金本や!猛虎祭りや!10点爆勝で首位タイ
猛虎打線にベテラン金本知憲外野手(44)が火を点けた。二回に左翼フェンス直撃二塁打を放つと、三回にも無死満塁から右前適時打して打者一巡の猛攻につなげた。通算2453安打で歴代9位となったアニキが活気づけた打線は今季最多の15安打で広島に10-2と大勝。中日と並び首位に浮上した。流れを左右する打席。大ベテラン、幾多の局面を乗り越えてきたからこそ分かる。2-0の三回無死満塁。次の1点が勝敗の行方を決める。金本は右前打で貴重な追加点を挙げた。藤井彰の負傷交代もあり、不安漂う空気を振り払った。「1点入ってよかった。それだけです」3連続適時打を呼び込み、二死後、鳥谷も続いてこの回一気呵成に4得点。6-0と大差をつけ、6連勝中と勢いに乗っていた広島を沈めた。2安打で歴史に名を刻んだ。通算2453安打で、土井正博・西武ヘッド兼打撃コーチ(元西武ほか)を抜き、単独9位となった。すぐ上には長嶋茂雄氏(元巨人)の2471安打。ミスタープロ野球まであと18本に迫った。さらに、1安打目の二回先頭の第1打席で、完全復活を感じさせる軌道があった。先発・大竹から左翼フェンス直撃の二塁打。今季5本目の安打は、初めて左方向に飛んだ。右肩故障後から、逆方向への打球を課題としてきた。「センターからレフトへ(打球の)飛距離を出していきたい」と繰り返してきた。和田監督は「左翼の頭を越えるような打球が出始めたんで、これはいい状態に向かっている証拠なんで。ひとつのバロメーターになるような打球だったんで、本人も喜んでいるんじゃないかな」と状態のよさを確信した。引退覚悟で臨む1年。スカイブルーの色に思いを込めている。「2008年、ひざの手術してたまたまラッキーカラーが青でね、あのとき見事復活できた。その意味合いも少しある」打撃用手袋、リストバンド、サングラスのフレーム、バッグなどの色を毎年変えている。07年に左ひざ半月板を手術。翌08年は打率・307、27本塁打、108打点の成績を残した。当時と同じ青色を選び、願いを込めた。アスリートはときに、大けがから何かを学び、成長の糧とすることがある。だが鉄人は「それはない。できれば、こんなけがはしたくなかった」と言い切る。屈辱、やりきれない思いでこの2年間を過ごしてきた。アニキの今季2度目となったマルチ安打が打線を活気づけた。チームは4月4日、ヤクルト戦(神宮)以来の2けた15安打で初めての10得点。指揮官も、大勝に手応えを感じた。「週始めというところとカープのチーム状態もよかったしね。頭で勝つことができて、これでまた乗っていけると思う」停滞していた打線が機能した。金本にいい兆しが見えた。そして、中日と並んで首位タイに浮上。確かな歩みで、Vへの道を進んでいる。藤井彰、顔面死球…トラ緊急事態
鈍い音とともに藤井彰が倒れ込んだ。ヘルメットは飛び、白球はボトリと落ちた。そぼ降る雨が非情にも体を冷やした。両軍の首脳陣、選手、スタッフが駆け寄る中、タンカで運ばれていった。「広島市内の病院で『精密検査が必要』と診断されました。あした、大阪で受けます。左目の下です。直接、当たりました。意識はありますし、歩くこともできます」午後10時半をまわってから、常川チーフトレーナーが宿舎で発表した。1万2485人の観衆が凍り付いたのは2点リードの二回無死二塁。犠打を狙った藤井はバットを寝かし、大竹と正対した。そこに130キロのシュートが左目の下を直撃した。タンカで運ばれてダッグアウトに下がった後、しばらくして救急車が到着。藤井はトレーナーに付き添われながらも自ら歩いて乗り込み、病院に搬送された。雨音に混ざり、警備員が動線確保のため、大声を出す。球場内の歓声とサイレンの音が混在する物々しい雰囲気だった。藤井は、11日に出場選手登録を抹消され、帰阪する。ほお骨の骨折であれば全身麻酔でプレートなどを使った手術になるため、長期離脱は避けられない状況だ。和田監督は「心配だね…。意識ははっきりしていたし、目も見えているみたいだった。捕手は2人だから考えていかないと。みんなでカバーしながらやっていきたい」と厳しい表情で話した。城島は左ひざ再手術後ということもあり、事実上、一塁手。正妻離脱という痛すぎる事態をチーム一丸で乗り切りたい。
今季、この試合前まで、2敗2分け。
ここまでの和田采配の戦い方に、前年のような取りこぼし感はない。
しかし、今日の試合、初回から2点入れたタイガース。
このカタチになって負けたらそれは〝取りこぼし〟だろう。
雨の中、藤井捕手負傷退場のアクシデントもあったが、期待を裏切ることなく大勝。
藤井の離脱は痛いが、ここが小宮山の正念場。
運命は、やはり、今季、小宮山をどうしても正捕手にしたいようだ。
外国人投手から絶大な信頼を得ている藤井の離脱はたしかに痛い。
だが、捕手は実戦でしか育たない。
小宮山がもう少しで正捕手、というところにあるのは間違いない。
ホントなら今年1年、藤井との併用でじっくり育てるのがベストだったが、もうそんなこと言ってられなくなった。
小宮山の成長がタイガース浮沈のカギを握る。