、「市が府労委の命令を履行しても、市を追及する手を緩めるつもりはない。今後の団体交渉の中で、なぜこのようなことが起きたのかや、再発防止に向けた具体的な措置を示すよう求めていく」と話した。
25日昼間の会見では、「不服申し立てはしない」と言ってた橋下。
それが一転、その日の10時の会見では…
(25日退庁時ぶら下がり)橋下:(やっぱり)不服申し立て、します。こういう問題のとき、僕がすぐに謝罪を述べてね、「行政が不服申し立てしない」というのはどういうことかというのをね、もう少し組合にわかってもらいたかったですね。これ、たしかに、今回のアンケート調査に関しては労働委員会で指摘を受けましたけども、「ちょっと、待ってよ」と、「これまでの組合の振る舞いや態度はどうだったの?」と。ビラ配りとかやって、選挙違反やってたワケでしょ。もっと言えば、これまでの厚遇問題、大阪市民が大阪市の労働組合にどれだけの怒りを持っていたのか、そういうことも全部棚に上げて、なんか今度、鬼の首取ったみたいにして、僕の組合介入の問題をどんどん、追求していく、っていうんですか。僕は今日朝の段階で、全部ひっくるめたメッセージを出したつもりだったんだけども、組合はそこの理解がないみたいでね。自分たちのやってきたこと、市民不在で選挙にかまけて、自分たちの意のままに沿う市長を誕生させて、自分たちの給料やら、処遇、待遇やらを、もう市民感覚からすればとんでもない厚遇を得てきた。そういう体質を全部棚に上げて、今回の一件のことだけで、なんか自分たちはすべて正しいんだと、「橋下市長はとことん謝れ」「とことん襟を正せ」と。それは違いますよ。―― 労働委員会の決定に不服がああるというよりは、労働組合に納得がいかないと…?橋下:そうですよ。僕は自分のやったことに過ちがあるということだから、それを正していきますと言ってるのに…そしたら組合の方だって、なんでこういうことをやられたのかということをね、もうちょっと、自分たちがやってきたことを冷静に振り返って、「自分たちにも非はあった」と、「だけど、市長もやり過ぎた」と、これからはお互いに襟を正していきましょう、と言うならわかりますけども。なんか自分たちが正義でね、市長は「お前だけ悪いんだから、お前だけ襟を正せ」っていうのは、これはね、大阪市民の感覚には沿わないと、僕は思ってますから。不服申し立てしないというのは、ほかの訴訟とか、いろんなところに影響がある。いろんなところに影響はあるけど、それも全部飲み込んでね、僕は組合にメッセージ出したつもりだったんだけども、非常に残念ですね。―― これはもう、駆け引きではなく、決定ですね?橋下:ええ、これはもう、人事室にも伝えてますから。通常の行政であれば、こんなの、まず不服申し立てをせず、謝罪するなんてことないんだけど、そういうこれまでの常識でなく、僕は素直に謝罪と不服申し立てはしないということでメッセージを出したつもりなんですが、なかなか大阪市の組合っていうのは、そういうところ受け止めてくれないんだってこと、あらためて思いました。まあ、自分たちがやってきたことをすべて棚に上げてね、自分たちだけ正義ズラするなと、いうことです。自分たちはここまで引くから、市長もこの部分に関しては引いてくれという話だったらわかるんだけど。だいたいね、権利ばっかり主張する弁護士なんかが付くからおかしくなってくるんですよ。そりゃ、権利は主張してもいいけども、大阪市民が大阪市職員、組合に対してどういう思いを抱いていたのかというのをね、もっと組合は感じないと。この一件に絡めて、「これまで市長のやってきたことはすべておかしい」というふうにくるワケでしょ。徹底追及すると言ってるんで。だったらこっちも、不服申し立てして、争わないと、これ、全部組合の主張が通ってしまうことにもなりかねないのでね…事務所をこんな一等地に居て陣取るとか、今まで組合が受けてきた厚遇…背広やらなんやら、ヤミ専従、ヤミ手当、やりたい放題やってきてですよ…―― あの組合の反応、私(朝日テレビ・木原記者)は予想通りだったんですが、市長は意外だったですか?橋下:意外でしたよ。だって、僕の対応自体、向こうは市長の対応として当たり前だと思ってるんですかね?僕は行政の世界ではあり得ない態度をとったと思ってますから。これまでの行政の態度としてこういう場合、素直に謝罪するなんてことまずないですから。それに対して、彼ら(労組側とその弁護士)は、「やれ、反省しろ」「徹底的にいくぞ」…もっと別の対応を期待してたんですが、幻想でしたね。組合側がこれまで通りの…あれが普通の態度なんでしょうが、そういう態度で来るなら、こっちもこれまで通りの態度でいきましょうと、いうことです。普通なら、こういう場合、「こちらの言い分が通らず残念だ」とか言って、不服申し立てするでしょ。それから、委員会は謝罪までしろとは書いてないんじゃないですか?人事室は「謝罪までしろとは書いてません」と言ってましたがね、僕は謝罪して夕刊にもそれがデカデカと載った。それ見て、その後のあの会見、あの態度はないと思いますけどもね。組合が自分たちが全部正義で、市長は全部間違い、と思ってるんだったらそれは正さないといけませんから。(26日登庁時ぶら下がり)橋下:組合もよくよく考えないとね、あれ弁護士がよくない。組合の委員長が自らの言葉で喋るべきでね、公務員の労働組合というのはあまりにも世間知らずというか、もうちょっと企業での労使関係というのを勉強しないと。公務員の労働組合というのはトップを意識したことないと思うんですね。とくに大阪市労組の場合、自分たちが市長を当選させたという驕り、高ぶりがある。これまでの歴代市長のことを見下してたんだと思いますよ。市長は当選したら、組合に挨拶行ったっていうんですから。そんな労使の関係なんて聞いたことない。何が言いたいかっていうと、ルールを守らないといけないのはそれはそうなんですけども、雇用をきちんと守るということに関して、この1年間、僕はトップとしてやらなきゃいけないことは沢山やってきた。もしこれ、原理原則を守って分限免職なんてやってたら、大阪市の公務員、何百人もクビですよ。破産したオスカーにいてた職員とか…地下鉄の会計からバスの会計にお金を出すのも、雇用の確保から仕方なく認めたとこもあって…そういう事情を大阪市の組合は何も知らないのか、学生時代のノリで、「権力相手にただ戦えばいい」というね、ちょっと子供じみてるというか、世間知らずというか。追求の手を緩めない?そんなこと言っといて、雇用の確保を僕にお願いしに来る気なのか、ってことですよ。原理原則で言うなら、組織がなくなれば、そこにいた職員は全部クビに出来るっていうのが分限免職の規定ですからね。あそこまで言って、このまま対立を煽る気なんだったら、僕のところにお願いしに来てもらっても困りますよ。人事室で、僕が「不服申し立てはしません」と言ったらね、職員はみんな「えーっ」って言ってビックリしてましたよ。それくらいインパクトのあるメッセージを出したのにね、僕が昨日朝(ぶら下がり)にああいう発言をした、それに対する組合執行部の発言ですべてが決まるんです。そういうことを察知してやるのが弁護士の仕事なのに、あの弁護士は全くダメですね。こっちがこういう言い方してきたんだったら、それに何をかぶせてきたらいいのか…あそこの発言一つで労使交渉がうまく進んでいったかもしれないのに、全部ぶち壊しにした。―― 市長は最近、市議会や会見でも「かなり労組は改善してきた」と仰ってましたが…橋下:そうですよ。そうです。それも昨日ので、全部フリダシです。僕のところに現業を抱えるいろんな局から話を聞いて、さすがにこれは原理原則でやるのは厳しいだろうと…そら、市職員は給料カットされて厳しいでしょうけど、府に比べたらだいぶ人事院からのカット率を緩和してる。執行部はそういうこと組合員にちゃんと言ってないんじゃないですか。ホント、金曜日(22日)に執行部には不服申し立てしないということは言ってるんですから、会見で何を言うか、そら僕にベンチャラ言えとは言いませんよ、批判もしてくれていいんです。だけど、あの場で何を言うかでこれから先が決まってくるっていうのに、ホント大阪市の労組っていうのは子供っていうか、戦略性がないっていうか。これで全部、水の泡。