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武田鉄矢/エロスよりタナトスに向かった

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女性殺害:19歳女子名大生逮捕「人を殺してみたかった」

毎日新聞 2015年01月27日
<初報> 行方不明の77歳、遺体で発見 住人の女子大生聴取
名古屋市昭和区のアパートの一室で27日午前、女性の遺体が見つかった事件で、愛知県警捜査1課と千種署は同日、このアパートに住む名古屋大学の女子学生(19)が殺害を認めたため、殺人の疑いで緊急逮捕した。
遺体は同市千種区春里町2の無職、森外茂子(ともこ)さん(77)と確認された。
森さんが女子学生を宗教団体に勧誘し、知り合ったばかりだった。
容疑を認め「人を殺してみたかった」と供述しているという。

逮捕容疑は昨年12月7日昼ごろ、アパートの1階の自室で、森さんの頭を手おので殴るなどして殺害したとしている。
森さんの首にはマフラーが巻き付けられており、県警は女子学生がおので殴った後、首を絞めた可能性があるとみて、28日に司法解剖をして詳しい死因を調べる。

県警によると、森さんが帰宅しないことを心配した夫(81)が事件当日夜に千種署に届け出た。
捜査員が行方を捜したところ、森さんと最後に会っていた人物として女子学生が浮上。
2人は事件当日に近くの宗教施設で会い、その後、2人で女子学生の部屋に向かったとみられる。

女子学生は翌日から東北地方の実家に帰省していたが、今月26日夜に名古屋に戻ってきたため、27日朝から同署で事情聴取。
その際、部屋を見せることを拒んだため、署員らがアパートまで同行し、森さんの遺体を発見した。
部屋は1Kで、森さんは浴室の洗い場に衣服を着たまま倒れていた。
頭には殴られたような痕が複数あった。
凶器とみられる手おのが室内から見つかり、部屋には複数の血痕が残っていた。

女子学生は取り調べに淡々とした様子で応じているといい、県警は詳しい動機を追及する。

殺害容疑の女子学生か「ついにやった」ツイート

朝日新聞 1月28日
「人を殺してみたかった」――。
名古屋市内のアパートで女性(77)を殺害した疑いで逮捕された名古屋大学の19歳の女子大学生は、そう話したという。
同級生らは「明るい子」と口をそろえるが、大学生とみられる人物は、ツイッターに「『殺してみたい』人は沢山(たくさん)いる」と投稿。事件があったとされる当日は、「ついにやった。」とつぶやいていた。
一方、亡くなった女性の知人らは「優しい人だったのに」「信じられない」と悲しみにくれた。

19歳学生を殺人容疑で逮捕 「人を殺してみたかった」
大学生とみられる人物は昨年4月にツイッターを開設。
5月12日には
「『死にたい』とは思わないけど『死んでみたい』とは考える。
『殺したい』人はいないけど『殺してみたい』人は沢山(たくさん)いる。」
とつぶやいていた。
また、1997年に神戸連続児童殺傷事件を起こした少年(当時)など過去の凶悪事件の犯罪者について取り上げ、「大好き」などと書いた。
さらに児童8人が亡くなった2001年6月の大阪教育大付属池田小学校事件の元死刑囚=執行=の誕生日を祝っていたほか、長崎県佐世保市で04年に同級生を殺害したとされる女児に関するメッセージを投稿。
また、事件があったとされる昨年12月7日には、「ついにやった。」とツイートしていた。

大学生を知る大学の同級生らは「見た目がボーイッシュで、明るい女の子」と口をそろえる。体育会系の部活動に所属し、精力的に活動していたという。

「親が破綻(はたん)した。家計が苦しい」。
昨年9月ごろ、大学生は、部活の先輩の男子学生(19)に悩みを打ち明けていた。
大学生について「明るい性格」とする一方、「変わった言動があった。凶悪犯罪の犯人に興味があると冗談交じりに話し掛けられた」と振り返った。

大学生は昨年12月、この男子学生に「大家と(家賃について)交渉しないといけないので、(7日は)部活は休みます」と告げた。
その後、「休学が決定しました」「(実家の)東北にいます。次の週には帰れるようにします」とメールで伝えてきた。
学生は心配になって何度か電話したが、つながらずに音信不通になっていたという。

被害者、熱心に布教活動
亡くなった森外茂子さんはキリスト教系の宗教団体の信者で、熱心に布教活動に取り組んでいたという。

近所に住む男性(68)は
「穏やかで優しい人。犬を散歩させていると、よく犬をなでてくれた。
殺されたなんて信じられない。震えるほど怖い」。
男性は森さんに「聖書を読んでみませんか」と誘われたが、
「『仏教徒だから』と断るのも心苦しかった」と話していた。

森さんと約20年の付き合いがあるという女性信者(60)は「親切で、聖書についてわからないことがあると熱心に教えてくれた」。
昨年12月7日の集会に参加した後、行方がわからなくなり、心配していたという。
「森さんは集会に20歳くらいの若い女性を連れてきた。
皆さんで歓迎して、女性は『来週も来ます』と話していた。
森さんは『素直でいいお嬢さん』と言っていた」
と話していた。

「人を殺してみたかった」 その心理を考える

ノンフィクションライター・藤井誠二
2015.02.09

“少年は先天的な発達障害の一種で、
それゆえに「人の死」へのこだわりがとれず、
一般的に他者が感じる「痛み」に対して共感力が著しく欠落しているという特性や家族環境も手伝い”

またも「人を殺してみたかった」という動機を加害者が口にする事件が愛知県名古屋市で起きた。
加害者は名古屋大学理系学部に通う女子大学生で、被害者は宗教の勧誘に加害者のアパートを訪問した70代の女性だった。
被害者の女性の行方がわからなったという届けを受け、警察が捜査をはじめたところ、被害者が行方不明になる直前にふたりが一緒にいるところが目撃されていたところから、捜査線上に女子大学生が浮かんだ。

女子大学生は自宅アパートで女性を手斧とマフラーを使って殺害し、浴室の洗い場に遺体を放置したまま宮城県の実家に帰省していた。
警察は女子大学生に電話をかけ、任意で名古屋へ戻るように求め、アパートへ同行、殺害から1ヶ月以上経った遺体を発見する。女子大学生は緊急逮捕された。

警察からの電話に対して女子大学生は「名古屋に戻る予定はない」と告げたというから、いったい遺体をどうするつもりだったのか。

私は事件の翌日、取材を続ける朝日新聞記者から情報をもらいながらインタビューを受け、女性のツイッターに書き残した言葉の数々も読んだ。   

犯行当日とされる12月7日には「ついにやった。」と書き込んでおり、前々日には「名大出身死刑囚ってまだいないんだよな。」ともある。
女子大学生徒の書き込みには、1997年に神戸で起きた児童連続殺傷事件の加害者(当時14歳)への憧れを示す書き込みも多いが、思えば神戸事件の加害者も「人の死を理解するためには人を殺さなければならない」と供述していた。

名古屋大学の女子大学生は子どもの頃から毒物の研究をおこない、高校時代に男子高校生に毒物を盛り、視力をほとんど失わせたという。

「人を殺してみたかった」という動機と精神鑑定
2000年には愛知県豊川市で男子高校生が学校近くの老女を殺した。
2008年には奈良県大和郡山市で17歳の長男が斧とサバイバルナイフで就寝中の父親を襲い、殺害している。
両方の事件とも加害者は「人が死ぬところが見たかった」「人を殺す経験がしてみたかった」と供述している。

さらに、昨年(2014年)3月に長崎県佐世保市で起きた同級生を殺害した女子高校生も同様の動機を語ったとされるのは記憶に新しい。
少女は被害者を「解剖」するように損壊した。少女はかつて農薬を給食に入れたことや、事件直前には父親をバットで襲い、撲殺しようとした。
父親殴打は事件化されなかったが、娘が殺人を犯したあと父親は自殺した。

すべての加害者に共通するのは、罪悪感を持つことができず、淡々と事情聴取に対しては動機めいたことを話し、「反省」を求められても、どう反省をしていいのかわからないことだろう。

私が取材をして単行本『人を殺してみたかった』(双葉文庫)にまとめたのは、2000年の豊川市で起きた事件である。
家裁が採用したのは弁護側がおこなった精神鑑定だ。
少年は先天的な発達障害の一種で、それゆえに「人の死」へのこだわりがとれず、一般的に他者が感じる「痛み」に対して共感力が著しく欠落しているという特性や家族環境も手伝い、「経験殺人(人を殺してみたいという衝動)」を制御することができなくなってしまったというものだ。発達障害は事件の直接的原因ではないが、そのパーソナリティが何らか影響しているのでないかと指摘をしたのだ。家裁は加害少年を医療少年院へ送致した。

その事件以降、同種の10代や20代の若者が引き起こす事件の精神鑑定にはこの先天的な発達障害や行為障害が必ずといっていいほど持ち出されるようになった。

しかし、何らかの発達障害であると精神鑑定をされても、それは殺人を犯したことの説明にはならないとも言える。
たとえば豊川事件は専門家の中でも意見が分かれ、「発達障害」の専門家が発達障害とした精神鑑定を否定することも起きた。
さらに、少年法等でプライバシーを理由に事件の詳細が把握できないことは、こうした事件の議論を深められない原因にもなっている。

では、どのように向きあえばいいのか
「人を殺してみたかった」という動機については、精神鑑定に基づく、医学的な解明が進んでいる、とは言い難い。

私は、1昨年亡くなった、犯罪心理学者の小田晋氏が書いた、豊川事件についての「精神鑑定書」を読み直している。
事件は家裁で保護処分が確定したため、この資料は公開はされていない。
私が独自取材で入手したものだ。
その鑑定主文には次のように書かれている。
少し長いが引用する。

《被疑者は知的には優秀で、犯行当時意識障害、幻覚、妄想、思考の障害、痴呆などを呈する精神病の状態は存在せず、抗拒不能の衝動を生むような精神障害も存在しなかった。
被疑者は分裂病質人格傷害または高度の分裂気質者であるとは考えられるが、行為障害、反社会性人格障害には属していない。
いわゆる境界例というのとも異なる。

犯行は、殺人および殺人犯になることを体験したいという願望に基づく「殺人のための殺人」あるいは「退屈からの殺人」が動機というほかはない。
背後には分裂性性格の病的な合理主義、無感動が、思春期における分裂気質特性の前景化と意識下の衝動の亢進が存在したがそれらは精神分裂病気質によって生み出されたものとは言えない。

従って犯行当時被疑者は精神の障害によって、事理を弁識に従って行為する能力を失っていたわけではなく、これが著しく障害された状態にあったということもできない。》

小田氏の見立ては、「被疑者には、特定の病理を認めることはできず、殺人を体験したいという純粋な願望に基づくものと言わざるを得ない」ということだろう。

この視点から学べることは何だろうか。「人を殺してみたい」という言い方はたしかに「病理」的だし、「サイコパス」であろう。
そして、私たちは、「障害」を持ち出してその衝動を、説明されることにより、彼らの理解しがたい動機を「社会と切り離して」理解しようとする。

精神鑑定はもちろん大切である。
しかし、同時に、こう考えることもできるだろう。
少年や少女たちは、普段は鬼畜で野獣のような人間ではなかった。
その、「人を殺してみたかった」という「冷酷な合理性」は、ある意味で、人間がそもそも備えている不条理な部分なのではないか、と。
彼らの言葉を病理の範疇に入れて社会から切り離さないこと。
彼らの悪びれない姿を、心や感情を制御できない様を、真正面から受け止めること。
そこから出発し、我々の社会に何ができるかを考えていく。
こうした視点から見えてくるものも、きっとあるはずである。
大切なのは、我々の社会が「人間とはいったいどのような生き物なのか」という問いかけを止めないことであろう。



19歳の名古屋大学生 「殺してみたかった」

ワイドナショー 2015年2月3日 より

武田鉄矢:
病気としてはサイコパスっていう病があるんですけども、アメリカなんかで連続犯罪を起こす人の病なんですけど…
この子は、酒鬼薔薇の「誕生日、おめでとう」等などと書いておりますが、
私ね、酒鬼薔薇のこと、一時期ね、めちゃくちゃ調べたことあるんですよ。
この少年は、性的な目覚めがすごく遅いんですよ。
心理学の用語で言うと、エロスの登場がすごく遅いんですよ。
エロスとの遭遇が遅い子は『タナトス』(ギリシャ神話の登場する『死そのものを神格化した神)に惹かれるんですよ。
エロスが訪れないと、タナトスに魅了されて、死の方によっていく、これが人間の命の一つのあり方です。

もう、猥雑たる少年の環境というのがあって、少年はその中で学んでいく。
清潔の中では少年は成長できないんです。
泥の田んぼの中で稲が育つのと同じで、泥でないと根が張れないのよ。
少年の心理っていうのはそういうもんなの。

で、酒鬼薔薇っていうのは、ワサビ田のような清流で育った少年で、エロスに遭遇しないまま、タナトスに惹かれていっちゃった。
で、人を殺し始めた。
順番にであっていかないといけないんです。
エロスにもタナトスにも。

少年はまずエロスと出会うことで、死を嫌う。
死と目を合わせたくなくなるんです。
思春期がまさにそうなんですよ。
死を遠ざけたがるんです。
ところが、思春期にタナトスに惹かれたヤツは、死の方に飲み込まれていくんですよ。

男の子がエロ本とか、アイドルを追っかけまわすとか、そういうのをしだすと、お母さん方は安心していいんですよ。
順調に危ない橋を渡り始めてるということですから。

女の子の場合、この子の場合にも、やっぱり異性への目覚めが非常に遅かったんじゃないのか。
だから、逆に勉強に打ち込めて、優秀な成績を収めれてたんじゃないか。
ずっと勉強に集中できるわけですから。
成績の悪いやつは頭が悪いんじゃないんですよ。

松本人志:
エロスにいっちゃうんですね。
これ何回も言ってるんですけど、「ペヤング」の異物混入じゃないですけど、大量生産でいっぱいつくると、中には異物混入みたいな、そんな子供が出てきても…

武田:
もちろん、そら当然。
まっちゃんも、それを認めちゃおうよ。
それ込みでの社会ですから。
異物の入ってるやつの気持ちもわかるってヤツがいれば、もう異物じゃなくなるんだよ。

東野幸治:
その異物の入った人も、世の中で違った道で成功するかもしれないし、

武田:
これからこの女子大生、ショッキングなことまだまだ喋ると思うけど、たじろぐのはよしましょうよ。。
19歳のガキにたじろいで、「怖い世の中になった」なんて怯えるのはよしましょう。
我らの特典は悪を恐れず、たじろがない、
それが大人の作法だと思うんで。

「苦しむ姿に、性的興奮」 自殺サイトで獲物探し

2005/08/06
自殺サイトで誘い殺害、36歳男逮捕
大阪府河内長野市の河原で今年2月、豊中市の無職長元美智子さん(当時25歳)が 遺体で発見され、府警捜査1課の河内長野署捜査本部は5日、長元さんとインターネットでメールのやり取りをしていた堺市鴨谷台、人材派遣会社契約社員・前上博容疑者(36)を殺人、死体遺棄容疑で逮捕した。

前上容疑者は昨年12月、自殺サイトに接続してきた長元さんに「一緒に練炭自殺しませんか」とメールを送信。
その後、約20回にわたり、メールで自殺予定場所の写真を送ったり、練炭の購入を依頼したりし、「志願者」を装っていた。
昨年10月以降、別の複数のサイトでも前上容疑者とみられる人物による書き込みが確認されており、府警は他にも殺害対象を探していたとみている。
前上容疑者は計3回、傷害容疑などで逮捕されていた。

調べでは、前上容疑者は自殺するつもりがないのに、サイトで知り合った長元さんを「練炭で自殺しよう」と誘い、2月19日午後10時ごろ、レンタカーの車内で手足を縛ったうえ、両手で口をふさいで窒息死させた疑い。
遺体はスコップで穴を掘って遺棄したという。

前上容疑者は昨年12月から今年2月にかけ、身分証明書不要のインターネットカフェから少なくとも19回、長元さんとメールでやり取りをしていた。
事件直前には長元さんに「メールは消去して」と指示するなど、隠ぺい工作していた。

前上容疑者は「口をふさいだ相手が苦しむ様子に性的興奮を覚えた」と供述。
02年には通行中の中学生ら6人の口を次々とふさいでけがをさせた傷害罪などで懲役10月の判決も受けていた。

自殺サイト殺人・前上博が中学3年(14歳)を殺したときに録音した内容
1分12秒 「やめて、やめて、やめて、やめて。なんでこんなことするの!
なんでこんなことするんよ!やめて、やめて、やめて、こんなことやめて!
もう、やめてって!約束が違うじゃない!」
1分30秒 「お願い、だからやめて、やめて、やめて!お願いやから、やめて!
聞いて!だから、信じて!」
2分21秒 「人殺し!」
2分25秒 「人殺し!やめて!人殺しはやめて!」
3分16秒 「すー、ひー、ひゅるるるるるるるるる」
3分50秒 「お願い!ちょっとだけ話聞いて!お願い!」
4分06秒 「なんでこんなことすんの!」
4分56秒 「お願いします!このままの格好でいいから!なんですか!なんですか!
なんでこんなことするんですか!」
6分48秒 「ウー、ウー、わかったから!ちょっと待って!」
8分06秒 「アー、ウー、ウーン・・・・・・」
8分15秒 「もっとしっかり声を出さんかい」
8分20秒 「殺さないで・・・・・・」
11分34秒 「ウォーッ、ウォーッ、ウォーッ」
12分19秒 「南無妙法蓮・・・・・・南無妙法蓮」
13分46秒 「南無妙法蓮・・・・・・ウーウー」
16分49秒 「ブリブリブー」 (脱糞に伴う放屁)
17分24秒 「ハァ、ハァ、ハァ」
22分03秒 「アッ!」
22分27秒 「ハァハァハァハァハァハァ」
23分01秒 「ウッ・・・・・・・ザーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


自殺サイト連続殺人事件

転載元 オワリナキアクム ~又ハ、捻ジ曲ゲラレタ怒リ~

【事件概要】
2005年8月、大阪府堺市の派遣社員・前上博(当時36歳)が、3人の男女を殺害していたことが発覚。
被害者とはいずれも自殺サイトで知り合い、「ネット心中をしよう」ともちかけて落ち合った。
前上は人が窒息する表情を見て興奮するという特殊な性癖の持ち主で、自殺をする気などはなく、自身が満足するためだけに被害者を襲っていた。

【自殺志願者殺し】
2005年2月23日、若い女性の遺体が大阪府河内長野市加賀田川の砂防ダム付近で見つかった。
遺体は下着姿で、豊中市の無職・M子さん(25歳)と判明。
M子さんは2月19日から行方がわからなくなっていた。

同年8月5日、同府堺市の人材派遣会社員の前上博(当時36歳)が殺人・死体遺棄の容疑で逮捕された。

M子さんとはある自殺サイトで知り合い、2004年12月から20回近くメールのやりとりをしていたのだという。
そして「練炭で自殺しよう」とM子さんを誘い、2月19日夜に合流。
その際、証拠隠滅のためM子さんにやりとりしていたメールを削除するように求めていた。

レンタカーのライトバンの後部座席でM子さんの手足を縛ったうえで、シンナーを嗅がせたり、鼻と口を手で押さえて数回にわたって苦しませた末、殺害した。

「男でも女でも、口をふさいで苦しむ姿に性的興奮を覚えた。
苦しむ顔が見たかった。
自分は自殺するつもりはなかった」

自宅からは、女性を縛った上で口や鼻を圧迫して窒息させる映像が映った市販のわいせつビデオが多数押収された。

前上はさらに「自殺サイトで知り合い、5月中旬に中学生、6月上旬に若い男性も殺した」と供述。
「大阪府南部の和歌山県境付近の2ヶ所で崖から落とした」と話した。

6日夕、和歌山県との境に近い和泉市の山中で捜索が行われ、神戸市北区の中学3年・X君(14歳)の遺体が発見された。

X君は5月21日に家出、行方がわからなくなっていた。
同月4日にも置手紙を残して家出をしており、岡山県内で保護されていた。
2度目の家出の直前には、「自殺サイトで知り合った大阪の男性と会うことになっている」と携帯メールを友人に送信している。

7日午前には河内長野市加賀田の林道斜面で、近畿大3年の男子学生・Yさん(21歳)の白骨化した遺体が発見される。

Yさんは三重県出身で、東大阪市で1人暮らしをしていたが、6月初め頃にアパートから姿を消して、家族から捜索願が出されていた。

X君とYさんとはやはり同じ自殺サイトで知り合ったのだという。
X君は手足を縛られながらも抵抗し、命乞いをしたが、失神と覚醒を繰り返させて殺害した。

すべての犯行を自供し終えると、前上はこう語った。

「もう、すべて終わらせたい。自分で自分の欲望を止められないのなら、死刑になって、幕引きしたかった」

【あの小説の挿絵のように】
前上は1968年生まれ。
4人家族の長男で、父親は元警察官。
大阪府堺市の高校から石川県の金沢工業大学に進んだ(1年で中退)。
性格はおとなしく、近所の人は「目立たなかった」と口をそろえる。
大学生のころ「眠れない」と病院に通ったことがあるという。

地元に戻った前上はタクシー運転手などの職を転々とし、人材派遣会社に就職。
04年5月からはカメラ製造会社に派遣されていた。
ここでの評価も「おとなしい」「真面目」といったものだった。

前上が異常な性癖に目覚めたのは幼稚園の頃である。
郵便局員のかぶった白いヘルメットに性的興奮を覚えた。
(このことは法廷では話さず、面会した東海女子大教授・長谷川博一氏に語った)

前上は中学生の頃、推理小説の挿絵に子供が口を押さえられる様子が描かれているのを見て興奮した。
やがてそうした絵を見て自慰するようになった。

以後、高校を卒業するまでに、薬品を染み込ませたガーゼで近所の児童らの口を押さえ、窒息させるという犯行を何度も繰り返した。

さらに2001年3月から6月にかけて、堺市の路上で通りがかりの女性ら2人にベンジンを染み込ませたタオルを押し当てるという事件を起こし、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受ける。
翌年の4月にも男子中学生の口をふさぐなどして、傷害・暴行罪で懲役10か月の実刑判決を受けた。
警察官だった父親は退職金を慰謝料に充てた。

前上は窒息の表情だけでなく、白いソックスにも異常な執着を示した。
中学生の時、教育実習生がはいていた白いスクールソックスに興奮したのが目覚めだという。

郵便局で働いていた頃(1995年)、白ソックスを履いていた同僚男性に劣情を催し、スタンガンで襲って逮捕された。
この事件では起訴猶予となる。
元警官の父親が一千万円近い示談金を払っていた。

白ソックスについては後に殺害した3人の男女にも履かせていた。
性の対象は高齢者でなければ、男女どちらでも良かったという。

前上は2001年頃から自身のホームページを開設。
主人公が人を窒息死させるという内容の自作の小説を掲載する。
それは偽装工作をして迷宮入りにするものだった。自身をブログで「窒息王」と名乗っていた。

「直美はうめき声を上げながら、必死に首を左右にふろうとして抵抗する。その苦しんでいる姿を眼に焼き付けながら、俺は満足感に浸っていた」
(小説より)

前上は任意聴取の時は否定していたが、復元されたこのサイトをつきつけられると他の2人の殺害を認めたという。

前上は自宅向かいの白いプレハブ小屋で生活をしていた。
ここには大量のビデオテープを保管されており、「観賞部屋」にしていた。

事件発覚直後、
「遺体をカメラなどで撮影し、観賞するため画像を保存していた」
との供述通り、パソコンには被害者が苦しむ様子を記録した画像や音声が「実行記録」として保存されていた。

なお、Yさんを殺害した後もネットカフェで4人目の標的を探して、自殺サイトで知り合った数人とメール交換していた。
 
【私の分析を】
2006年3月、精神鑑定開始。

同年12月22日、大阪地裁・水島和男裁判長は、事件当時の前上の責任能力について認めた慶応大医学部の作田勉専任講師(司法精神医学)作成の精神鑑定書を証拠採用した。
鑑定書では「性的サディズムや(特定の物にこだわる)フェティシズム、人格障害の混合状態での犯行だった」と指摘、
出廷した作田講師は、「性的衝動による犯行で、行動制御能力はあった」と述べた。

2007年2月20日、検察側は「犯罪史上例をみない凶悪非道な犯行で、極刑がやむを得ないのは火を見るより明らか」と死刑を求刑。

同年3月28日、大阪地裁・水島和男裁判長は「犯行は冷酷で残虐非道。わずか4か月間に3人を殺害するなど結果はあまりに重大。特異な性癖は根深く、改善の可能性は乏しい」として、求刑通り死刑を言い渡した。

同年7月5日、前上は控訴を取り下げ。
死刑が確定した。

同日、前上と接見を続けていた東海学院大教授(臨床心理学)・長谷川博一氏が記者会見し、
「被告から『私を分析して社会に役立てて』と言われた。
犯罪を防ぐため、経験を世に伝えるべきだとも考えているようだ」
と話した。

また長谷川教授に託された手紙は
「私の犯した罪は死をもって償うしかない」
などと書き、年内の執行を求めていた。

そして2009年7月28日、大阪拘置所において、前上の死刑が執行された。
享年40。

≪参考文献≫

文藝春秋 「週刊文春 05年8月25日号」
新人物往来社 「別冊歴史読本 新・殺人百科データファイル」
新潮社 「週刊新潮 05年12月22日号」
ミリオン出版 「別冊ナックルズ 昭和三大事件」 
ミリオン出版 「死刑囚のすべて」
ミリオン出版 「殺人現場を歩く2」 蜂巣敦・著 山本真人・写真

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