■ピケティ氏語る「人口減の日本、富の集中進む」
読売新聞 2015年02月03日
格差問題を掘り下げた世界的なベストセラー「21世紀の資本」を書いた仏経済学者のトマ・ピケティ氏(43)。
日本に滞在した1日までの4日間、
「人口減の日本と欧州は世襲社会に戻りつつある」
「若者に有利な税制改革が必要」
などの指摘は大きな注目を集めた。
一方、
「累進課税強化は世界に逆行する」
「格差が拡大し続けるとの考えは無理がある」
などの批判もある。
◇来日中のピケティ氏の主な発言は次の通り。
(読売新聞とのインタビュー、日本記者クラブでの記者会見などから)
◆【格差の状況】
20世紀初頭まで、(各国の)貧富の差は大きかった。
2度の世界大戦で(インフラなどの)資本が破壊され、格差はいったん縮小した。
1970年代までは戦後復興の高度成長で格差はそれほど広がらなかったが、80年代以降、日米欧いずれも格差が拡大している。
特に米国でその傾向が顕著だ。
「資本の収益率(r)は経済成長率(g)を上回る」
という数式が歴史的に成り立つ。
富裕層の株や不動産などの財産が大きくなるスピードは、一般の人の所得が上がるスピードよりも速い。
適切な政策がとられなければ、富の集中はさらに進むだろう。
日本や欧州は、人口の減少によって、世襲社会に戻りつつある。
富を相続する人の数が減り、富裕層の子供は以前より多くの財産を引き継げるようになった。
一方、相続できる財産がなく、労働所得のみに頼る若い人が不動産を所有するのは難しくなっている。
◆【格差の是正策】
富裕層を対象に、不動産や株式などの資産に対する累進的な課税を世界的に強化すべきだ。
日本は国内総生産(GDP)の規模で見ても世界で重要な国なので、大事な役割を担うべきだ。
格差の縮小と経済成長は両立可能だ。
そのためには、国民の幅広い層が適切な教育と職業訓練を受けられるような環境づくりが必要だ。
◆【日本について】
安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、格差を拡大する一方で、経済は低成長になるという最悪の事態に陥るリスクがある。
金融緩和は資産のバブルを生むだけだ。
取り組むべきは賃上げの強化だ。
消費税率の引き上げは、幅広い層に影響するので、経済成長にとってはよくない。
財政再建には、高齢者を中心とした富裕層から税金を多く取るべきだ。
所得税の最高税率が高かったかつては格差が小さく、経済成長率も高かった。
固定資産税に累進制を導入することも考えられる。
人口減少社会となった日本では、相続財産が重要な役割を果たす。
その一方で、低所得者層への課税を引き下げるなど、若者に有利な税制改革が求められる。
■ピケティ論争 日本白熱
格差拡大に警鐘「21世紀の資本」
高所得層が強い関心
朝日新聞 2015年2月3日
世界的な格差拡大に警鐘を鳴らす「21世紀の資本」の著者、トマ・ピケティ氏が4日間の日本滞在を終えて帰国した。講演や記者会見、学生とのやりとりを通じて問題の深刻さと解決に向けた取り組みを訴えた。
その言葉は、日本の格差論議を揺さぶっている。
1月30日午後、ピケティ氏は動画配信サイト「ニコニコ生放送」に出演。
「成長のために格差は許容すべきか」などの質問に答えた。
15分ほどの放送時間に寄せられたコメントは、約6千件。
20~30代の若い世代を中心に、録画も含め約1万7千人が視聴した。
ブームについて、日本語版の訳者の一人、山形浩生氏は
「特に所得が上位の層が強い関心を持っているようだ」
と指摘する。
「これから転落するかも、と思っているのかもしれないし、自分たちだけが富むのはいけないと感じているのかもしれない」
とりわけ注目されたのが、資産の格差が世襲により固定化するとの主張だ。
朝日新聞などが主催したシンポジウムでも、ピケティ氏は「世襲社会が戻ってきている」と訴えた。
日本側の登壇者からは、高齢者の資産を若い世代に移すよう促す税制上の優遇措置に触れて
「金持ちの子どもと、そうでない子どもとの間に大きな格差が生まれる懸念がある」
(鬼頭宏・上智大教授)
との声が出た。
もっとも、ピケティ氏の議論がそのまま日本にあてはまるわけではないとの意見もある。
大田弘子・政策研究大学院大学教授は
「日本の場合、ピケティ氏の問題意識の中心の米国ほどひどい格差はない。
政府による所得再分配の必要性だけを教訓として引き出すのは間違いだ」
と指摘する。
ピケティ氏も、公正な競争の結果としての格差は否定していない。
経済成長も重視する立場だ。
朝日新聞の取材に対し、
「私的財産の保護は、個人の自由や経済効率性を高める上で欠かせない。
避けなければならないのは、財産が極端に特定の層に集中することだ」
と述べた。
ピケティ氏が、不平等への主な解決策として示したのは、資産が多ければ高率の税を課す「累進課税」だ。
この観点から、お金持ちにも貧しい人にも同じ率でかかる消費税の増税には反対姿勢を示した。
だが、森信茂樹・中央大大学院教授は
「膨れあがる社会保障費を考えれば消費税の引き上げは避けられない」
と話す。
日本の場合は格差拡大の背景として、資産の個人差が大きくなる高齢化や、正社員と非正規社員の処遇の差など労働市場の問題も大きいと指摘される。
人口減が急激に進み、年金の負担が世代間で大きく異なることも格差拡大につながりかねないが、ピケティ氏はこうした日本固有の論点には踏み込んでいない。
それでも、議論を活性化させたのは間違いない。
日本の格差に早くから取り組んできた橘木俊詔・京都女子大客員教授は
「格差問題への関心が薄れ、議論が沈静化してしまっていたところにピケティ氏の本が出て、論争を再燃させた」
と指摘する。
◆国会論戦にも波紋
首相 ピケティ人気に警戒感も
ピケティ人気は政治の世界にも波紋を広げている。
ピケティ氏にあやかろうとしているのは、アベノミクス批判を展開する民主党だ。
長妻昭代表代行が「お会いしたい」と手紙を送り、1月30日には、岡田克也代表ら党幹部とピケティ氏との面会が実現した。
岡田代表が「かつて1億総中流と言われたが、今はすっかり変わった」と話すと、ピケティ氏は
「日本でも富裕層が拡大している。
米国ほどではないが、欧州より深刻ではないか」
と応じた。
民主党は「格差」を国会論戦の最大のテーマに据える。
安倍晋三首相にはピケティ人気に警戒感もにじむ。
「ピケティ氏も経済成長を否定していない。
しっかり成長して果実がどのように分配されるかが大切だ。
成長せずに分配だけを考えればじり貧になる」。
1月29日の衆院予算委員会の質疑でピケティ理論を持ち出されると、そう答えた。
首相は最近、事務方からピケティ氏について解説を受けたという。
「反論よりも、国民の恩恵を強調するようにしている」
(首相周辺)。
2日の参院予算委では、自らの経済政策について、「全体を底上げする政策だ」と力を込めた。
◆キーワード <21世紀の資本>
世界で150万部のベストセラー。
3世紀にわたる歴史研究をもとに、
「資本の収益率(r)が経済成長率(g)を上回る」
という不等式を示した。
放置すれば、資産家がどんどん豊かになり、経済格差が広がるため、世界規模で資産への課税を強化すべきだと主張している。
■ピケティ氏、東大で熱弁
格差の世襲化に危機感
朝日新聞2015年2月1日
低成長下の社会で不平等が広がることに警鐘を鳴らし、世界的な論争を巻き起こしている「21世紀の資本」の著者、トマ・ピケティ・パリ経済学校教授(43)が31日、来日を機に東京都文京区の東京大学で講義した。学生や教員ら約500人が参加し、活発な議論になった。
ピケティ氏は、資産家が得る運用益は、経済成長に伴って一般の人にもたらされる所得より大きく伸びると主張。
低成長下の先進国では、放置すれば「持てる者」と「持たざる者」との格差が広がる、と訴えて注目された。
講義では、人口減少が進む日本や欧州では特に、相続する資産がものを言う「世襲社会」が復活していると指摘した。
学生から望ましい税制について問われると、資産家であればあるほど高率の税を課す「累進課税」によって
「若い人が資産を蓄えやすくなる一方、最上位の富裕層に富が集中しすぎないようにすることができる」
と主張。
比較的資産の少ない若い世代を優遇する税制にすべきだとの考えを示した。
ピケティ氏は教育格差の拡大にも懸念を示しており、「21世紀の資本」では、米名門ハーバード大の学生の親の平均収入が米国のトップ2%に属するとのデータに言及している。
「豊かな家庭に生まれ、将来も裕福になりやすいとされる名門大学の学生へのメッセージは」との質問が出ると、「親は選べないので(豊かでも)恥じることはない」と述べ、笑いを誘った。
「よりよい世界をつくるため最善を尽くしてほしい」
と語った。
ピケティ氏は講義に先立つ日本記者クラブでの会見でも、若者への優遇に言及。
「日本が財政再建をするための道筋は、若い人を利するような税制を考えなければいけない」とした。
そのうえで消費増税については
「あらゆる人にかかる消費税を引き上げることが、どうして日本の成長にとって良いことなのか。納得できない」
と述べ、反対姿勢を示した。
また、大企業やお金持ちが潤い、じわじわと中小企業や低所得者に及ぶとする「トリクルダウン」の主張に対し、ピケティ氏は
「過去を見回してもそうならなかったし、未来でもうまくいく保証はない」
と否定。
不平等が政治に与える影響については、
「米国の選挙を見ると分かるが、経済的な不平等は政治的な発言力の格差にもつながる。
民主主義が脅威にさらされる」
と語った。
■「不平等が拡大」と警鐘
トマ・ピケティ氏が来日講演
朝日新聞 2015年1月29日
これまで、資本主義国では経済成長とともに生まれた富を多くの人が分け合い、豊かになれると広く信じられてきた。
ピケティ氏は著書で、各国の数世紀にわたる租税資料を分析。
株式や債券などの資産を元手にして得られるもうけは、経済成長に伴って一般の人が得る所得より大きく伸びる傾向があると主張した。
ピケティ氏は講演で、
「戦後はお金持ちも貧しい人たちもバランスよく成長できた時代だった」
と指摘しつつ、長い目でみれば例外的なケースだったと説明。
戦争による破壊で資産が失われたうえ、高度経済成長のなかで、所得の多い人から多めに税金を取る累進課税も広がったからだ。
しかし、1980年代から先進各国で富裕層に資産が集中する傾向が強まっていると指摘。
日本についても
「人口が減り、低成長が続くため、相続で引き継がれる資産の価値がより高まりやすい」
と述べた。
そのうえで先進各国の特徴として「相続財産に依存する『世襲社会』が戻ってきている」と語った。
資産を「持てる者」がより有利になれば、「持たざる者」が多い若年層が貧困に陥り、さらに格差が広がる悪循環に陥りやすくなる。
これを防ぐには、政府が教育に力を入れるとともに、富の再分配をする必要性があると指摘。
そのためには「累進課税が最も透明性のあるやり方だ」と述べ、所得や資産への課税強化を訴えた。
ピケティ氏は、経済の専門家と一般の人との間に距離がありすぎることも問題視。
「経済問題は、少数の経済学者だけに任せるにはあまりにも重大だ。
普通の人たちが自分の意見を言えるようにしたい。
著書を通じて、経済的な知識の『民主化』に貢献したかった」
と述べた。
◆〈21世紀の資本〉
欧米を中心に、200年超にわたる税務記録を分析。
資本主義経済では、資産を運用して得られる利益率(資本収益率)が、働いて得られる所得の伸び(経済成長率)を上回ることを示した。
そのため放っておくと、不平等は拡大すると指摘。
各国が協調して、所得と資産に対する累進課税制を導入するよう提言する。
日本版はみすず書房から昨年12月に刊行。
■「格差があって何が悪い?」
“ピケティ人気”に焼きもち…米学者言いたい放題
フジサンケイビジネスアイ 2015.2.3
1月初め、米ボストンで米経済学会の年次総会が開かれた。
経済書としては空前の人気となった「21世紀の資本」の著者である仏経済学者、トマ・ピケティ氏も招かれ、格差問題に関するパネルが催された。
司会役は、ハーバード大教授で米国を代表する経済学者、グレッグ・マンキュー氏である。
◆攻撃的な姿勢
参加者の間で話題となったのが、マンキュー氏のピケティ氏に対する攻撃的な姿勢だ。
資本利益率「R」が、経済成長率「G」を上回っているがゆえに格差が生まれていることを説明するピケティ氏を揶揄(やゆ)して、「R>G だからどうした?」という小論文を発表した。
しかもだ。
「格差があって何が悪い?」
「彼(ピケティ氏)は金持ちが嫌いなのだ」
とまでマンキュー氏は言い放った。
「経済書がここまで人気になったのは珍しい」
とマンキュー氏はほめたものの、
「21世紀の資本」と比較した過去のベストセラーが「フリーコノミクス(ヤバい経済学)」だった。
学問書というより、人気はあったが亜流の経済書で、「ピケティ人気」を半ばひがんでいるのだろう。
マンキュー氏の立ち位置は「ニュー・ケインジアン」である。
「市場の失敗」や「不完全競争」といった市場機能の不備を指摘するが、家計や企業がもつ「合理的な期待」という要素を取り込んだ点で、リベラルといっても伝統的な「ケインジアン」よりも自由主義に近い。
マンキュー氏も「ある程度の自由な資本主義は人類が得た大きな成果の一つだ」としている。
◆米はジニ係数高水準
それでも、彼がむきになって反論するのはわけがある。
ノーベル経済学賞学者のジョセフ・スティグリッツ氏の言葉を借りるまでもなく、疑いもなく「米国は世界に冠たる格差社会」だからだ。
米国には、マンキュー氏をむきにさせる「不都合な真実」があるのだ。
米国は、格差度を示すジニ係数が先進国最高水準の0.47ある。
富裕層上位1%の所得は社会全体の20%を占める。
中間層は苦しい。
フルタイムで働く男性の保有資産は1990年代初めと同水準のままである。
底辺層は悲惨だ。
ニューヨークの場合、ホームレスの数は昨年11月末時点で6万人超と過去10年間で約6割増えた。
オバマ大統領が1月の一般教書演説で格差問題を取り上げるわけである。
あえてマンキュー氏を擁護すると、格差「絶対悪」論者や反資本主義者といった左派が「ピケティ人気」に便乗して、論陣を張り始めたのも事実である。
ピケティ氏は昨年に何回か訪米して講演したが、壇上で隣に座るのはマルクス経済学者だったケースがあった。
ピケティ氏は資本主義も市場原理も否定していない。
ある程度の格差が成長のための均衡状態である点は、多くの経済学者も認めている。
1月末に訪日したピケティ氏は日本でも大人気だったそうだが、訪米時と同じく、左派を元気付けたようだ。
仮にさらに累進課税を導入しても、それを再配分するのは政府であり、効率的な格差是正が約束されるわけではない。
しかも、日本の根源的な格差は政府による再配分後に際立つ世代間格差である。
米国の格差是正ブームを直接輸入するのは間違いなのだ。
■ピケティ氏、なぜ注目?
定説覆す「富は富裕層に集まる」
産経新聞 2015.1.31
2013年8月に出版された「21世紀の資本」は昨年、米国でベストセラーとなるなど、すでに世界で約150万部が発行された。
昨年12月には日本版も発行され、税込み5940円の高価な専門書としては異例の13万部を突破した。
著書の内容は国会でも議論され、格差解消の処方箋として富裕層に対する資産課税強化を訴えていることについて、安倍晋三首相が「執行面でなかなか難しい面もある」と発言している。
著書が注目を集めたのは、
「資本主義の発展とともに富が多くの人に行き渡って所得分配は平等化する」
という、従来の経済学の定説を覆したためだ。
ピケティ氏は新たに、株式、預金、不動産などの資本の収益率(r)は、所得や産出の年間増加率である経済成長率(g)を上回る「r>g」という不等式が成り立つと主張。
親からの相続などで得た資本を持つ人ほど収入が増え、そうでない人は不利になるとした。
解決には、世界規模で富裕層に対する資産課税を強化することを提案する。
その画期的な内容に加え、1870年代までさかのぼった古文書などを10年以上かけて集めデータ化したこともあり、反響を呼んだ。
ただ、統計の選択をめぐっては「恣意的」と疑問を投げかける声もある。
ピケティ氏は、パリ郊外生まれの43歳。
米マサチューセッツ工科大の助教授などを経てパリ経済学校教授。
2007年の大統領選では、社会党のロワイヤル氏の経済顧問を務めた。
過去記事↓
ティラミスに「リセット・ハンデ」を
2007/10/26(金)
心を水に喩えた哲学者の話に、
「心は高いところから低いところに流れる。
それと同じように、困った人を助けたいという感情は自然だ」と。
上から下へは自然の摂理で、それは経済にもあてはまるはず。
だが、ここ数年、持てる者がおこぼれを下々に落とさない。
労働分配率のいびつさは、年々ひどくなる一方だ。
「人間は本能としていたわりの感情を持たない。
それは元々、人間が他人と群れる習性を持たなかったからで、
だから人は努めていたわる気持ちを育まねばならない」
(司馬遼太郎)
だから、
誰かがそれを教えねばならないはずで・・・
安倍首相の辞任で中教審は「徳育」を見送った。
「道徳心を数値化する事は出来ない」からだそうだが・・・
厳罰化する新たなルールづくりだけでは、
昨今のモラルハザードには追いつけまいに・・・
道徳心に数値化がそぐわないのは、当たり前で、そんなのを、数値化で"評価"しようとすることが、もう間違ってる。
っていうか、
やらないためのイイワケにしか聞こえない
よくそんな考え方で、「ゆとり教育」のような大転換を取り入れたな。
そこ簡単に出来たのは、教師がラク出来るからか(笑)?
道徳心は、経験させるだけでいい。
せっかくの "ゆとり" の時間を教師から取り上げて恐縮だが、ゆとり教育のなかに、ボランティアを取り入れたりして、体験をさせるところまでが、教師の役目。
それをどう受けとるかは、生徒各々の感性に任す。
それでイイじゃないか。
やれよ、徳育。
今の教育は、まさに心を川の流れに任すだけで、社会に出て競争社会に投げ出されたとき、逆境を跳ね返す強さも、世の中の理不尽が当たり前にあることも教えない。
水の流れがときに強弱をつけること、そのとき避難するか、流れに便乗するかの判断力も、
それを教えるのが「ゆとり教育」の理想だったのではないのか。
ゆとり教育が必要だと思うなら、そこに「徳育」というスパイスが不可欠とは思わないか?
愛国教育になるのが怖い、って?
・・・(笑)
そんなこと言ってる奴ほど、ゆとり教育の時間を、「サボれる」時間と勘違いしてるヤカラに違いない。
ただの、
メンドくさいからやりたくないための、イイワケだ。
デフレのインフレ、これが庶民には最もこたえる―
サブプライムローン問題のとき、「トリプルA」を免罪符とし、結果的には銀行への税金投入も含め、広く薄く、飽くことなくカネ集めをした錬金術師らが、今度は実態の伴わない謎の原油高を仕掛けることで次の詐欺に取りかかろうとしているように思えてならないのは、チョットしたノイローゼが入ってるからだろうか?
太平記の青砥藤綱の話で―
ある夜、藤綱が過って川に10文を落としてしまい、それを拾う為に50文で商人に松明を買い求め、それで川を明るくして10文を取り戻した。
それを聞いた人が「得たものより失ったものの方が大きい」と嗤うと、藤綱は「拾わねば10文は川で眠りつづける。自分は10文を取り戻し、商人は50文得をした。天下の利、回ってこそのカネ、
流れるから天下を潤すのです」
そう諭したという。
カネは循環させてこそ、意味も値打ちもある。
しかし、
昔、豪遊が祟りギロチンにかけられた王は居ても、
電子マネーを一手に抱え込んだからといって、それを罪に問うことなど出来ようはずもなく、
「持てる者」らがあの手この手で吸い上げてくカネが、上でグルグル回ってるだけの今の状態では、
おこぼれなき庶民は鵜飼いの鵜に等しく、
王が豪遊しカネを下々に落としてくれた昔より、なお始末に悪い。
大体、クレジット会社とか、人材派遣会社とか、
中間マージン取るだけの会社が儲け過ぎてるから、世の中のバランスがおかしくなると思うのだが、
そうした、いびつな労働分配に配慮もされぬままこのクニは、
デフレ・スパイラルに何の有効手段を見出せないまま、インフレに突入しようとしている。
市場原理主義?
近頃は、その言葉にも何やら胡散臭さを覚える。
たしかに神の手は存在する。
それはルールに則ってというより、サブプライム問題で誰も責任を取らない、世界中やられ損の顛末を見ても感じれるように、
ルールは、ピラミッドの頂きのティラミス、持てる者たちが勝手に変えれる。
しわ寄せは、庶民に。
自分たちは、今度は原油高を煽り、サブプライムの実験失敗で受けた痛手を癒そうとする。
まかり通る倫理なき脱法の常態。
デフレのインフレ、
給料が上がらないのに、物価は上がる。
これが庶民には一番こたえる。
テロはいけないこと。
それも、今の動かない"彼ら"の秩序を守るため定められた、
"彼ら"の身に危害が及ばぬためにつくられたルールだ。
たとえば、
定められたパーセント以上集められ、これを超えた分のカネ(利益でなく売上)は、OECD加盟国各国に再分配する。
そんな「リセット・ハンデ」なんてルールは、
絶対、認められないだろう。
(メジャーリーグの「サラリーキャップ」みたいな)
だが、それしたら、
上に滞ってたカネは、きっと回り出すに違いないが、
これまでのティラミスは没落する。
だから、やらない。
徳育は、腑抜けになった庶民がテロに奔らぬようにする、というよりは、
ティラミスに歯止めをかけるエリートを養成するために必要だ。
*****
【サラリーキャップ(Salary cap)】
プロスポーツチームが所属する全ての選手の年俸の総額を毎年一定の上限金額を設けて規定する制度である。
スポーツの分野、またはリーグの違いによって詳細は様々である。
サラリーキャップの効果として、各チームの経営の健全化ということ以外に、一部の金満チームが金を使い選手を集めることを防ぎ、リーグの戦力を均衡化させるということがある。
実際、サラリーキャップを導入しているNFLの場合、連覇は難しいと言われ、スーパーボウルを3連覇しているチームは未だ出ていない。
同じく、NBAも近年は王朝と呼ばれるチームでも3連覇が精一杯で、その次の年はNBAファイナルにすら進出できていない。
アメリカ大リーグや、日本のプロ野球、欧州のプロサッカーなどでも契約金・年俸の高騰が問題視され、これを導入しようとする動きも見られているが具体的な方針がまだ固まっていない(ただし、日本ではbjリーグや独立リーグの四国アイランドリーグplus、ベースボール・チャレンジ・リーグでは導入されている)。
なおアメリカ大リーグは1994年に導入に踏み切ったものの、選手会のストライキで導入を断念しており、代替策として課徴金制度(ラグジュアリー・タックス)が導入されている。
また、欧州サッカーではクラブごとでサラリーキャップを設けているケースがある。
NHLのように、サラリーキャップ導入までに大きな労使対立を伴ったケースもある。
2004-2005シーズンからの導入に対して選手会が反発、これに対し経営者側が2004年9月16日から全面的なロックアウトを決行した。その後本来のシーズン中盤になって選手会はサラリーキャップの導入を容認した。
【ラグジュアリー】
チームのサラリー総額が一定の基準を超えると罰金が適用される。
この罰金はラグジュアリー・タックス(贅沢税)と呼ばれ、徴収された金は、罰金を支払っていないチームに平等に配分される。
【OECDとは?】
1.
OECDは「Organisation for Economic Co-o2.OECDperation and Development:経済協力開発機構」の略。
第二次大戦後、米国のマーシャル国務長官は経済的に混乱状態にあった欧州各国を救済すべきとの提案を行い、「マーシャルプラン」を発表、
これを契機として、1948年4月、欧州16か国でOEEC(欧州経済協力機構)が発足。
これがOECDの前身。
その後、欧州経済の復興に伴い1961年9月、OEEC加盟国に米国及びカナダが加わり新たにOECD(経済協力開発機構)が発足。
日本は1964年にOECD加盟国。
2.
(1)EU加盟国(21か国)
イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、エストニア、スロベニア。
(2)その他(13か国)
日本、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュー・ジーランド、スイス、ノルウェー、アイスランド、トルコ、韓国、チリ、イスラエル。
3.
(1) 目的
OECDは、先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて、1)経済成長、2)貿易自由化、3)途上国支援に貢献することを目的としている。
(2) 閣僚理事会
OECDの最高機関であり、全ての加盟国が参加する閣僚理事会は年1回開催。
閣僚理事会における議論はサミットにおける同分野の議論の方向性に大きな影響を与えている。
読売新聞 2015年02月03日
格差問題を掘り下げた世界的なベストセラー「21世紀の資本」を書いた仏経済学者のトマ・ピケティ氏(43)。
日本に滞在した1日までの4日間、
「人口減の日本と欧州は世襲社会に戻りつつある」
「若者に有利な税制改革が必要」
などの指摘は大きな注目を集めた。
一方、
「累進課税強化は世界に逆行する」
「格差が拡大し続けるとの考えは無理がある」
などの批判もある。
◇来日中のピケティ氏の主な発言は次の通り。
(読売新聞とのインタビュー、日本記者クラブでの記者会見などから)
◆【格差の状況】
20世紀初頭まで、(各国の)貧富の差は大きかった。
2度の世界大戦で(インフラなどの)資本が破壊され、格差はいったん縮小した。
1970年代までは戦後復興の高度成長で格差はそれほど広がらなかったが、80年代以降、日米欧いずれも格差が拡大している。
特に米国でその傾向が顕著だ。
「資本の収益率(r)は経済成長率(g)を上回る」
という数式が歴史的に成り立つ。
富裕層の株や不動産などの財産が大きくなるスピードは、一般の人の所得が上がるスピードよりも速い。
適切な政策がとられなければ、富の集中はさらに進むだろう。
日本や欧州は、人口の減少によって、世襲社会に戻りつつある。
富を相続する人の数が減り、富裕層の子供は以前より多くの財産を引き継げるようになった。
一方、相続できる財産がなく、労働所得のみに頼る若い人が不動産を所有するのは難しくなっている。
◆【格差の是正策】
富裕層を対象に、不動産や株式などの資産に対する累進的な課税を世界的に強化すべきだ。
日本は国内総生産(GDP)の規模で見ても世界で重要な国なので、大事な役割を担うべきだ。
格差の縮小と経済成長は両立可能だ。
そのためには、国民の幅広い層が適切な教育と職業訓練を受けられるような環境づくりが必要だ。
◆【日本について】
安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、格差を拡大する一方で、経済は低成長になるという最悪の事態に陥るリスクがある。
金融緩和は資産のバブルを生むだけだ。
取り組むべきは賃上げの強化だ。
消費税率の引き上げは、幅広い層に影響するので、経済成長にとってはよくない。
財政再建には、高齢者を中心とした富裕層から税金を多く取るべきだ。
所得税の最高税率が高かったかつては格差が小さく、経済成長率も高かった。
固定資産税に累進制を導入することも考えられる。
人口減少社会となった日本では、相続財産が重要な役割を果たす。
その一方で、低所得者層への課税を引き下げるなど、若者に有利な税制改革が求められる。
■ピケティ論争 日本白熱
格差拡大に警鐘「21世紀の資本」
高所得層が強い関心
朝日新聞 2015年2月3日
世界的な格差拡大に警鐘を鳴らす「21世紀の資本」の著者、トマ・ピケティ氏が4日間の日本滞在を終えて帰国した。講演や記者会見、学生とのやりとりを通じて問題の深刻さと解決に向けた取り組みを訴えた。
その言葉は、日本の格差論議を揺さぶっている。
1月30日午後、ピケティ氏は動画配信サイト「ニコニコ生放送」に出演。
「成長のために格差は許容すべきか」などの質問に答えた。
15分ほどの放送時間に寄せられたコメントは、約6千件。
20~30代の若い世代を中心に、録画も含め約1万7千人が視聴した。
ブームについて、日本語版の訳者の一人、山形浩生氏は
「特に所得が上位の層が強い関心を持っているようだ」
と指摘する。
「これから転落するかも、と思っているのかもしれないし、自分たちだけが富むのはいけないと感じているのかもしれない」
とりわけ注目されたのが、資産の格差が世襲により固定化するとの主張だ。
朝日新聞などが主催したシンポジウムでも、ピケティ氏は「世襲社会が戻ってきている」と訴えた。
日本側の登壇者からは、高齢者の資産を若い世代に移すよう促す税制上の優遇措置に触れて
「金持ちの子どもと、そうでない子どもとの間に大きな格差が生まれる懸念がある」
(鬼頭宏・上智大教授)
との声が出た。
もっとも、ピケティ氏の議論がそのまま日本にあてはまるわけではないとの意見もある。
大田弘子・政策研究大学院大学教授は
「日本の場合、ピケティ氏の問題意識の中心の米国ほどひどい格差はない。
政府による所得再分配の必要性だけを教訓として引き出すのは間違いだ」
と指摘する。
ピケティ氏も、公正な競争の結果としての格差は否定していない。
経済成長も重視する立場だ。
朝日新聞の取材に対し、
「私的財産の保護は、個人の自由や経済効率性を高める上で欠かせない。
避けなければならないのは、財産が極端に特定の層に集中することだ」
と述べた。
ピケティ氏が、不平等への主な解決策として示したのは、資産が多ければ高率の税を課す「累進課税」だ。
この観点から、お金持ちにも貧しい人にも同じ率でかかる消費税の増税には反対姿勢を示した。
だが、森信茂樹・中央大大学院教授は
「膨れあがる社会保障費を考えれば消費税の引き上げは避けられない」
と話す。
日本の場合は格差拡大の背景として、資産の個人差が大きくなる高齢化や、正社員と非正規社員の処遇の差など労働市場の問題も大きいと指摘される。
人口減が急激に進み、年金の負担が世代間で大きく異なることも格差拡大につながりかねないが、ピケティ氏はこうした日本固有の論点には踏み込んでいない。
それでも、議論を活性化させたのは間違いない。
日本の格差に早くから取り組んできた橘木俊詔・京都女子大客員教授は
「格差問題への関心が薄れ、議論が沈静化してしまっていたところにピケティ氏の本が出て、論争を再燃させた」
と指摘する。
◆国会論戦にも波紋
首相 ピケティ人気に警戒感も
ピケティ人気は政治の世界にも波紋を広げている。
ピケティ氏にあやかろうとしているのは、アベノミクス批判を展開する民主党だ。
長妻昭代表代行が「お会いしたい」と手紙を送り、1月30日には、岡田克也代表ら党幹部とピケティ氏との面会が実現した。
岡田代表が「かつて1億総中流と言われたが、今はすっかり変わった」と話すと、ピケティ氏は
「日本でも富裕層が拡大している。
米国ほどではないが、欧州より深刻ではないか」
と応じた。
民主党は「格差」を国会論戦の最大のテーマに据える。
安倍晋三首相にはピケティ人気に警戒感もにじむ。
「ピケティ氏も経済成長を否定していない。
しっかり成長して果実がどのように分配されるかが大切だ。
成長せずに分配だけを考えればじり貧になる」。
1月29日の衆院予算委員会の質疑でピケティ理論を持ち出されると、そう答えた。
首相は最近、事務方からピケティ氏について解説を受けたという。
「反論よりも、国民の恩恵を強調するようにしている」
(首相周辺)。
2日の参院予算委では、自らの経済政策について、「全体を底上げする政策だ」と力を込めた。
◆キーワード <21世紀の資本>
世界で150万部のベストセラー。
3世紀にわたる歴史研究をもとに、
「資本の収益率(r)が経済成長率(g)を上回る」
という不等式を示した。
放置すれば、資産家がどんどん豊かになり、経済格差が広がるため、世界規模で資産への課税を強化すべきだと主張している。
■ピケティ氏、東大で熱弁
格差の世襲化に危機感
朝日新聞2015年2月1日
低成長下の社会で不平等が広がることに警鐘を鳴らし、世界的な論争を巻き起こしている「21世紀の資本」の著者、トマ・ピケティ・パリ経済学校教授(43)が31日、来日を機に東京都文京区の東京大学で講義した。学生や教員ら約500人が参加し、活発な議論になった。
ピケティ氏は、資産家が得る運用益は、経済成長に伴って一般の人にもたらされる所得より大きく伸びると主張。
低成長下の先進国では、放置すれば「持てる者」と「持たざる者」との格差が広がる、と訴えて注目された。
講義では、人口減少が進む日本や欧州では特に、相続する資産がものを言う「世襲社会」が復活していると指摘した。
学生から望ましい税制について問われると、資産家であればあるほど高率の税を課す「累進課税」によって
「若い人が資産を蓄えやすくなる一方、最上位の富裕層に富が集中しすぎないようにすることができる」
と主張。
比較的資産の少ない若い世代を優遇する税制にすべきだとの考えを示した。
ピケティ氏は教育格差の拡大にも懸念を示しており、「21世紀の資本」では、米名門ハーバード大の学生の親の平均収入が米国のトップ2%に属するとのデータに言及している。
「豊かな家庭に生まれ、将来も裕福になりやすいとされる名門大学の学生へのメッセージは」との質問が出ると、「親は選べないので(豊かでも)恥じることはない」と述べ、笑いを誘った。
「よりよい世界をつくるため最善を尽くしてほしい」
と語った。
ピケティ氏は講義に先立つ日本記者クラブでの会見でも、若者への優遇に言及。
「日本が財政再建をするための道筋は、若い人を利するような税制を考えなければいけない」とした。
そのうえで消費増税については
「あらゆる人にかかる消費税を引き上げることが、どうして日本の成長にとって良いことなのか。納得できない」
と述べ、反対姿勢を示した。
また、大企業やお金持ちが潤い、じわじわと中小企業や低所得者に及ぶとする「トリクルダウン」の主張に対し、ピケティ氏は
「過去を見回してもそうならなかったし、未来でもうまくいく保証はない」
と否定。
不平等が政治に与える影響については、
「米国の選挙を見ると分かるが、経済的な不平等は政治的な発言力の格差にもつながる。
民主主義が脅威にさらされる」
と語った。
■「不平等が拡大」と警鐘
トマ・ピケティ氏が来日講演
朝日新聞 2015年1月29日
これまで、資本主義国では経済成長とともに生まれた富を多くの人が分け合い、豊かになれると広く信じられてきた。
ピケティ氏は著書で、各国の数世紀にわたる租税資料を分析。
株式や債券などの資産を元手にして得られるもうけは、経済成長に伴って一般の人が得る所得より大きく伸びる傾向があると主張した。
ピケティ氏は講演で、
「戦後はお金持ちも貧しい人たちもバランスよく成長できた時代だった」
と指摘しつつ、長い目でみれば例外的なケースだったと説明。
戦争による破壊で資産が失われたうえ、高度経済成長のなかで、所得の多い人から多めに税金を取る累進課税も広がったからだ。
しかし、1980年代から先進各国で富裕層に資産が集中する傾向が強まっていると指摘。
日本についても
「人口が減り、低成長が続くため、相続で引き継がれる資産の価値がより高まりやすい」
と述べた。
そのうえで先進各国の特徴として「相続財産に依存する『世襲社会』が戻ってきている」と語った。
資産を「持てる者」がより有利になれば、「持たざる者」が多い若年層が貧困に陥り、さらに格差が広がる悪循環に陥りやすくなる。
これを防ぐには、政府が教育に力を入れるとともに、富の再分配をする必要性があると指摘。
そのためには「累進課税が最も透明性のあるやり方だ」と述べ、所得や資産への課税強化を訴えた。
ピケティ氏は、経済の専門家と一般の人との間に距離がありすぎることも問題視。
「経済問題は、少数の経済学者だけに任せるにはあまりにも重大だ。
普通の人たちが自分の意見を言えるようにしたい。
著書を通じて、経済的な知識の『民主化』に貢献したかった」
と述べた。
◆〈21世紀の資本〉
欧米を中心に、200年超にわたる税務記録を分析。
資本主義経済では、資産を運用して得られる利益率(資本収益率)が、働いて得られる所得の伸び(経済成長率)を上回ることを示した。
そのため放っておくと、不平等は拡大すると指摘。
各国が協調して、所得と資産に対する累進課税制を導入するよう提言する。
日本版はみすず書房から昨年12月に刊行。
■「格差があって何が悪い?」
“ピケティ人気”に焼きもち…米学者言いたい放題
フジサンケイビジネスアイ 2015.2.3
1月初め、米ボストンで米経済学会の年次総会が開かれた。
経済書としては空前の人気となった「21世紀の資本」の著者である仏経済学者、トマ・ピケティ氏も招かれ、格差問題に関するパネルが催された。
司会役は、ハーバード大教授で米国を代表する経済学者、グレッグ・マンキュー氏である。
◆攻撃的な姿勢
参加者の間で話題となったのが、マンキュー氏のピケティ氏に対する攻撃的な姿勢だ。
資本利益率「R」が、経済成長率「G」を上回っているがゆえに格差が生まれていることを説明するピケティ氏を揶揄(やゆ)して、「R>G だからどうした?」という小論文を発表した。
しかもだ。
「格差があって何が悪い?」
「彼(ピケティ氏)は金持ちが嫌いなのだ」
とまでマンキュー氏は言い放った。
「経済書がここまで人気になったのは珍しい」
とマンキュー氏はほめたものの、
「21世紀の資本」と比較した過去のベストセラーが「フリーコノミクス(ヤバい経済学)」だった。
学問書というより、人気はあったが亜流の経済書で、「ピケティ人気」を半ばひがんでいるのだろう。
マンキュー氏の立ち位置は「ニュー・ケインジアン」である。
「市場の失敗」や「不完全競争」といった市場機能の不備を指摘するが、家計や企業がもつ「合理的な期待」という要素を取り込んだ点で、リベラルといっても伝統的な「ケインジアン」よりも自由主義に近い。
マンキュー氏も「ある程度の自由な資本主義は人類が得た大きな成果の一つだ」としている。
◆米はジニ係数高水準
それでも、彼がむきになって反論するのはわけがある。
ノーベル経済学賞学者のジョセフ・スティグリッツ氏の言葉を借りるまでもなく、疑いもなく「米国は世界に冠たる格差社会」だからだ。
米国には、マンキュー氏をむきにさせる「不都合な真実」があるのだ。
米国は、格差度を示すジニ係数が先進国最高水準の0.47ある。
富裕層上位1%の所得は社会全体の20%を占める。
中間層は苦しい。
フルタイムで働く男性の保有資産は1990年代初めと同水準のままである。
底辺層は悲惨だ。
ニューヨークの場合、ホームレスの数は昨年11月末時点で6万人超と過去10年間で約6割増えた。
オバマ大統領が1月の一般教書演説で格差問題を取り上げるわけである。
あえてマンキュー氏を擁護すると、格差「絶対悪」論者や反資本主義者といった左派が「ピケティ人気」に便乗して、論陣を張り始めたのも事実である。
ピケティ氏は昨年に何回か訪米して講演したが、壇上で隣に座るのはマルクス経済学者だったケースがあった。
ピケティ氏は資本主義も市場原理も否定していない。
ある程度の格差が成長のための均衡状態である点は、多くの経済学者も認めている。
1月末に訪日したピケティ氏は日本でも大人気だったそうだが、訪米時と同じく、左派を元気付けたようだ。
仮にさらに累進課税を導入しても、それを再配分するのは政府であり、効率的な格差是正が約束されるわけではない。
しかも、日本の根源的な格差は政府による再配分後に際立つ世代間格差である。
米国の格差是正ブームを直接輸入するのは間違いなのだ。
■ピケティ氏、なぜ注目?
定説覆す「富は富裕層に集まる」
産経新聞 2015.1.31
2013年8月に出版された「21世紀の資本」は昨年、米国でベストセラーとなるなど、すでに世界で約150万部が発行された。
昨年12月には日本版も発行され、税込み5940円の高価な専門書としては異例の13万部を突破した。
著書の内容は国会でも議論され、格差解消の処方箋として富裕層に対する資産課税強化を訴えていることについて、安倍晋三首相が「執行面でなかなか難しい面もある」と発言している。
著書が注目を集めたのは、
「資本主義の発展とともに富が多くの人に行き渡って所得分配は平等化する」
という、従来の経済学の定説を覆したためだ。
ピケティ氏は新たに、株式、預金、不動産などの資本の収益率(r)は、所得や産出の年間増加率である経済成長率(g)を上回る「r>g」という不等式が成り立つと主張。
親からの相続などで得た資本を持つ人ほど収入が増え、そうでない人は不利になるとした。
解決には、世界規模で富裕層に対する資産課税を強化することを提案する。
その画期的な内容に加え、1870年代までさかのぼった古文書などを10年以上かけて集めデータ化したこともあり、反響を呼んだ。
ただ、統計の選択をめぐっては「恣意的」と疑問を投げかける声もある。
ピケティ氏は、パリ郊外生まれの43歳。
米マサチューセッツ工科大の助教授などを経てパリ経済学校教授。
2007年の大統領選では、社会党のロワイヤル氏の経済顧問を務めた。
過去記事↓
ティラミスに「リセット・ハンデ」を
2007/10/26(金)
心を水に喩えた哲学者の話に、
「心は高いところから低いところに流れる。
それと同じように、困った人を助けたいという感情は自然だ」と。
上から下へは自然の摂理で、それは経済にもあてはまるはず。
だが、ここ数年、持てる者がおこぼれを下々に落とさない。
労働分配率のいびつさは、年々ひどくなる一方だ。
「人間は本能としていたわりの感情を持たない。
それは元々、人間が他人と群れる習性を持たなかったからで、
だから人は努めていたわる気持ちを育まねばならない」
(司馬遼太郎)
だから、
誰かがそれを教えねばならないはずで・・・
安倍首相の辞任で中教審は「徳育」を見送った。
「道徳心を数値化する事は出来ない」からだそうだが・・・
厳罰化する新たなルールづくりだけでは、
昨今のモラルハザードには追いつけまいに・・・
道徳心に数値化がそぐわないのは、当たり前で、そんなのを、数値化で"評価"しようとすることが、もう間違ってる。
っていうか、
やらないためのイイワケにしか聞こえない
よくそんな考え方で、「ゆとり教育」のような大転換を取り入れたな。
そこ簡単に出来たのは、教師がラク出来るからか(笑)?
道徳心は、経験させるだけでいい。
せっかくの "ゆとり" の時間を教師から取り上げて恐縮だが、ゆとり教育のなかに、ボランティアを取り入れたりして、体験をさせるところまでが、教師の役目。
それをどう受けとるかは、生徒各々の感性に任す。
それでイイじゃないか。
やれよ、徳育。
今の教育は、まさに心を川の流れに任すだけで、社会に出て競争社会に投げ出されたとき、逆境を跳ね返す強さも、世の中の理不尽が当たり前にあることも教えない。
水の流れがときに強弱をつけること、そのとき避難するか、流れに便乗するかの判断力も、
それを教えるのが「ゆとり教育」の理想だったのではないのか。
ゆとり教育が必要だと思うなら、そこに「徳育」というスパイスが不可欠とは思わないか?
愛国教育になるのが怖い、って?
・・・(笑)
そんなこと言ってる奴ほど、ゆとり教育の時間を、「サボれる」時間と勘違いしてるヤカラに違いない。
ただの、
メンドくさいからやりたくないための、イイワケだ。
デフレのインフレ、これが庶民には最もこたえる―
サブプライムローン問題のとき、「トリプルA」を免罪符とし、結果的には銀行への税金投入も含め、広く薄く、飽くことなくカネ集めをした錬金術師らが、今度は実態の伴わない謎の原油高を仕掛けることで次の詐欺に取りかかろうとしているように思えてならないのは、チョットしたノイローゼが入ってるからだろうか?
太平記の青砥藤綱の話で―
ある夜、藤綱が過って川に10文を落としてしまい、それを拾う為に50文で商人に松明を買い求め、それで川を明るくして10文を取り戻した。
それを聞いた人が「得たものより失ったものの方が大きい」と嗤うと、藤綱は「拾わねば10文は川で眠りつづける。自分は10文を取り戻し、商人は50文得をした。天下の利、回ってこそのカネ、
流れるから天下を潤すのです」
そう諭したという。
カネは循環させてこそ、意味も値打ちもある。
しかし、
昔、豪遊が祟りギロチンにかけられた王は居ても、
電子マネーを一手に抱え込んだからといって、それを罪に問うことなど出来ようはずもなく、
「持てる者」らがあの手この手で吸い上げてくカネが、上でグルグル回ってるだけの今の状態では、
おこぼれなき庶民は鵜飼いの鵜に等しく、
王が豪遊しカネを下々に落としてくれた昔より、なお始末に悪い。
大体、クレジット会社とか、人材派遣会社とか、
中間マージン取るだけの会社が儲け過ぎてるから、世の中のバランスがおかしくなると思うのだが、
そうした、いびつな労働分配に配慮もされぬままこのクニは、
デフレ・スパイラルに何の有効手段を見出せないまま、インフレに突入しようとしている。
市場原理主義?
近頃は、その言葉にも何やら胡散臭さを覚える。
たしかに神の手は存在する。
それはルールに則ってというより、サブプライム問題で誰も責任を取らない、世界中やられ損の顛末を見ても感じれるように、
ルールは、ピラミッドの頂きのティラミス、持てる者たちが勝手に変えれる。
しわ寄せは、庶民に。
自分たちは、今度は原油高を煽り、サブプライムの実験失敗で受けた痛手を癒そうとする。
まかり通る倫理なき脱法の常態。
デフレのインフレ、
給料が上がらないのに、物価は上がる。
これが庶民には一番こたえる。
テロはいけないこと。
それも、今の動かない"彼ら"の秩序を守るため定められた、
"彼ら"の身に危害が及ばぬためにつくられたルールだ。
たとえば、
定められたパーセント以上集められ、これを超えた分のカネ(利益でなく売上)は、OECD加盟国各国に再分配する。
そんな「リセット・ハンデ」なんてルールは、
絶対、認められないだろう。
(メジャーリーグの「サラリーキャップ」みたいな)
だが、それしたら、
上に滞ってたカネは、きっと回り出すに違いないが、
これまでのティラミスは没落する。
だから、やらない。
徳育は、腑抜けになった庶民がテロに奔らぬようにする、というよりは、
ティラミスに歯止めをかけるエリートを養成するために必要だ。
*****
【サラリーキャップ(Salary cap)】
プロスポーツチームが所属する全ての選手の年俸の総額を毎年一定の上限金額を設けて規定する制度である。
スポーツの分野、またはリーグの違いによって詳細は様々である。
サラリーキャップの効果として、各チームの経営の健全化ということ以外に、一部の金満チームが金を使い選手を集めることを防ぎ、リーグの戦力を均衡化させるということがある。
実際、サラリーキャップを導入しているNFLの場合、連覇は難しいと言われ、スーパーボウルを3連覇しているチームは未だ出ていない。
同じく、NBAも近年は王朝と呼ばれるチームでも3連覇が精一杯で、その次の年はNBAファイナルにすら進出できていない。
アメリカ大リーグや、日本のプロ野球、欧州のプロサッカーなどでも契約金・年俸の高騰が問題視され、これを導入しようとする動きも見られているが具体的な方針がまだ固まっていない(ただし、日本ではbjリーグや独立リーグの四国アイランドリーグplus、ベースボール・チャレンジ・リーグでは導入されている)。
なおアメリカ大リーグは1994年に導入に踏み切ったものの、選手会のストライキで導入を断念しており、代替策として課徴金制度(ラグジュアリー・タックス)が導入されている。
また、欧州サッカーではクラブごとでサラリーキャップを設けているケースがある。
NHLのように、サラリーキャップ導入までに大きな労使対立を伴ったケースもある。
2004-2005シーズンからの導入に対して選手会が反発、これに対し経営者側が2004年9月16日から全面的なロックアウトを決行した。その後本来のシーズン中盤になって選手会はサラリーキャップの導入を容認した。
【ラグジュアリー】
チームのサラリー総額が一定の基準を超えると罰金が適用される。
この罰金はラグジュアリー・タックス(贅沢税)と呼ばれ、徴収された金は、罰金を支払っていないチームに平等に配分される。
【OECDとは?】
1.
OECDは「Organisation for Economic Co-o2.OECDperation and Development:経済協力開発機構」の略。
第二次大戦後、米国のマーシャル国務長官は経済的に混乱状態にあった欧州各国を救済すべきとの提案を行い、「マーシャルプラン」を発表、
これを契機として、1948年4月、欧州16か国でOEEC(欧州経済協力機構)が発足。
これがOECDの前身。
その後、欧州経済の復興に伴い1961年9月、OEEC加盟国に米国及びカナダが加わり新たにOECD(経済協力開発機構)が発足。
日本は1964年にOECD加盟国。
2.
(1)EU加盟国(21か国)
イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、エストニア、スロベニア。
(2)その他(13か国)
日本、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュー・ジーランド、スイス、ノルウェー、アイスランド、トルコ、韓国、チリ、イスラエル。
3.
(1) 目的
OECDは、先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて、1)経済成長、2)貿易自由化、3)途上国支援に貢献することを目的としている。
(2) 閣僚理事会
OECDの最高機関であり、全ての加盟国が参加する閣僚理事会は年1回開催。
閣僚理事会における議論はサミットにおける同分野の議論の方向性に大きな影響を与えている。