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橋下慰安婦舌禍騒動/虐げられてきた者の、歪んだ心理がわかるか

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橋下徹氏は「朝鮮半島を植民地とした歴史」を認識しているか
田原総一朗の政財界「ここだけの話」

nikkei BPnet 2013年05月31日 
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が5月27日、日本外国特派員協会(東京・有楽町)で旧日本軍の従軍慰安婦問題や沖縄県の在日米軍司令官への風俗業利用の進言問題などをめぐり約2時間30分に及ぶ記者会見を行った。
 
「私の理念や価値観とは正反対」と述べる橋下氏
 
会見前に橋下氏は、「私の認識と見解」という5月27日付の文書を発表した。
それによると、「私の発言をめぐってなされた一連の報道において、発言の一部が文脈から切り離され、断片のみが伝えられることによって、本来の私の理念や価値観とは正反対の人物像・政治家像が流布してしまっている」と述べている。
つまり、マスメディアの誤報を正すために記者会見を開いたということなのだろう。
 
橋下氏が言う「文脈から切り離され、断片のみ」の発言とは、次の内容である。
「あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている猛者集団に休息を与えようとすると、慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる。とんでもない悪いことをやっていたと思うかもしれないが、日本だけでなく、いろんな軍で慰安婦制度を活用していた」(5月13日の発言)
 
橋下氏は「私の認識と見解」の中で、「女性の尊厳は、基本的人権において欠くべからざる要素であり、これについて私の本意とは正反対の受け止め方、すなわち女性蔑視である等の報道が続いたことは、痛恨の極みであります」と強調している。

 
彼が言いたいことはよくわかる。
「私の認識と見解」の中でも強調されているが、戦場の性の問題は旧日本軍だけが抱えた問題ではない。
「第二次世界大戦中のアメリカ軍、イギリス軍、フランス軍、ドイツ軍、旧ソ連軍その他の軍においても、そして朝鮮戦争やベトナム戦争における韓国軍においても、この問題は存在しました」と橋下氏は主張している。
もちろん、旧日本軍が朝鮮半島の若い女性を拉致したり、強制連行したりした事実はなく、彼女たちをいわば「買った」のは朝鮮半島の業者たちである。
これがビジネスとして成立することを業者たちは知っていて、旧日本軍も彼らがそれを求めていることを認識していたから、慰安婦問題が起きたのだ。
したがって、旧日本軍が慰安婦問題に関与していなかったとはとても言えないのである。
その意味では、「旧日本軍による慰安婦問題だけがなぜ非難されなければならないのか」という橋下発言には無理がある。
 
橋下氏としては、いわばタブーを打ち破り、あえて勇気を持って事実を示したいというつもりだったのだろう。

 
朝鮮半島を植民地として制圧した歴史
実は、戦争中に多くの国が慰安婦制度を持っていたことは、日本人の多くが知っている。
しかし、橋下氏のように堂々とは言わない。
なぜなら、慰安婦制度は女性の性を道具として扱うものだからだ。
女性にとっては絶対に認められないものであるということを、日本の男性のほとんどが知っている。
いや、世界の男性のほとんどが知っている。
だから、橋下氏のように「慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」とは言わない。
このことを、橋下氏はわかっているのだろうか。
 
橋下氏のような言い方をすると、まるで慰安婦制度を正当化するかのように聞こえてしまう。
誰もがそう感じているだろう。
もうひとつ、橋下氏もメディアも触れないが、なぜ韓国が旧日本軍の従軍慰安婦問題を厳しく非難するのか。
戦争中、フィリピンやインドネシアにも少なからず慰安婦がいた。
ところが、フィリピンやインドネシアは旧日本軍の慰安婦問題をほとんど非難していない。
こうした違いがあるのはなぜか。
その理由についても、誰も触れないが、実は誰もがわかっている。
それは、日本が明治時代末期から朝鮮半島を植民地として制圧した歴史があるということだ。
旧日本軍によって植民地として制圧され、慰安婦にされた。
これは韓国にとって、いつまでたっても解消されることのない激しい憤りなのである。
しかし、そのことを韓国の人々も言わない。
言葉にすると問題が矮小化されてしまうことを知っているからである。
 
橋下氏は、主張すべきことは堂々と主張すべきだ、主張しないのは間違いだ、と言うかもしれない。
しかし、こうした歴史を橋下氏は十分に認識しているのだろうか。
そのことを橋下氏に問いたいと思う。

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