沼田家はこれまで受け持った中で最低の家族だった。その印象は今でも変わらない。自分を悲劇の主人公だと勘違いしている登校拒否児の次男。優等生を演じながら、裏で他人を傷つけている 長男。家庭を顧みず、メンツが全ての父親。反抗期の息子を恐れて育児放棄した世間知らずの母親。この家にいるのは家族じゃない。ルームシェアしてるただの同居人だよ。「絆」って言葉が気軽に手軽に使われている世の中だ。家族の絆だって自然に存在するもんだと思ってたんだよなあ?そんなわけねえだろ!互いに膝を突き合わせて、自分の思いを口で、手で、目で、心で伝えてこそ、初めて存在するもんなんだよ。それを何度も繰り返して築き上げていかなきゃ強くならない、めんどくさいもんなんだよ!いじめられてることも、自分を偽ってることも、家に居場所がないことも、息子が何を考えているのか分からないことも、相手に伝える努力もしないで「家族だから言わなくても分かる」なんて、お前らエスパーかよ!ハハ!そんなもんは単なる幻想なんだよ。残念ながら沼田家は最後まで自分たちを超能力集団だと勘違いしていたらしい。お互いに責任を なすり付け合う姿は、怒りを通り越して、笑えたよ。家を壊すときでさえみんな背を向け合ってたもんな~。破壊の後に、再生があると信じてるなら教えてやるよ。絆のない家族に再生なんて あるわけがない。お前らは俺が仕掛けたゲームに負けたんだよ。こんな家族……消えてなくなればいい。
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家族ゲーム/政治家が口にして後、薄っぺらに感じるようになった言葉
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