産経新聞の記事について
3月6日大阪府教育長候補の中原氏
進学校にTOEFL導入に意欲産経新聞 3月5日(火)
大阪府の松井一郎知事が次期教育長に起用する方針を固めた中原徹・府立和泉高校長(42)が5日、産経新聞の取材に応じた。「議会の同意と教育委員の承認を得られれば引き受けたい」と語り、国際社会を生き抜く人材を育成するため、進学実績の高い高校で英語運用能力テスト「TOEFL(トフル)」を重視した教育を行うことに意欲を示した。一方、昨年の和泉高の卒業式で論議を呼んだ国歌斉唱時の教職員の口元チェックについては、「学校現場や府議の意見を聞いて対応を考えていきたい」と述べ、他校での実施は議論を深めてから検討する意向を明らかにした。中原氏を教育委員とする人事案は6日の府議会に提出される予定。維新が過半数を制しており、教育委員会議での教育長選出が有力視されている。府教委によると、民間出身の教育長は記録に残る限り初めて。トフルは米英豪のほぼ全ての大学で留学生の英語能力証明として利用されるなど信頼度が高い。このため、日本人の英語力不足の突破口として大学入試への導入を進めるべきだとの意見もあり、中原氏は和泉高の民間人校長に就任した1年目の平成22年度に、校長権限でトフル対策クラスを立ち上げている。中原氏は日米で弁護士として働いた経験から英語で意思を伝える重要性を強調した上で、「日本の英語教育では実践的な語学力が身につかない」と指摘。グローバル社会のリーダー養成を掲げる進学指導特色校10校(北野、豊中、茨木、大手前、四條畷、高津、天王寺、生野、三国丘、岸和田)で「トフルを活用した英語の授業に取り組みたい」と話した。この記事で、産経さんが飛躍して書かれた箇所があるので、指摘させていただきます。ここのところ、「教育長になったら何をするのですか?」と色々な記者さんに聞かれますが、そもそも、教育長になるには、松井知事が任命案を議会に出し、この案に議会が同意を与え、その後5名の教育委員が承認するという手続きが必要です。特に私が重要視しているのが、府議会議員の皆さんのご判断です。議員の皆さんは選挙で選ばれた府民の代表者の方々ですので、議会を前提とする民主主義において、議会の同意は大変重要です。それゆえ、任命案すら出されておらず、議会の同意を得ていない段階で、「教育長になったらOOをする」などと勝手なことを申し上げることはできないとすべての記者さんにお伝えしています。一方で、「府民の代表者である議員の皆さんが、中原の教育観を知るためには、表現の自由を持つ報道機関が中原の考えを伝えることも必要ではないか」との記者さんからのご指摘にも得心が行くところがあり、それゆえに、「教育長になったらOOをする」ではなく「現在の自分の教育に対する考え方はこうだ」という範囲でお話することに決めています。さて、上記の産経さんの記事では、私が、グローバルリーダーズ10校にTOEFLを導入するかのような発言をしたかのように書かれていますが、これは違います。グローバルリーダーズを育てるための教育を考える際、私は、3段階のアプローチを取る必要があると考えています。第1段階は、当該学校長が、その学校を卒業して難関大学に入学する生徒らが、10年後、20年後にどのような世界情勢の中で、いかなる仕事を選択するのか、そして、そのためにどのような力が必要なのかを見据える「ビジョンの策定」です。例えば、東大法学部を卒業してグローバルな世界で活躍する若者にどの程度の英語力が求められるか、という論点は、この「ビジョン」の中に包含されるのだと思います。第2段階は、当該学校の「現状把握」です。第3段階は、「ビジョン」と「現状」のギャップを埋めるための「解決策(教育施策)」の立案と実施です。ですから、仮に私がグローバルリーダーズの学校長とお話できる機会があったとしても、まずは第1段階につき、学校長から色々なご意見を伺いたいということを産経さんには申し上げています。私は、和泉高校につき、第1、第2段階を教職員と整理し、第3段階の教育施策のひとつとして、TOEFLを選択しましたし、いまでもその選択は正しかったと思っていますが、これがすべての学校に適当であると言えるわけではありません。グローバルリーダーズ10校のみならず、各校で、第1から第3段階までのプロセスを経ながら、学校長や先生方が学校を作って来られています。教育に限らず、集団で動く場合、第1段階から考えをすり合わせていかねば、チームとしての成功は見えないと思います。ですから、私は、和泉高校という校長という立場で、第3段階における施策としてTOEFLを選択しましたが、他校の学校長と第1段階からお話をさせていただくこともなく、何かを押しつける気は全くございません。カリキュラムについては、学校長の権限ですし、授業に魂を込めておられる先生もたくさんおられます。今回の報道で誤解を招き、混乱なさる方がおられてはいけないと思い、この記事を書かせていただきました。なお、ほぼ同時に出された産経新聞の別の記事については、誤解を招く中身はありません。大阪府教育長候補、中原徹氏インタビュー
「日本人のアイデンティティ大切」2013.3.5大阪府の松井一郎知事が次期教育長に起用する方針の中原徹・府立和泉高校長(42)が5日、産経新聞の取材に応じた。一問一答は以下の通り。―― 教育目標に「国際社会で生き抜く人材育成」を掲げた理由は中原:中国や韓国、台湾などアジアの若者は高い語学力を初め、国際競争力を身につけている。このままでは日本だけが取り残されるという危機感を感じている。―― 国際社会を生き抜く上で必要な力は中原:意思を伝える手段としての英語、表現力を鍛えることが重要だ。ただ中身がなくては話にならない。知識と教養、論理的な考え方を訓練する必要がある。日本人としてのアイデンティティを持つことも大切だ。―― 近現代史や領土問題を小中高で教育すべきか中原:いろんな意見を持つことを保障し、バランスよく勉強させることが大事だ。意見の衝突を面倒に思い、自分の考えを言わなくなる思考停止はいけない。他人の意見を建設的に批判し、人格と意見は別物という態度を育むことが大事だ。―― 校長をしてみて教職員の働きぶりをどう思うか中原:普通の職場と同じ。どこの世界でも通用すると思える優秀な人が2割、もうちょっと前向きに取り組んでくれたらと思う人が6割、足を引っ張る人が2割だ。―― 合議制の教育委員会で自身の思いをどのように実現していくか中原:仮に教育長に選出されたとしても、6票のうち1票を持つ事務方にすぎない。ただ、折衷案に甘んじるつもりはないので、理知的な議論や検証を時間をかけて行い、校長や教育委員と意見をすりあわせていく。―― 高校入試のあり方はどうすべきか中原:学校長と腹を割って話したいが、入試で内申点を重視するのか、学力テストの結果を重視するのか、ということくらいは学校長が決めても良いのでは。多様な選考基準があるべきだ。―― 昨年の卒業式では国歌斉唱時の教職員の口の動きをチェックして論議を呼んだ。他校でも行うか中原:今年の入学式での各校の対応マニュアルができており、仮に教育長になったとしても、1年後の卒業式から関わることになる。府議や学校現場の意見を聞いて考えていきたい。
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大阪都抗争/中原徹(大阪府教育長候補)
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